拭を作る

砥石の話、もういい加減飽きたわ!といわれましたので、ちょっと別の話題でも。
といってもこんなお話になっちゃうんですが・・・(^-^;

使用していたお気に入りの拭いを使い切ってしまい、この一ヵ月ほど、新たな拭いを作っていました。
せっかくの機会なので、複数の刀鍛冶さんから頂戴した鉄肌や超鋼合金も試します。
(炉の液晶温度表示は壊れているわけではありません。肉眼では普通に見えますが実際は高速でランダムに点滅していてカメラで撮ると歯抜けになります)
作刀原料の違いか、作刀工程の違いか、それとも拭いの製作方法の違いなのか、原因は分かりませんが拭いの効力はそれぞれ全く違う物が出来ます。

焼き上がった超鋼合金と鉄肌。

超鋼合金の拭いです。この色を見た時点でダメなのは歴然。
以前青紙スーパーで作った拭いも確かこの色でしたか。
何せ鋼の知識無くやみくもに試しているだけなので、こういう失敗も多いのです。
以下青紙スーパー系ブログ
鋸刃 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
みつからない | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
青スーを | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
青スーを鉄肌にする | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
低硬度の拭い | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
拭いの続き | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)

今回期待の拭いです。
しばらく前に一度作ったが今一歩だった鉄肌の焼き方を変えました。
もしもこれがOKならば、拭いの良否は拭いの製作方法で決定される事になります。
二十数年前凄い拭いに出会い成分分析に出し衝撃を受けて以来、ずっと解決したかった問題です。
そんな凄い拭いを普段から普通に使っている研師が居るわけで、その差は大きいです。
しかし自分で解決して辿り着く面白さはありますし、芸人さんのエピソードトークではないですが、失敗の経験は宝です。



天然砥石比較 117〜129

No.117
No.118

No.119
No.120
No.121
No.122
No.123
No.124
No.125
No.126
No.127
No.128
No.129
(研ぎ汁画像は順不同)

20代の頃、二十数本同時に購入した物で、相岩谷だと思います。(菖蒲も混ざっているのかも知れません)
滋賀県高島市では、相岩谷と妙覚谷で砥石を産出していました(両山とも既に閉山)。
購入当時、相岩谷の採掘をされていた木村潔さんがご存命で、木村さんから色々教えて頂きながら選んだ事を覚えています。
妙覚谷は共栄さんが採掘販売をされていて、以前は在庫がまだ沢山ありましたが、数年前に聞いた話ではもうかなり減ったとか。
採掘されないのだから、当然減る一方です。
天然砥石比較 50〜59」の少し柔らかめの物が私には過去最良の刃艶でしたが、それを見つけた時は共栄さんの先代がご存命で、その時も色々お話を伺う事が出来ました。もう採掘されないという事はそういうお話も聞けなくなるわけです。

滋賀県高島市、相岩谷採掘場付近。



天然砥石比較 114〜116

No.114
No.115
No.116

No.114
厚さ34mm
砥石硬度  6/10
研磨力 5/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

面が強く付いているため少々硬く感じますが、完全フラットならばもう少し柔らかい使い心地になります。(研ぎ汁が分離していますが、この状態になるという事はある程度以上の硬さがあるという事です)
私は刃引きの場合、砥面に定規を当てるとカチッと両端が揃うほど完全フラットな状態が好みなのですが、時に丸みのある内曇りも必要です。
古名刀などは地ムラを抜かない事も刀を生き長らえさせる大切な考え方です。
地刃の凹みを残した刀を完全フラットな内曇りで引こうとしても、凹んだ箇所に砥石は当たりません。その場合砥面の丸い内曇りで短く引くか、速度を落とし、凹み部分を丁寧に効かせて行きます。

No.115
厚さ34mm
砥石硬度  5/10
研磨力 3/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

やはり少しでもヤケていると苦手ですねぇ。。

No.116
厚さ33mm
砥石硬度  5/10
研磨力 3/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

今回の三本はコメントも数値もあまりパッとしませんが、実はそれほど悪くない砥石です。
他の砥石のレベルが高過ぎという事で。



天然砥石比較 112〜113

No.112表面
裏面
側面

No.112
厚さ5cm。表裏とも面が付いています。側面を見ると表裏で多少質が違う様です。

表面
砥石硬度  6/10
研磨力 4/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

掛かりが今一なので裏を。。

裏面
砥石硬度  6/10
研磨力 4/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

違いはありますが、微妙過ぎて10段階表記では表せません。


No.113

砥石硬度  4/10
研磨力 6/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

対馬で磨った感触は非常に硬く、研ぎ汁もあまり出ず。
しかし刀を当てると弾力が素晴らしく、シャリシャリと非常によく卸りる。そして砥石も柔らかく感じる。
大平で刃取りをしなくなり久しいのですが、久々に大平の石を「刃艶重要」に分類しました。



