さぁ!

やってまいりました新年度です! (ちょっと過ぎちゃいましたが・・。)
こういう仕事ですので新入社員が入ってくる訳でも無く、新年度だからと言って特段変わった所は無いのですが、区切りが有るのは気持ちの良い事です(^O^)♪
本日は年度の初めに相応しい名刀を拝見致しました。
備前の古いところ。
大磨り上げで金象嵌銘(花押無く詳細不明。暢達な書体に鑢目のしっかりとした本式の金象嵌です)。
今まで見たこの系統で、確実に最高の出来でした。
拝見した時は極めと特徴がいまひとつ合致しなかったのですが、先ほどから色々と調べて居ますと、なるほどよく極められているなぁ・・・っと感服致しました。 ・・・っと言っても作刀数が大変少ない刀工ですので資料も殆ど無いのですが・・。
作刀数少ない刀工と言われる中であえてこの個名に極めたのですから、江戸時代の鑑定家は(も)凄いなぁと感じます。
全国からどんどん名刀が集まるようなシステムでもなかったはずですが、日々かなりの数の御刀に触れ鑑識眼を磨かれていたのですね。(江戸には全国から大名が集まり名刀も集まりますが)
作刀数の少ない(在銘が少ない)刀工に極める場合、
「この出来ならば、あの刀工にこの様な出来が合っても然り」と言う事で、個名の極めを付ける事も有る訳ですが、本日拝見した御刀の極めはもっと確信的なのではないかと感じました。
御刀の出来はと言いますと、季節で言うと夏でも無く冬でもなく・・・。
匂い口優しく、派手で無く、しかし地味過ぎず。 まさに春、桜八分(九分)咲きと言った感じでしょうか。
”(徳)室温常忠”の折り紙は「古折り紙」と称され、現代に於いても特に重要視されています。



錆身脇差

 本日は錆身の細い脇差を拝見しました。
遠目に見てヒョロッっとした印象。 
一尺七寸ほどか。
反りはやや深め。
茎の錆も若く江戸末期と見え、乗りも甘い感じです。
表の腰部分だけに地艶を少し当てる程度まで研ぎ進められています。
帽子は改正くらいでしょうか。
残りは錆で何も見えません。
細いし茎も若いし、新々刀の元服刀かなと言うつもりで手にしたのですが、拝見して驚きました!
凄い刃です。
長船系の最上クラスか、鎌倉後期の一文字か、畠田か。
束刀の一振りらしいです。
こんなのが雑ざって居る事も有るのですね・・・(*^ー^)ノ



京都支部定例入札鑑定

 本日は、いつもの様に京都私学会館にて京都支部入札鑑定会が行われましたので参加させて頂きました。
本気度100%で臨んだのですが、恐ろしく外してしまいました(T-T)
一号 
 太刀姿。 明治~昭和と思われます。 沈んだ綾杉肌。 上手な龍の彫り。
匂い口はかなり沈んでいます。 金着牡丹祐乗ハバキ?
貞勝か貞一か悩む。 姿や出来は貞勝の典型と思われます。
 龍が緻密なので、月山貞一(明治)と入札。
二号
 刀。 二尺四寸ほどか。 中切っ先。 反り少し深め。 大変良く働く中直刃。小さい尖り刃交じる。 古刀っぽい雰囲気。 金着太刀ハバキ。
先に三、四、五、一号刀を見たのですが、いずれも時代が若く、二号は古く見えるが絶対に若い物だと思います。
刃中大変良く働いていますが、かなり硬そうな鉄。 匂い口がムラになり深くなって居る部分の沸は荒くなっています。
地鉄は全体に硬く、白ける。
太刀ハバキはもしかしたら古い物かも知れませんが、所持者が入札鑑定時に面白いのであえて太刀ハバキにしたのか・・・。
しかし名前が出てきません。 今日は同然表を持って来なかった事を後悔します。
 新々刀 波平安某と入札。
三号
 刀。 二尺二寸ほどか。 切っ先小さめ。 小鎬先がかなり下がる。 反り大変浅い。 身幅重ね共に大人しい。
湾れ刃。 匂い口沈む。  帽子深く無造作。
地刃共に少し荒びた感じで、古調だと錯覚しそうです。
初代忠吉の志津写しでしょう。 
匂い口も沈んでいますし、全体の雰囲気から忠吉銘前期作と思う。
 秀岸銘忠吉と入札。
四号
 刀。 身幅重ねともしっかりしています。 二尺四寸ほど。 反り五分ほどか。
丁子と細い互の目。 焼頭がヒョコヒョコと飛び出しています。
小沸出来。 足長めですが、先不揃い。 帽子の返りが深く硬く止まる。
鎬地に細い棒樋(チリが広い。刃側と棟側の広さが違う。 重ねからして研ぎ減りでは無いかも)
わぁ全く分らない・・・。
おそらくハズレですが、分らないので城慶子正明と入札。
五号
 短刀。 一尺か、強か。 重ね厚め。 三つ棟で真ん中かなり細い。
表裏に刀身に比して小さめの彫り有り。
異質の鉄を混ぜた大肌。 少し綾杉掛かる。
刃は沸出来の互の目湾れ。
 会津十一代兼定と入札。
 然
 イヤ
 当
 イヤ
 イヤ
一号は貞勝だったのですねぇ。  
後で田中貞豊刀匠に、このハバキは貞勝に大変多いハバキだと教えて頂きました。
二号は全く分りません。
 古く見えますし、武蔵大掾忠廣に入れようと思ったら、波平でイヤなのですでに西海道はアウトです(T-T)
 古く見える物でそれらしい刀工が出てこないので、出来は全然違いますが、播磨守輝廣に入札。
四号これまた全くわからず・・・。
 
