全身押形採拓実演 北野天満宮
3月28日(土)、北野天満宮の文道会館にて刀職者実演が行われます。
実演者は、白銀師・平田実さん、柄巻師・遠山和康さん、装剣金工・木下宗風さん、そして私です。
私は全身押形採拓で参加いたします。
太刀の全体形状を写し取り、茎を石華墨等を用いて採拓、各部の線を引いたのち、墨による刃文の描写を行います。
時間は午前10時頃~午後3時頃まで。(お昼休憩あり)
3月28日(土)、北野天満宮の文道会館にて刀職者実演が行われます。
実演者は、白銀師・平田実さん、柄巻師・遠山和康さん、装剣金工・木下宗風さん、そして私です。
私は全身押形採拓で参加いたします。
太刀の全体形状を写し取り、茎を石華墨等を用いて採拓、各部の線を引いたのち、墨による刃文の描写を行います。
時間は午前10時頃~午後3時頃まで。(お昼休憩あり)
山城国来派の全身押形です。
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(1)の重文国行太刀は来国行の陽の造り込みの代表作として知られ、名品刀絵図聚成はじめ多くの書籍に掲載されています。
地刃ともに国行の特徴が顕著で、比類のない健全度は流石重文。
(2)の重美国行太刀は現在刀剣博にて展示中で、来派にある陰陽の造り込みの中間的存在です。茎も含めた全身で見ると腰反りの姿となっています。
(3)の太刀は少し区を送っていますが、表裏の全身押形で見ると、綺麗なレンズ型の配置となる京反り姿です。
(4)は在銘の小太刀。来国行の小太刀は作例稀で、貴重な作品です。
(5)は少し区を送る無銘の太刀で、流れごころのある鍛えに錵映りがみられます。刃文は直刃調に小丁子・小互の目・小乱れを焼き、(2)の太刀同様に物打から帽子にかけて穏やかになる作風です。
(6)は大磨上無銘で来国行の極め。(5)同様、鍛えに流れがあります。
(7)は埋忠銘鑑にある重文の額銘二字国俊。京反りですが先に更に反りが加わり、先幅広く猪首風の鋒と相まって非常に力強い姿です。この太刀も(1)と同じく棟焼きが顕著です。
(8)は生ぶ茎で、鑢の掛け出し直ぐから”来国俊”の銘を切ります。よく詰む地鉄に細直刃を焼き、茎を含めると腰反りの優美な姿で、来派の陰の太刀。
(9)は磨上て茎尻付近に来国俊の銘が残る陽の太刀。刀剣美術名刀鑑賞掲載品で、その解説文では「正に二字国俊さながらの豪壮な太刀姿」とし、二字国俊・来国俊同人説を裏付ける資料としてこの太刀を位置づけています。
(10)の重美刀は大磨上無銘で、本阿弥光常の金象嵌に光忠の折紙が附帯。徳川将軍家より大和郡山藩柳沢家に下賜された品で、その旨徳川実紀に記載。
(11)は来国光太刀。磨上て茎尻付近に銘が残ります。こちらも焼き高く健全で、茎尻まで含め、力強い京反り姿です。
(12)は大磨上無銘の来国次。地刃共に非常に健全で、一見すると新刀に見誤るかも知れません。しかし現在京都国立博物館で開催中の「特集展示 縁(えにし)を結ぶかたな—国宝・重要文化財で学ぶ刀剣鑑賞—」に出陳の埋忠磨上の額銘来国光(重文)を見れば完全に来と分かります。
(13)は来国行の在銘短刀。来国行には在銘の寸延短刀が一口のみ存在するされ、特別重要刀剣に指定されています。
本短刀は近年新たに出現しニ口目となった国行在銘作で、惜しくも再刃ではありますが頗る貴重な資料です。
(14)は二字国俊短刀。二字国俊の短刀は重要文化財の愛染国俊のみとされてきましたが、本短刀が発見され、二口目の二字国俊短刀として世に知られる事となりました。
(15)は来国光短刀。詰む地鉄に錵映りが立つ典型作です。
(16)も同じく来国光短刀ですが、こちらは地錵付き細かに地景が入る地鉄に、端正な細直刃を焼き、新藤五を見る様な出来です。
(17)の来国真は、在銘の現存作が数口に限られる稀少な作品です。伊勢の神宮の太刀、東博の寸延、そして本作ともう一口の重刀指定品が知られます。

現在、刀剣博物館では『日本刀重要美術品展』が開催されています。
重要美術品展目録(日本語).pdf
重要美術品に認定された刀剣は、入札鑑定会の鑑定刀として登場する事も度々ありますし、研磨や押形採拓の機会もままあります。
現在開催中の『日本刀重要美術品展』には以下の2口も出陳されています。

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以下、今回の展覧会には出ていませんが重美認定品の全身押形です。
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今回上げさせていただいたもの以外の研磨・押形採拓記録では「太刀 銘 有成(石切丸)」「刀 無銘(大倶利伽羅広光)」も重美認定品です。
先日「ニコニコ美術館」で『縁(えにし)を結ぶかたなー国宝・重要文化財で学ぶ刀剣鑑賞ー』が京都国立博物館から生中継され、採拓させていただいた”龍馬の吉行”の押形が紹介されました。
本日京都国立博物館のX公式アカウントで公開された刀身写真の通り、焼損した刀身は研磨されており、まるで刃文があるかの様に拳丁子の痕跡が黒く残っています。
この刃文の様に見える黒い痕跡は通常の刃文とは異なり、匂い口を伴うものではありません。
火災で刀身が高温になって焼きが戻り、そして何らかの現象により刃文以外の平地全面が映り状に変質、結果として消失した刃文部が映りの暗帯部の様に黒く抜ける状態になっています。
そのため今回の採拓では、まず刀身の輪郭や各部の線を引き、茎を石華墨で刷り出した後、平地の映り状に変質した部分のみを彩色し、刃文に相当する部分は白抜きで残す形で表現しました。
一見すると刃文が存在するかの様に拳丁子の痕跡が黒く残っていますが、これは焼損による変質の痕跡であり、本来の刃文ではありません。
しばらく前のブログで少し触れました(「新作長剣」の記事参照)、エルメス財団の『Savoir & Faire 金属』に関連して。
静かに刀と向き合いたい人に読んで欲しいエッセイです。
・内藤直子 刀剣を語ることば[『図書』2026年2月号より] | web岩波

