40000

いつもHPをご覧頂きましてありがとうございます。
おかげ様で4万アクセスに達しました。
あまり更新出来ておりませんが、少しずつ更新して行きたいとおもいます。
今後ともよろしくお願い致します。
大分以前にアクセス解析を外したので詳細は不明なのですがここ数日妙にアクセス数が増えているような気がします。
こんな時は必ず某大型掲示板にURLを貼られて居るんです(-_-;
そんな時は大体いやな事になってるんですよねぇ・・・。
気になるのが人情なのですが、私意外と我慢強いので見に行きません。 



またですが差し込み研ぎのこと

「差し込み研ぎ」ですが、ご依頼を頂く事は度々あります。
また近年の研磨で差し込み研ぎが行われた物を見かける事も多々有ります。
”まぼろしの研磨”的に言われますが、なかなか人気の有る研磨方法なのです。
”まぼろしの”的に言われますので余計人気があるのかも知れませんね。 
因みに私も大好きです。  
刃取った御刀とはまた違う重厚感が有るように思います。
実際の研磨方法の違いと言えば、一番大きいのが拭い材料の違いです。
鉄肌なのか、対馬・磁鉄鉱などなのか。
鉄肌の場合は通常の工程の通り進むのが一般的ですが、差し込み研ぎはさまざまな進み方があるのです。
「下刃艶・地艶・拭い・刃艶」これらの要素を色々と組み替える事により、様々な結果が生じます。
さらに地刃の鉄質や映りの有無などにより結果は一様ではありません。
全てでは有りませんが実際研磨をさせて頂く場合、古研ぎ薄錆身などに見る深い色合いの差し込みを目指して研磨をさせて頂いております。(それらは青みなどは殆ど無くひたすら黒いものですが、それを良く無いとは感じません)
古研ぎ薄錆身などの御刀は、打ち粉によるヒケ傷だらけで地肌は大肌のみになっていたり白い肌が目立ったり、錆が多数出ていたりと状態は良く無いのですが、数十年~100年以上研磨されずに居たと言う、大変奥床しい雰囲気をもっています。(おそらく差し込み拭い材料のみの研磨では無いと思われる色合いの物も多数見かけます)
新たに研磨を施しその”奥床しさ”を出すとなると、非常に困難なのですが、せっかく差し込みで研磨をさせて頂くのであれば、その奥床しさを出したい訳で、いつも色々と工夫を凝らし研磨させて頂いております。
そんな中、映り気の強い御刀に対し、なかなか良い研磨方法に辿り着く事が出来ました。

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より自然な匂い口で良い味わいが出せるようになったと思っております。
今後の研磨に生かして行ければと思います(写真では自然さは伝わり難いですねぇ(^-^;)。



平成21年10月18日 日本美術刀剣保存協会京都支部入札鑑定

昨日は協会本部より講師の方に名刀を御持参頂き、入札鑑定会が行われました。
一号 太刀。
細身で輪反り。
小切っ先。二筋樋。
板目・杢目がかなり肌立ち黒い。
小乱れ、小丁子で焼き頭に細かく飛び焼き掛かる。
全体に沈む刃で部分的にうるむ。
映り気あり。
帽子が深くしっかりと残っている。
 粟田口国安と入札。
二号 刀。
身幅広く重ね厚い。 反り浅中切っ先。
棒樋。
太く長く目立つ地景が多数。
広直刃調で良く沸え、足葉盛んに働く。
指し裏横手下にきぶ目の島刃。
フクラの枯れた切っ先で棟際でちょこんと丸く返る。
横手下から切っ先にかけての下地研磨が見事。
 南紀重国と入札。
三号 太刀。
身幅広く重ね厚め。 
先までしっかりと反り、先でも身幅落ちず。
浅くも綺麗な棒樋。
板目・杢目肌立ち気味。 映る。
複雑な互の目。下半低く細かい。
帽子表裏尖る。裏特に綺麗に尖る。
 長船師光と入札。
四号 短刀。
一尺弱か。無反り。三つ棟。
身幅重ね尋常。
総体によく詰む肌。 表裏随所に芯鉄風の荒い鉄が出る。
平地中央付近より棟へ明瞭に映る。
小沸出気の湾れ・互の目。
帽子突き上げて小さく返る。
 来国光と入札。
五号 短刀。
九寸ほどか。 庵棟。 裏少し反り表ほぼ無反り(棟角で見た場合)。 元来は無反りか・・・。
よく詰み若干肌立つ。
直刃で少し湾れ、食い違い刃有り。
綺麗に丸く浅い返り。
 肥前。
 んんこれは迷う。 初代か二代か。
 綺麗にまとまる出来。
 根拠は薄いが食い違い刃が有るので、武蔵大掾忠廣に入札。
 