 沸具合と焼頭は違うと思うのですが、紀州為康と入札。
五号は会津十一代兼定の札で大満足していたのですが、ダメとなると大変苦しいです・・・。
 
 大分違うのは承知ですが、肌物と言う事で、一貫斎義弘と入札。
 然
 イヤ
 当
 イヤ
 イヤ
二号は改めて見る気力も有りません。
 新刀綱廣と入札
四号 大阪の新々刀に入札しようとしていましたが、「大阪じゃないよ」と言ってくれた方がいて、
これだ!っとばかり越前兼植と入札。 急に元気になって来ました(^^)
五号 もう全く分りません。
 周防永弘と入札。
 然 
 イヤ
 当
 イヤ
 イヤ
 一号  月山貞勝 昭和十一年紀
 二号  加州住高平
 三号  肥前国住人忠吉作
 四号  播磨守忠国
 五号  月山貞一
 二号高平にはこんな刀が有るのですねぇ。大変勉強になりました。
 三号は秀岸銘では無く住人忠吉だったのですね。絶対そうだと思い余計な入札をして外すと恥かしいです・・。
 四号、兼植に入札して満足しきって元気になって居たのに答えは肥前でした(^-^; 新刀新々刀は難しいです。
 五号ですが、最初見た瞬間に「綾杉交じりだが、絶対に貞一では無い!」っと確信を持って貞一以外に入れ続け たのですが、これは痛い外し方でした(T-T)

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最近は

ちょっとブログには書いていませんでしたが、最近も色々と珍品名品を拝見致しております。
とある大大名家より昭和初期の売立てで流出した非常に珍しい御刀で、長年愛刀家が秘蔵していたため世に出て居ない品です。
近年発行の書籍で「こう言う物があるらしい」的に記載が有るのを発見しましたが、現物はそれ以上の品でした。
また、歴史的理由で銘を改竄された御刀を二口拝見。 (それぞれ別の理由で)
いずれも良刀であり、茎は触られていますがそれもまた歴史。貴重な資料です。 
大変保存状態の良い太刀拵えを拝見。
江戸末期の物でしょうか・・。 当たり一つ有りません。 本当に大切に大切に扱われて来たのでしょう。
中身は鎌倉末期の在銘太刀です。  鎌倉期の大和千手院かと思いましたがハズレました。
鎌倉末期の大和物在銘年紀入り平脇差をしずしずと拝見。
ん~・・映画は難しいのはダメなのでワ~っと言うハリウッドが楽しいですが、刀はこういうのが好みです。
典型的慶長新刀の平身を拝見。
慶長期は鎌倉後期と同じ様に、各国で名工が多数輩出された時代です。
それぞれ個性は強いのですが、なぜかどこか共通性を感じる出来口で、何か引き付けられるものを感じます。
個人的にですが、慶長新刀全般に少々荒びた感が有ってもそれすらも欠点とは言わせないパワーを感じます。



古三原をUP

研磨記録、「古刀・備後国」に古三原をUP致しました。
大磨り上げ無銘ですが、姿に優美さを残し、また最良の地鉄でした。

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古三原に

先日、了戒か直綱を研磨記録にUP予定とお知らせしましたが、準備の都合で古三原に変更させて頂きます。

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了戒・直綱

近日、了戒(山城国・鎌倉時代)もしくは直綱(石見国・南北朝時代)を研磨記録にUPする予定です。



記念の品

先日、田中貞豊刀匠より記念の品として携帯用目釘抜きを頂きました(^O^)♪  
記念の銘も切って頂いていて感激です!