しばらく地肌を出す仕事が続いていましたが、今回はある程度抑える仕事です。
地艶工程。ここ数年好きで使用している某山産の巣板で下地艶、その後産地不明の浅黄で抑えたところです。
この巣板は艶仕事で肌がよく出てくれ、仮にヒケが入っても直ぐに取り去ってくれる力があります。
浅黄は出す力もありますが、良い雰囲気に抑える事も出来る石です。






下地研ぎは押す動きが多く、切り研ぎも筋違も、しゃくりの動作やタツを突く時も、全て押し或いは突きの研ぎです。
しかし区や横手下などは下地でも引きの動きを使う人は多いと思います。
内曇りの工程に入ると、鋒以外は全て引き研ぎとなります。砥石が効く原理や目的に合った動きを追求した結果がこの研磨法ですが、動きの種類は幾つかあります。(動画は本能寺宝物館での実演で柄巻師松田さんが撮ってくれました)
細名倉の様にしゃくって引く技法
内曇りの丸い砥面に合わせ、砥面形(なり)に引く技法
砥面がフラットな状態の内曇りで刀身を水平に引く技法(刀の刃は自分に向く)
砥面がフラットな状態の内曇りで刀身を水平に引く技法(刀の刃は前を向く)
私は刃引では砥面がフラットな石を使う事が多く、その場合刀身が少しでも上下にブレるとヒケが入ります。ヒケを防ぐため刀身を常に水平に引きます。左手首は固定派も多いと思いますが、私は柔らかくする方が刀身を直線に引きやすく、現在の動きに落ち着きました。
内曇り作業では「砥石を早く効かせる」「地を引き出す」「ヒケで作業を後退させない」、これを意識する中で、機械のように動く今のスタイルになりました。
1号 寸延び
若干細い、少し反る。少し大人しいタイプの応永地鉄、刃に近い位置に某状の映り。直刃で刃中乾き少し地側に深い。帽子先一文字風。
表に三鈷剣・梵字、裏に四橛。
応永備前だが、とりあえず盛光と入札。
2号 短刀
幅狭く重ね厚く強めに内反る。地鉄詰んで強く、匂い口深く働く直刃。
以前研磨させていただいた短刀だと思う。
手掻包真(見知り)で入札。
3号 短寸の刀
身幅大人しく反り深めに小さい切っ先、鎬高。
詰み気味で弱い地鉄、白け映り、柾は目立たず九州地鉄。
細直刃でほつれ、帽子細く若干大きい。
完全に末の九州だと思うが、どうしても入れておいたい札があり。。
簀戸国次と入札。
4号 短刀
フクラ少々枯れ、鋭い。板目、少し映る。直刃、沸え荒い。帽子尖り気味。
表護摩箸、裏樋に添え樋。
一番数が多いタイプではないが、別タイプの末備前だと思う。
祐定と入札。
5号 脇差
反り浅く、焼き高く、浅い大互の目。肌詰む。帽子丸い。両チリの棒樋に添え樋。両樋先固く止める
なんでしょか・・・。難しいが、刃の調子が一番近いのがこれだと思う。
大和守安定と入札。
然
然(当たりだが見知りは同然ルール)
イヤ
然
イヤ
3号、簀戸国次とは匂い口の質と刃縁や帽子が違うし、ここまで弱い地鉄ではないが、一応入れておかないと後悔するので大丈夫。
しかし次が難しい。九州といっても色々あり。金剛兵衛とは地鉄が違う。よく見る無銘筑紫了戒に一番近いと思うが、この刀は在銘だと思う。在銘の筑紫了戒を入札鑑定で見た事が無いが、果たして出るのだろうか。
筑紫了戒能定と入札。
5号は難しい。。
高井信吉と入札。
然
然(当たりだが見知りは同然ルール)
通り
然
イヤ
3号、波平清左、4号水田為家と入札。
然
然(当たりだが見知りは同然ルール)
当
然
イヤ
1号 脇差 銘 備州長船長船康光
応永卅三年二月日
2号 短刀 銘 包真
3号 刀 銘 波平吉安
4号 短刀 銘 備前国住長船清光 為一若作
天文廿三年八月日
5号 脇差 銘 陸奥大掾三善長道
5号、大和安定でイヤならば、絶対三善長道に修正しないとダメですね。今思うと裏の中程の互の目2個が長道です。

昨日拭いを終え、刃取り作業。
刃艶は水木原の若干柔らかめの物で一気に全身の形を作る事が多いです。
その後、別質の刃艶で正確な形に刃取る作業を行いつつ、ぼかして行きます。柔らかい刃艶は色が重いので、その石で晴らし作業も同時進行で。
この刃艶は20ほど前、ヤフオクで買った内曇りをカットした物で、よく覚えていませんが確か12本程度買ったと思います。
独特の良くない色で、茶色の細かい筋多数。しかし好きな砥質で、未だこの種の石を使っています。
この石がどの山の物か結局よく分かりませんが、〇〇砥石さん曰く古い水木原との事。
ただ、今産出している水木原とは見た目が全く違います。層の違いでしょうか。それとも別の山から産出した石でしょうか。