チリ埋

画像整理をしていましたら、かなり以前の物ですが埋鉄練習の画像が出てきました。
細かく切断されてしまった刀身のチリの部分に埋鉄をする練習をした時の物です。
最終的にはあまり上手く行かなかったのですがこの残欠の様に切断されてしまう前に、修理再生の道も有ると言う事を見て頂けたらと思いUP致します。
かなり細かく切り刻まれてしまった刀身で、再生不可能かと思ってしまう様な深錆に覆われておりました。
ほんとに切り刻み状態でしたので練習用に錆を落とすのに小さ過ぎて握れないので苦労した事を思い出します。

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(ちょっとタガネを入れて表面の錆を削った写真です。樋中に錆がこぼれています)
なんとか頑張って錆を切りました。
結果、錆切り前から押し切る事は出来ないと思われた部分が大きく凹んだ状態で残りました。
さすがにこれだけ凹んでいると押し切ると減り過ぎてしまいます。
この様な状態で有る事から切断されてしまったと思われますが、それ以外の部分はほぼ綺麗に錆を切れた訳ですし、あとはここを埋めれば再生出来るんです。

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どんどん彫ります。
棟焼きも無く、それほど硬くは無い鉄です。
入れる鉄は山城の室町期の物にしました。(こだわってこれにした訳ではありません)

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チリに芋虫。

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かなり高く盛り上がった状態で埋まっています。
普通はこんなに高い物は入れませんが、訳有ってこんな高い物を入れています。
もしも今この仕事をしたとしてもこれに近い物を入れると思います。
しかしちょっと雑な仕事です・・・。 多分透き間が空くと感じていました・・。
とりあえず膨らんでいる部分を削って行きます・・・。

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やはり棟に割れ状の物が出ました。 
しかしこれは、入れた鉄と刀身との直接の透き間では有りません。
上手く説明出来ませんが、この状態になった場合でもかなり強く鉄同士がかみ合っていて、もしもこれを外そうとしても、通常の大きさの金槌とタガネで頑張ってガンガン叩かなければ外れないはずです。
よくある棟割れ状で治まったと言う所でまずまず。
他にも少し甘い部分もありましたが画像が有りませんm(_ _)m
切断刀身での練習と言う事で私の気合が足りずあまり上手く仕上がっては居ないのですが、いずれにしてもあの程度の朽ち込みの場合は切断廃棄には及ばないと言う事をお分かり頂けたのではないでしょうか。
細かく切断された残欠は修理資材としては大変ありがたい物です。
しかし、代々家に伝わる御刀であり、この先もより美しい状態で残して行きたいと言う様な場合は、この様に再生の道も有るわけです。
切断や廃棄は究極の最終手段です!
その前にお近くの研師にご相談を(*^ー^)ノ

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