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試作の短刀などの茎(なかご)を目釘抜きとして再利用した品で、玉鋼100%です!ちゃんと化粧鑢も入っています(^^)
転用の品ではありますが、ゴツゴツとした玉鋼の塊からこの状態になるまでに、いったいどれだけの労力が費やされて居るのか・・・それを想像しただけですでに愛着が湧いてきます(^^)
余技として少数ですが制作されたようですので、もしかしたら5月の連休時期にみやこめっせ(京都市勧業館)で行われる恒例の京都刀剣祭り現代刀ブースで入手可能かも・・・?
 
そうそう、私事ではあるのですが(いつも私事ブログですが)、昨年義父への記念の品として貞豊刀匠に小刀の製作をお願い致しました。
小刀は登録の対象外の品でもありますし、品位を落とさぬ範囲であれば有る程度の要望におこたえ頂けると言う事でしたので、この小刀を研磨をさせて頂いた旨の銘を私自身が切らせて頂きました(^-^;
正直私の銘が作品の品位を汚してしまっているので、画像のUPは控えさせて頂きます・・。
それでも、ホームセンターで鉄板を買ってきて、毎夜銘の練習をするのは大変楽しい経験でした(^O^)♪
銘切り素人の私にとって小刀は銘のスペースが大変小さく、さらに深く切ると刃鎚効果で刀身が曲がってしまいますのでかなり難易度が高い物でした。。。
ほんの小さな物なのですが、玉鋼を使い太刀などと同様に鍛錬し焼き入れしそして研磨された輝きに、大変喜んで頂く事が出来ました!



平成13年7月15日 支部入札鑑定

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 私、元来データをとったりそれをキッチリと整理したりする性格ではありません。
ですので入札鑑定についても書籍は持たずかろうじて同然表だけ持って行き(書籍は持ってゆくべきだと思います)、やりっ放しで、現在は過去の入札用紙だけがなんとか残っている(一部紛失)と言う状態です。
しかも、自分の入札しか記しておらず、正解が分らない態の用紙も多々あります。
 入札鑑定と言う大変貴重な勉強の場でなんともったいない事をしているのか・・・と反省し、最近は用紙の裏に少しメモッたりはしていますが・・・。
 しかし名刀を拝見し、しかもそれを実際手に取って見せて頂けると言う事と、100点目指して色々考えながら札を入れる楽しみを人並み以上にしっかり味わっている自信は有ります(^O^)♪
  13年7月15日支部入札鑑定
一号 一の札 靖国刀  同然
二号 一の札 石堂是次
    二の札 石堂常光
    三の札 石堂為康 同然
三号 一の札 石堂是次
    二の札 石堂常光 
    三の札 石堂為康 同然
四号 一の札 長船則光 当り
五号 一の札 出羽大掾 イヤ
    二の札 直秀    イヤ
    三の札 水心子   イヤ
この時の正解は何だったのか・・・?! 
四号の則光だけは当っていますので分かりますが、刀だったのか脇差か・・・?
以下勝手な想像です・・・、定寸、反りがしっかりと有って少し腰反り気味。 身幅狭めで重ね尋常。 
棒樋をハバキ上で丸留め。 ベッタリと全身に映り有り。 完全な匂い出来の少し間伸びした互の目、すこし角ばる互の目混じり。   こんな感じで。
一号は確か直刃短刀でした。 肉がゴロンとついて細名倉以降効いていない状態だった記憶が・・・。 短刀はほんの少ししか存在しないはずですが、思い切って靖国刀に入札した記憶があります。
確か正解は新々刀、高橋長信と言う事だったか・・?!
二号三号は同じ刀工で揃えて各札入れています。
福岡、江戸、紀州と石堂ですねぇ・・。 紀州で同然ですが、確か正解は多々良長幸だったか橘康廣だったか。
長幸だったでしょうか。 だとしたら本国が紀州ですのでおまけ同然と言う事かな?!
全く同じ作風で元来の大小だったと思います。  以外に、同一刀工でしかも元来の大小と言うのは少ないもので貴重ですね。
五号は全く覚えて居ません・・・。
出羽大掾国路でイヤ、勝弥直秀でイヤ、水心子正秀でイヤ・・・。
多分直秀でイヤとしたのにまた正秀と入って来て、あまりのアホ解答っぷりに、「もっと勉強しなさい!」と言う意味でイヤとされたのだと思います(^-^;
それにしても利かない目で、出羽~直秀~水心子と見た刀とはなんでしょか・・・?
造り込み健全で中切っ先少し延びた・・・・、少し反りの有る寸詰まり脇差。  イヤイヤやはり、
造り込み健全で中切っ先少し延びた二尺四寸台の乱刃の刀でしょう。
最初の出羽の札は忘れて、匂い出きですが、刃中に向かい匂いが大変深く、少し尖り気味で片落ち風の互の目などを交えつつ。 
地鉄は出羽の札を少し考慮して、詰みすぎず板目など交えて地沸付き晴れた地鉄。
ん~、畿内、東海道、水心子系を外してこの作風(想像上)となるとかなり難しい札となって来てしまいました・・・。
うわぁもうダメです解らなくなって参りました・・・。
と言う事で、時代違いイヤだった事にして、特別重要刀剣の畠田と言う事にしておきましょう(^-^;
そういえばもう10年ほど前ですが、特重の無銘備前三郎国宗を栗原信秀と言ってしまい、その2年後に同じ刀をまた信秀と言ってしまった事が有ります(深い意図は全く無く単純に健全な古刀の経験が少ないだけです)。
本当に減っていない古名刀は浅い目で見れば新々刀としか見ることが出来ないのですねぇ。
はてさて少しは進歩したのでしょうか。機会があればもう一度拝見したい名刀です。



