4月入札鑑定

1号 太刀
古い、良い出来、国わからず。
直刃調小互の目、小丁子。錵強く古備前風だが錵が地に散る。
分からんがとにかく個銘で入れよう。
古備前吉包と入札。

2号 短刀
これも難しい。少し互の目が斜めに飛び出す。
東山美平と入札

3号 刀
反り浅く中鋒。広直刃調でムラ錵付く。地鉄は詰む。地刃硬い。
こんな綺麗な地鉄の物もあると思うので、同田貫正国と入札。

4号 脇差
薙刀を直した物か、薙刀造の脇差なのか、ちょっと迷う。
これを迷う事はあまり無いと思うが、どうも薙刀に見える。
沈む刃。
二代康継と入札。

5号 脇差
全体に焼き高く錵る。
伊予掾宗次と入札。

イヤ
時代違いイヤ
イヤ
イヤ
当

1号 錵付きや刃中はこちら。古伯耆貞綱と入札。
2号 直江志津と入札。
3号 七兵衛尉祐定と入札。
4号 伯州広賀と入札。

イヤ
イヤ
イヤ
イヤ
当

これは参りました。

1号 綾小路と入札。
2号 島田助宗と入札。
3号 三振したと勘違いして答えを聞いてしまったので入札せず。
4号 氏房と入札。

作柄同然
イヤ
イヤ
同然
当

1号 太刀 銘 国光(古相州)
2号 短刀 銘 藤島行光
3号  刀 銘 相模守藤原政常
4号 脇差 銘 濃州清水住兼辻
5号 脇差 銘 肥前国住源宗次



『刀剣今昔』押形

現在、北野天満宮宝物殿で開催中の「刀剣今昔」に押形仲間の皆さんの作品と一緒に全身押形を展示していただいております。
あ、長津さんと下村さんしか面識はないのですが。勝手に仲間と思っています。すみません。



「尾張徳川家ゆかりの美濃刀」

岐阜県博物館で楽しみな展覧会が開催されます。
出品目録-「尾張徳川家ゆかりの美濃刀」
外藤や正光があるのですね!

(以下岐阜県博物館HPより転載)
 当館の立地する岐阜県関市は、中世の一大日本刀産地を継承し、現在も刀匠が活躍する世界三大刃物産地の一角を占めます。当館では刀剣を展示の柱と位置づけ、昭和51年(1976)の開館以来、常設展示し、近年は特別展等も開催してきました。これらの展示は、美濃・尾張で制作された刀剣や美濃・飛騨ゆかりの刀剣を対象としています。このたび、令和8年度に当館が開館50周年を迎えるに当たり、これを記念して、尾張徳川家ゆかりの徳川美術館刀剣コレクション展を開催いたします。
全国屈指の武家文化コレクションを誇る徳川美術館には、徳川家康の遺贈品を核に、尾張藩・尾張徳川家代々ゆかりの刀剣類が伝来しています。それらは、いずれも由緒伝来を伴う「質」だけでなく、数百点を数える「量」も他の追随を許しません。そのうち名刀・名物の陰に隠れる形でこれまで公開の機を逸してきたものの中には、美濃鍛冶の作刀が少なからず含まれています。
 本展は、徳川美術館収蔵刀剣から、これまで公開機会が稀であった美濃・尾張の刀を一挙紹介するものです。戦国期、実用刀として天下人の地元で鍛錬され、用いられた美濃刀は、切れ味のよさや使い勝手が評価される一方、その価値は看過されがちでした。岐阜県博物館開館50周年を機に一堂に会する、これら知られざる美濃刀の優品群は、岐阜の地においてこそ公開の意義があるといえるでしょう。
 最後になりましたが、本展に多数の刀剣を出展いただき、当地に勢ぞろいする貴重な機会を実現くださいました徳川美術館をはじめとする関係者の皆様に厚くお礼を申し上げます。さまざまな縁が「一堂に美する」この機会に、多くの方にご覧いただけましたら幸いです。

期間    令和8年4月24日(金)~6月28日(日)
開館時間  9:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日   毎週月曜日
      (但し、5月4日(月・祝)は開館、5月7日(木)を振替休館)
会場    岐阜県博物館 本館4階 特別展示室(関市小屋名1989)
入館料   一般800(700)円、大学生400(300)円、高校生以下無料
                    ※( )内は20名以上の団体料金