 当り 
 時代違いイヤ
 当り
 当り
 同然
勝手にですが絶対の自信をもって臨んだ二号南紀重国が時代違いときましたか・・。
切っ先の形状と帽子の行き方、地景の様等々から南紀だと思ったのですが。
時代違いならば来しか有りません。
沸の強さと著しい地景から、来國次と入札。
 当り
 同然
 当り
 当り
 同然
一号 太刀 国安(粟田口・重要美術品)
二号 刀  大磨り上げ無銘・朱銘 来国光 七十七翁(叟)松庵□(紀州徳川家伝来・特別重要刀剣)
三号 刀  備州長船師光 永和二年六月(庄内酒井家伝来)
四号 短刀 来国光(重要刀剣)
五号 短刀 近江大掾藤原忠廣

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大変でしたが、

うちは新型インフルエンザにやられてしまいまして、てんやわんやの一週間でしたが、なんとか家族四人全員無事生還と言ってよさそうです。
怖いんだか怖くないんだかメディアからの情報には本当に振り回されるんですが、小さい子を持つ親と言う立場から言うとかなり要注意だと思いました。
季節性でも同じ様な事が言えるのでしょうが、やはり高熱が怖いです。
子供も40度まであっという間に上がりました(>_<) いつもの風邪だと39度台の熱が有っても全く動じず走り回るのですが、今回はかなり怖い状態になりました。 皆さんお気をつけ下さい。 っと言っても気を付けようが無いと言うのが実情ですね・・・。 うちも手洗いうがいは相当しつこくやってました。(私は仕事がら一日15回くらいは洗剤で手を洗います。そして常に手に灰汁水が付いていますので超綺麗なはずですし(^-^;) うがいは効果意味なしとも言いますし・・。 前から欲しかった「継平押形」を入手!

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江戸中期、近江守継平(刀工)が記録した押形をベースにしています。
現代では石華墨などで茎や刀身の輪郭を写し取りますし、茎の状態や銘もその通り表れ全体にかなり正確な押形となります。
しかし古い時代の押形は、今とは違った手法でとられています。
私も詳しくは知らないのですが、銘などは、実際の刀を見ながら手書きで書体を真似て書き写した程度の物です。
刀身や茎の輪郭に関しても、その通り正確に写した物とは言えなさそうです。
さらに昔はコピー機もありませんので原本を見ながら手書きで書き写す事も行われたでしょうし、写しの写しと言うような事も有ったでしょう。
この継平押形にも多数の現代まで伝わる御刀が納められていますが、少なからず色々な誤差は生じて居るはずです。
が!、切っ先付近の輪郭の描写が大変美しく驚きました。
この原本を知りませんので、印刷の関係上この様に強い線に書き直したと言うだけなのかも知れません・・。
しかし、土屋押形の場合は切っ先の描写にかなり精彩を欠きます。 光山押形や埋忠銘鑑は茎中心の作りですし・・。
普段実際に押形を取って居ると分かるのですが、この継平押形の切っ先付近の輪郭(横手、鎬、小鎬など含め)は、実刀からとった物では無いと思います。
あまりに整い過ぎています。
ではどの様にして出した線なのでしょうか・・・。
刃と棟角だけ実刀からとって後は適当に色んな部位を利用しとったのでしょうか。
興味は尽きません。
(茎の振りや反りに異様な物が何点も有ったので余計興味をそそります)
メノウ乳鉢が割れました(T-T)

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いつも割れそうだと感じつつ、バーナーで少しづつ注意しながらあぶって居たのですが、「カパッ」っと言ったら終わってました。
新品だと¥50,000以上するはずです。辛い。