支部入札鑑定 平成20年12月21日

一号 
 短刀。八寸ほどのすっきりとした短刀。 帽子倒れ。 室町中~後期に見えます。
一号にこれを持ってくると言う事は”来”などの古短刀か。
いや”来”と見せて実は美濃物と言うパターンか。
いやいや之定と見せて実は・・・。
 手掻包真と入札。
二号
 刀。 反りまだ有り、茎尻に銘状態でしょうか。 腰は大きめ先に行き直ぐ調の乱れ。 
至徳、明徳でしょう。
 長船政光と入札。
三号
 短い刀。 二尺一~二寸か。 広めの直刃。 匂い口深く、沸えるが少し沈む。
平地に鍛接の筋が長く一筋有り、途中途切れつつも同一線上に続く。
この筋に大変迷うが出来口を採る事にする。
 肥前初代忠吉と入札。
四号
 脇差。 大切っ先で反り深め。素剣等彫り有り。
わぁ分らない・・・・。 寛文以降か!?
 尾州信高と入札。
五号 
 平脇。 一尺一寸ほどか。 棟寄りに広めの樋。
兼房乱れ。
ここは京都支部なのでっと・・。
 大兼道と入札。
  イヤ
  当り
  通り
  イヤ
  同然
一号 あわわ。いらぬ事を考え過ぎました。
 之定に入札。
三号 んんん。 やはりあの白い筋は、いつも思う通りです。
 薩州正良と入札。
四号 ちょっと奇抜な脇差はこれか。
 丹後守兼道と入札。
五号 同然になってしまったか・・・(T-T) また妙な札の入れ方をしてしまった。 しかしこれが入札鑑定の楽しみです(^^)
  同然
  当り
  当り
  国入り
  同然
四号は全く分らなくなってしまったので、同然表を開きました。
大阪で諸条件に合う人は・・・。 全く見つからないので鈴木貞則に入札。
  同然
  当り
  当り
  同然
  同然
 一号 短刀 兼先
 二号 太刀 長船政光
 三号 刀  薩州正良
 四号 脇差 井上和泉守国貞
 五号 脇差 兼房 
三号の正良ですが、薩摩刀にこの手の白い筋の有る物をよく見ます。 鍛錬方法の表れなのでしょう。 芋蔓(いもづる)もこれに関連するのでしょうね。 他国にはあまり見ません。
普通に薩摩刀に見える出来ならば簡単なのですが、全くそう見えない場合、もしもこの筋が有れば薩摩に入れれば当りそうです。 
いつもそう思うのですが、どうしても出来に負けてしまいそっちを重視してしまいます(>_<) しかし今回で確信しました!

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