3月入札鑑定

本部から

1号 室町期備前物某工と入札
2号 南北朝期某国物某工と入札
3号 相州本国物某工と入札
4号 室町期美濃物某工と入札
5号 古刀ではない大和伝某工と入札

国入能候
当
当同然
当
当

1号 別の室町期備前某工と入札

当同然
当
当同然
当
当

1号 室町期備前太刀
2号 南北朝期某国寸延
3号 相州本国短刀
4号 室町期美濃刀
5号 古刀ではない大和伝刀

ここまで伏せるとなんだかよく分からんことになる。



刀職者実演奉納

北野天満宮様での実演奉納の様子です。
手前から、平田実白銀師、遠山和康柄巻師、木下宗風刀身彫刻師。

刀職者実演は、実際の作業を広く皆さまにご覧いただき、日本刀の世界に関心を持ち楽しんでいただくことを目的としています。
普段なかなか目にする機会の少ない工程をご覧いただくことで、刀剣への理解が深まれば幸いです。
押形については、実際の採拓を一度ご覧いただければその中に要点のすべてが凝縮されています。
あとはひたすら練習あるのみ。楽しい趣味になると思います。



全身押形採拓実演 北野天満宮

3月28日(土)、北野天満宮の文道会館にて刀職者実演が行われます。
実演者は、白銀師・平田実さん、柄巻師・遠山和康さん、装剣金工・木下宗風さん、そして私です。

私は全身押形採拓で参加いたします。
太刀の全体形状を写し取り、茎を石華墨等を用いて採拓、各部の線を引いたのち、墨による刃文の描写を行います。

時間は午前10時頃~午後3時頃まで。(お昼休憩あり)



来派

山城国来派の全身押形です。

1 太刀 銘 国行(国指定重要文化財/令和7年文化庁の許可の下、研磨・押形採拓)
2 太刀 銘 国行(重要美術品)
3 太刀 銘 国行
4 小太刀 銘 国行
5 太刀 無銘 来国行(柏原美術館蔵)
6 刀 無銘 来国行(京都国立博物館蔵/平成30年度、京都国立博物館館蔵品修復事業に於いて、記録として全身押形採拓)
7 刀 額銘 国俊(二字国俊)(国指定重要文化財)
8 太刀 銘 来国俊
9 太刀 銘 来国俊(特別重要刀剣)
10 刀 金象嵌銘 来国俊 本阿(花押)(重要美術品)
11 太刀 銘 来国光(令和2年度、黒川古文化研究所館蔵品修復事業に於いて記録として全身押形採拓)
12 刀 無銘 来国次(特別重要刀剣)
13 短刀 国行(再刃)
14 短刀 銘 国俊(二字国俊)(特別重要刀剣)
15 短刀 銘 来国光
16 短刀 銘 来国光
17 脇指 銘 来国真(重要刀剣)

(1)の重文国行太刀は来国行の陽の造り込みの代表作として知られ、名品刀絵図聚成はじめ多くの書籍に掲載されています。
地刃ともに国行の特徴が顕著で、比類のない健全度は流石重文。

(2)の重美国行太刀は現在刀剣博にて展示中で、来派にある陰陽の造り込みの中間的存在です。茎も含めた全身で見ると腰反りの姿となっています。

(3)の太刀は少し区を送っていますが、表裏の全身押形で見ると、綺麗なレンズ型の配置となる京反り姿です。

(4)は在銘の小太刀。来国行の小太刀は作例稀で、貴重な作品です。

(5)は少し区を送る無銘の太刀で、流れごころのある鍛えに錵映りがみられます。刃文は直刃調に小丁子・小互の目・小乱れを焼き、(2)の太刀同様に物打から帽子にかけて穏やかになる作風です。

(6)は大磨上無銘で来国行の極め。(5)同様、鍛えに流れがあります。

(7)は埋忠銘鑑にある重文の額銘二字国俊。京反りですが先に更に反りが加わり、先幅広く猪首風の鋒と相まって非常に力強い姿です。この太刀も(1)と同じく棟焼きが顕著です。

(8)は生ぶ茎で、鑢の掛け出し直ぐから”来国俊”の銘を切ります。よく詰む地鉄に細直刃を焼き、茎を含めると腰反りの優美な姿で、来派の陰の太刀。

(9)は磨上て茎尻付近に来国俊の銘が残る陽の太刀。刀剣美術名刀鑑賞掲載品で、その解説文では「正に二字国俊さながらの豪壮な太刀姿」とし、二字国俊・来国俊同人説を裏付ける資料としてこの太刀を位置づけています。