FAXDM

かなり迷惑ですがな。
登録証のコピーなどに使うのでFAXを置いていますが、うちのFAXのインクリボンは99.999%、不要なFAXダイレクトメールにより消費されてしまいます。
大変もったいないので用紙を空にしていたら、溜まったメモリを消去する機能が無い(>_<) 結局全部印刷しないとダメなダメダメ電話です。 電話は大体子機で取りますので、「ピ~ヒョロヒョロロ~」って鳴ったら直ぐに切り、受信ストップボタンを押しに親機へ。 しかし受信ストップをしてしまうと1分置き位に何度でも連ちゃんで掛かってきます。(DM業者が自動送信してるんです) 仕方なく受信。  ズズズズズズズ・・。  ピー。 色々来ます。 投資や金融関係 (借りませんし買いません)、 HP製作関係 (拙いながらも自分で作ります) コピー用紙屋さん (FAXDMで消費させてから売るつもりですか) FAX用トナーカートリッジ屋さん (FAXDMで消費させて売る気だろ!) ETC販売 (本当に買えるの?!) パソコン販売 (有名メーカーで安くて良いんでしょうが、これが一番しつこいので絶対買いません!) 新型インフルエンザ予防マスク1箱50枚入りで398円(安いやん!) ”FAXDM”でネットで見てみると、「クレームを恐れるな!」てな事をDM会社が書いていますので、そのスタンスでやってるんですねぇ。 営業努力と言う事ですね。  反響あるんでしょうね。 マスク買おかな(^-^;



チリ埋

画像整理をしていましたら、かなり以前の物ですが埋鉄練習の画像が出てきました。
細かく切断されてしまった刀身のチリの部分に埋鉄をする練習をした時の物です。
最終的にはあまり上手く行かなかったのですがこの残欠の様に切断されてしまう前に、修理再生の道も有ると言う事を見て頂けたらと思いUP致します。
かなり細かく切り刻まれてしまった刀身で、再生不可能かと思ってしまう様な深錆に覆われておりました。
ほんとに切り刻み状態でしたので練習用に錆を落とすのに小さ過ぎて握れないので苦労した事を思い出します。

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(ちょっとタガネを入れて表面の錆を削った写真です。樋中に錆がこぼれています)
なんとか頑張って錆を切りました。
結果、錆切り前から押し切る事は出来ないと思われた部分が大きく凹んだ状態で残りました。
さすがにこれだけ凹んでいると押し切ると減り過ぎてしまいます。
この様な状態で有る事から切断されてしまったと思われますが、それ以外の部分はほぼ綺麗に錆を切れた訳ですし、あとはここを埋めれば再生出来るんです。

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どんどん彫ります。
棟焼きも無く、それほど硬くは無い鉄です。
入れる鉄は山城の室町期の物にしました。(こだわってこれにした訳ではありません)

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チリに芋虫。

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かなり高く盛り上がった状態で埋まっています。
普通はこんなに高い物は入れませんが、訳有ってこんな高い物を入れています。
もしも今この仕事をしたとしてもこれに近い物を入れると思います。
しかしちょっと雑な仕事です・・・。 多分透き間が空くと感じていました・・。
とりあえず膨らんでいる部分を削って行きます・・・。

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やはり棟に割れ状の物が出ました。 
しかしこれは、入れた鉄と刀身との直接の透き間では有りません。
上手く説明出来ませんが、この状態になった場合でもかなり強く鉄同士がかみ合っていて、もしもこれを外そうとしても、通常の大きさの金槌とタガネで頑張ってガンガン叩かなければ外れないはずです。
よくある棟割れ状で治まったと言う所でまずまず。
他にも少し甘い部分もありましたが画像が有りませんm(_ _)m
切断刀身での練習と言う事で私の気合が足りずあまり上手く仕上がっては居ないのですが、いずれにしてもあの程度の朽ち込みの場合は切断廃棄には及ばないと言う事をお分かり頂けたのではないでしょうか。
細かく切断された残欠は修理資材としては大変ありがたい物です。
しかし、代々家に伝わる御刀であり、この先もより美しい状態で残して行きたいと言う様な場合は、この様に再生の道も有るわけです。
切断や廃棄は究極の最終手段です!
その前にお近くの研師にご相談を(*^ー^)ノ