天然砥石比較 110〜111

No.110
No.111

No.110
砥石硬度  4/10
研磨力 5/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

No.111
砥石硬度  6/10
研磨力 5/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

No.110 
厚さ5㎝以上。一瞬大平じゃなく見えますが大平です。シャリシャリと大変食いの良い砥質。刃引きとして質の高い石ですが、カットして刃艶にすれば、ベタッと重くならず刃縁をぼかしやすい刃艶になりそうです。
No.111
砥面が丸過ぎていまいち掴み切れないのですが、悪い質ではないようです。ただこの様に暗い色の内曇はあまり好みではない。 



天然砥石比較 108~109

No.108表面
裏面
側面
No.109

No.108
砥石硬度  5/10
研磨力 1/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

No.109
砥石硬度  5/10
研磨力 7/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

No.108は結構以前から持っていますが、使った記憶がありません。試したり棚から出した記憶すら無く。しかし番号を記していますので試しているのでしょう。
思いの外硬く、そして驚く程に研磨力が無い。だから覚えていないんですかねぇ。
一見大平に見えますが、実は多分違います。どの山産でしょう。経験の無い砥当たりで。
No.109。こんな色なのですが、ちょっと良い石です。30年前から使っていて、主力という訳ではありませんが度々必要になり、その度に助けられる石です。



天然砥石比較  107

表面
裏面
側面

砥石硬度  3/10
研磨力 6/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

数十年前に産出された菖蒲。大型の砥石で厚みも購入時は53mmあり、堂々の佇まい。
おそらく5、6年前に購入し、しっかりした焼きの刀に対するメインの砥石として、末古刀~新作刀までをガッツリ研磨してきました。
先ほど厚みを測ると一番薄い箇所で44.7mm。一年で1.4〜1.7mmペースの消費です。
本当にガッツリ使いまくって来ましたが私は多分砥石があまり減らないタイプの研師なのと何より大切に使って来ましたので減りは最小限ではないかと思います。
同時に購入した兄弟石を新品状態でマーティン君に渡し。スロバキアから帰って来ると半年で3cmを切る程度にまで減っていました。。
購入した所には、さらに兄弟砥石があり久々にお値段を確認すると、一本50万円也。やはり砥石を減らす事なく効かせるテクニックは必須。



天然砥石比較 105~106

No.105
No.106

No.105
この手のカラスの砥石は、あると妙に嬉しくなる石です。少し狭い幅ですが研ぎやすく、普段使いの小刀を研ぐのに使用しています。
どの山産でしょう…。おそらく梅ケ畑周辺の山でしょうか。
こういう砥石に刀を当てた研汁を見る機会、実はあまりないと思います。

梅ケ畑周辺地図。この範囲に、鳴滝、中山、大突、奥殿、菖蒲等々多くの砥石山が集中しています。


No.106
奥殿でしょうか。新田か。私にはちょっと分かりません。。
厚さは5.2cmあり、立派な砥石。
大平や水木原などの経験から見れば硬くはない石に見えますが、実際はかなり硬く、巣板なのでしょうが戸前の様な当たり具合。
慣れない山の石を使おうとする場合、ゼロから構築する事になる。

新田の場合この辺りです。大平や水木原も近い。

天然砥石比較 103〜104

No.103
No.104

No.103
砥石硬度  4/10
研磨力 5/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

No.104
砥石硬度  4/10
研磨力 4/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

No.103は非常に良い刃引きです。
No.104は刃引きとして使用可能だが、登場する機会は少ないはず。
今まで「砥石は見た目は関係ない」的な事を書いて来ましたし、実際そうなのですが、砥石としての佇まいもやはり大切だと思っていて、購入する際の判断基準にはなります。



天然砥石比較 101~102

No.101
No.102

No.101
砥石硬度  6/10
研磨力 4/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

No.102
砥石硬度  6/10
研磨力 3/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

どちらも見た目は硬そうに見え、特にNo.101は硬く見える。しかし引き感はさほどでもなく。
やはり少しでもヤケていると使い難い(好みの問題です)。
鉋を天然砥で研がれる方との交流が無くて分からないのですが、鉋の場合の天然砥の使用出来る範囲はどの程度なのでしょう。
研磨に要す時間が変わるだけで、ある程度の範囲を使用出来るのでしょうか。