(10)の重美刀は大磨上無銘で、本阿弥光常の金象嵌に光忠の折紙が附帯。徳川将軍家より大和郡山藩柳沢家に下賜された品で、その旨徳川実紀に記載。

(11)は来国光太刀。磨上て茎尻付近に銘が残ります。こちらも焼き高く健全で、茎尻まで含め、力強い京反り姿です。

(12)は大磨上無銘の来国次。地刃共に非常に健全で、一見すると新刀に見誤るかも知れません。しかし現在京都国立博物館で開催中の「特集展示 縁(えにし)を結ぶかたな—国宝・重要文化財で学ぶ刀剣鑑賞—」に出陳の埋忠磨上の額銘来国光(重文)を見れば完全に来と分かります。

(13)は来国行の在銘短刀。来国行には在銘の寸延短刀が一口のみ存在するされ、特別重要刀剣に指定されています。
本短刀は近年新たに出現しニ口目となった国行在銘作で、惜しくも再刃ではありますが頗る貴重な資料です。

(14)は二字国俊短刀。二字国俊の短刀は重要文化財の愛染国俊のみとされてきましたが、本短刀が発見され、二口目の二字国俊短刀として世に知られる事となりました。

(15)は来国光短刀。詰む地鉄に錵映りが立つ典型作です。

(16)も同じく来国光短刀ですが、こちらは地錵付き細かに地景が入る地鉄に、端正な細直刃を焼き、新藤五を見る様な出来です。

(17)の来国真は、在銘の現存作が数口に限られる稀少な作品です。伊勢の神宮の太刀、東博の寸延、そして本作ともう一口の重刀指定品が知られます。





『日本刀重要美術品展』

現在、刀剣博物館では『日本刀重要美術品展』が開催されています。
 重要美術品展目録(日本語).pdf

重要美術品に認定された刀剣は、入札鑑定会の鑑定刀として登場する事も度々ありますし、研磨や押形採拓の機会もままあります。
現在開催中の『日本刀重要美術品展』には以下の2口も出陳されています。

重要美術品 太刀 銘 国永(五条) 
重要美術品 太刀 銘 国行(来)

以下、今回の展覧会には出ていませんが重美認定品の全身押形です。

重要美術品 刀 金象嵌銘 来国俊 本阿(花押)(光常象嵌・光忠折紙付)
重要美術品 太刀 折返銘 正恒(仙台伊達家伝来「春五」)(京都国立博物館蔵 令和7年度京都国立博物館館蔵品修復事業に於いて、記録として全身押形採拓)
重要美術品 太刀 銘(菊紋)一(菊御作)(京都国立博物館寄託収蔵品)
重要美術品 太刀 銘(菊紋)一
重要美術品 太刀 銘 備州長船兼光
重要美術品 太刀 銘 備州住正広作(古三原)
重要美術品 太刀 銘 石州出羽住直綱作
重要美術品 太刀 銘 桃川住長吉
重要美術品 刀 銘 井上真改 (菊紋)延宝四年二月日


今回上げさせていただいたもの以外の研磨・押形採拓記録では「太刀 銘 有成(石切丸)」「刀 無銘(大倶利伽羅広光)」も重美認定品です。



坂本龍馬の吉行

先日「ニコニコ美術館」で『縁(えにし)を結ぶかたなー国宝・重要文化財で学ぶ刀剣鑑賞ー』が京都国立博物館から生中継され、採拓させていただいた”龍馬の吉行”の押形が紹介されました。
本日京都国立博物館のX公式アカウントで公開された刀身写真の通り、焼損した刀身は研磨されており、まるで刃文があるかの様に拳丁子の痕跡が黒く残っています。
この刃文の様に見える黒い痕跡は通常の刃文とは異なり、匂い口を伴うものではありません。
火災で刀身が高温になって焼きが戻り、そして何らかの現象により刃文以外の平地全面が映り状に変質、結果として消失した刃文部が映りの暗帯部の様に黒く抜ける状態になっています。
そのため今回の採拓では、まず刀身の輪郭や各部の線を引き、茎を石華墨で刷り出した後、平地の映り状に変質した部分のみを彩色し、刃文に相当する部分は白抜きで残す形で表現しました。
一見すると刃文が存在するかの様に拳丁子の痕跡が黒く残っていますが、これは焼損による変質の痕跡であり、本来の刃文ではありません。