ハイスで寄せ

埋鉄用の資材ですが、いつもお世話になっている方々から御提供頂いたりして色々と集まっています。
本当にありがとうございます。
これらは所謂”残欠”と言うような品で、戦後に進駐軍の接収を避けるため細かく切断された物や、刃切、大きなフクレなどの致命的欠点が理由で細かく切断された物などです。
これら埋鉄資材には、フクレ、フクレ破れ、鍛え割れなどの傷類が出た物も多くあり、この傷部を実験や練習の材料とする事で二重の利用価値が生まれます。  大変ありがたい品なのです。
昨日はお昼の休憩時間を利用して、先日UPしたハイスタガネの一本から寄せタガネを作り埋鉄資材に有る傷の部分を寄せてみました。
・・・。
ハイス硬っ。
めちゃめちゃキンキンなんですねぇ。
まそりゃ皆焼なんだから当然ですが。 
これは寄せにはダメなんでしょうね。
今まで通り炭素鋼で行きましょうか。
なんだか炭素鋼の応用性と言うか大らかさ(もちろん繊細で有る事は言うまでもありません)をほんのちょっとだけ実感した気分です。
私の仕事は研ぐばかりで鍛冶をする方々の事は殆ど知らないのですが、”鉄”とは色々と知るにつれ人を魅了する何かが有るのでしょうねぇ。
おおむかしの人がこんなに素晴らしい刀を造って居たと言う事に改めて驚きます。



高速度鋼

私にとってはちょっと難しい直しが続きますのでタガネを購入。
いつもは炭素鋼を使っていますがハイスを買いました。

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幾人かの方にハイスの特性や処理方をお教え頂きましたが、私の性格にはハイスが有ってるでしょう。



先日の磨き棒(へら)

先日ブログにも書きました売店で買った磨き棒ですが、めちゃめちゃいいじゃないですか!
道具類ですので当然使う人の好みも有りますが、私は凄く気に入ってしまいました。
本当に気に入ったので4、5本まとめて買いたい所ですが、多分この一本で一生使えますので買うのは我慢します(^^)
この形のヘラは私は初めて使ったのですが、売店で売ってるくらいですのでもしかしてこれが一般的なのでしょうか・・・。
なんだか10年くらい出遅れた感が・・。 まぁ今出会えた事を喜ぶ事にしましょう!



陸奥守吉行

この名前を聞くと、御刀好きの方よりも幕末ファンの方の方がピンと来るかも知れません。
そうです、坂本龍馬の佩刀として知られるあの「吉行」です。
それその物では有りませんが、今日は陸奥守吉行の御刀を拝見致しました。
龍馬が暗殺されたその時、龍馬が握っていた吉行(二字銘)は、大正時代に焼けてしまい、現在は京都国立博物館の蔵品となって居るそうです。
入手の経緯としては、京都の龍馬が土佐の実家の兄に手紙で頼み、西郷を介して龍馬の手に渡ったそうです。
吉行は土佐の郷土刀です。
その後、龍馬は吉行を喜び京都で幾人かの鑑定家に見せ、「一竿子忠綱位に見える」との評価を得、大変喜んで居たそうです。
陸奥守吉行は大和守吉道門ですので、中河内や一竿子の様な丁子を焼いて居たのでしょうね。
(この辺の内容は「坂本龍馬と刀剣」 小美濃清明 ・ 新人物往来社 から。)
暗殺時は斬り込みを鞘ごと受け、棟に酷い斬り込みが残っているそうです(私は現物を見た事が有りません)。
本日拝見した吉行は、「陸奥守吉行」と受領銘入りです(保存合格済み)。
大変良い状態の茎で、錆色も大変良く、丹精な銘です。
私は吉行を拝見するのは初めてだったのですが、こんな作風も有るのかとちょっと以外でした。
「坂本龍馬と刀剣」に、吉行二字銘の刀の茎の押形と物打ちより上付近の刀絵図が載せられており、詳しい説明が無いので龍馬愛刀の吉行と理解して居たのですが、その刃文は匂い口締まり気味の中河内や大和守吉道の様な丁子刃です。
それと並べて粟田口忠綱の押形を参考に載せ、「一竿子忠綱くらいに見える」との当時の鑑定の意味を解説して居ます。
先ほどネットで、龍馬愛刀吉行は焼け身と言う事を知り、よく分からなくなってしまいました・・・。(再刃?!)
で、この本の刃文のイメージをずっと持っていましたので、本日拝見した吉行とのギャップが大きかったのです。
互の目で少し尖り交じりで部分的に濤乱風にもなっています。
かなり沸付き、私的には呰部水田を思い起し、そしてなかなか良い御刀で驚きました。
 さて研ぎの方は石堂の内曇です。
石堂は鎬柾と言いますが、板目で地からの映りが鎬地で最高潮に達しています。
磨くのがもったいない・・・・。 
この鎬地は平地に負けない良い肌です。