本能寺「五箇伝の名刀展」大和・山城編『千手院(一)』
本能寺宝物館「五箇伝の名刀展」無銘 千手院 (重要刀剣)

千手院派は、東大寺あるいは興福寺に隷属したと考えられる一派で、若草山西麓の千手観音を祀る千手堂付近で作刀した刀工群と伝えられています。
手掻派の作刀地とも近接し、この一帯は古くより大和における刀剣製作の中心的地域でした。
大和鍛冶は古代国家の中枢と深く結びつき、寺社勢力の庇護のもとに展開したと考えられています。東大寺・興福寺などの大寺院は刀剣製作にも関与し、僧兵の存在と相まって、その需要と技術の蓄積を支えていました。千手院派もこうした環境の中で成立した一派とみられます。
千手院派は大和五派中最も古い系統とされ、その成立は平安末期にまで遡ると考えられています。
しかし大和鍛冶の初期段階には在銘作がほとんどなく、その実態をうかがうには古伝書に頼るほかありませんが、千手院派の作品はその大和鍛冶成立初期の姿を今に伝える存在といえるでしょう。


