思い出しました
先日の押形が何かを思い出しました。
少しだけ頭の隅にあったのですが、まさかあの厳しい日程の中、描いている訳がないし・・・と、思いの中から除外していて。
あまりに時間が無い中で夜中に無の状態で描いたので物だけが残り記憶にはなかったようです。
先日の押形が何かを思い出しました。
少しだけ頭の隅にあったのですが、まさかあの厳しい日程の中、描いている訳がないし・・・と、思いの中から除外していて。
あまりに時間が無い中で夜中に無の状態で描いたので物だけが残り記憶にはなかったようです。
私は”鑑定至上主義者ではない”という事を一応先に書いておきます。
その上で、入札鑑定は楽しくて大好きです。
まずまず当たる事も多い方だとは思いますが大外しも頻繁で、結局当たるから楽しい訳ではありません。そりゃまぁ当たると嬉しいわけですが、外れても楽しめるのが入札鑑定で。
支部会に入った頃は多分、会の中で私が一番若かったはずです。
筋の良い入札や当たりだった時など、判者で当時支部長だった故生谷先生が本当に嬉しそうな笑顔で褒めて下さった事をよく覚えています。
コロナの影響で支部会が開催出来ない月が続きました。前回はちょうど1年前の10月。その時学生さんが入会されました。(若い方の入会はありがたい。もちろんご年配の方も大歓迎です!)
入って早々鑑定入札。若者を大事に思うベテランさん達が何やら色々とアドバイスをされている様で、ちょっと良い札だったりしつつ、その日は終了。
そしてようやく、1年振りとなる支部会が昨日開催されました。
その若者がまた参加して下さり、誰からのアドバイスも受けず完全にお一人での入札を。
その札は、鎌倉中期、中後期、末期、南北、新古境、寛永と全ての時代を的確に捉え、刃文鑑定だけでなく地鉄から位や流派を判断した素晴らしい物でした。 ”え?研師?!”って思っちゃいましたが、学生さんです。
凄過ぎたのでちょっと聞きましたら、「特訓して来ました」と。入札鑑定って特訓で出来る様になるんですか。。
単に刀個体の記憶の蓄積の場合、例えば初めて参加する会に行き、何度も出ている刀が複数出題された場合などは、会のベテランさん達に太刀打ち出来るものではありません(悪く捉えないでくださいm(__)m)。
しかしこの方の様な見方とセンスを以てすれば、初めての会でもビシバシ上位の成績をとっちゃう事が出来るでしょう。
生谷先生に会わせたい。
支部例会の準備で、光忠長光景光などの全身押形で確認したい事があり、押形を入れている筒から色々と引っ張り出しまして・・・。
鑑賞会で見た刀は時間が経つと忘れてしまう事があります(完全に忘れるわけではありませんが、どうしても他の刀と混同したり、記憶の底にしずんだり)。展覧会でガラス越しに見た刀は、残念ながらもっと記憶に残りません。
研磨させて頂いた刀は、何年何十年前の物でも普通は見た瞬間に分かります。そして押形も、何年前の物であっても記憶は鮮明で、もしかしたら研磨した刀より、もっと具体的に色々と頭に残っているかもしれないくらいです。
で、昨夜押形を色々出す中、この押形を開いて正直衝撃的な程に驚いたのですが、全く記憶に無く。。
元幅一寸以上、鋒長も10㎝以上でしょうか。一瞬私の押形ではなく、誰かから頂戴した物かとも思ったのですが、やはりどう見ても私の描き方で。
樋の有る刀は、チリの線と鎬線を綺麗に採ろうとすると樋の中が汚れるのですが、いつも完成後綺麗に修正しています。しかしこの押形は修正も出来ておらず汚いまま状態。ただ刃文描写は結構丁寧に行っています。
これなんでしょか。。ちょっと考えます。
制作途中だった鎌倉末期在銘太刀の全身押形を今夜完成させました。
やはり直刃は早い(時間短縮のため墨は一切使用せず)。映りが元から先まで途切れる事無く続き、映り描写の方が時間が掛かったか(これだけ途切れずほぼ均一に続く映りは実はそんなに多くはありません)。
直刃とはいえ完全な直刃ではなく、微妙に揺らいでいます。手に取り白熱灯に透かしてみれば、微妙に揺らぐどころか、小足、逆足、片落ち風など様々な働きが(透かして見る角度だと密集して見る事になり、より強調されて見えます)。この微妙さを押形に完全再現するにはかなりの時間が必要ですが、今回は時間もかけられず、延べ5時間程度。
研磨に出張にと非常に忙しくさせて頂いておりますが、研磨で体が動かなくなった後は、出来る限り押形作業も続けています。
最近では鎌倉前期無銘太刀全身、平安末~鎌倉前期無銘太刀全身、鎌倉末期無銘太刀全身、現代太刀全身、応永在銘寸延、鎌倉末期在銘太刀全身、鎌倉中期在銘太刀全身(途中)、鎌倉末期在銘太刀全身(途中)。
時間と体力の問題もありますが、どうしても残しておきたい物が多く。。にしても限界もあり、残念ながらスルーする刀も。
やはり刃文描写の時間短縮が鍵です。あとはどのタイプの押形を選択するかですね。
昨日から公開の映画「燃えよ剣」。
劇中、副長土方が持つ刀はこの和泉守兼定です。
13ac85424406b61f9a9cd1e26f9b918b.jpg (5727×986) (kyoto-katana.com)
会津11代ではなく、司馬遼太郎の原作通り、”ノサダ”。
そして原田眞人監督のこだわりから、本物のこの和泉守兼定が使用されました。
劇中での使用を快くお許しくださった御持ち主様には心より御礼申し上げます。(本当にありがとうございました。もちろん殺陣シーンでの使用はありません。ポスター撮影や本編中本物の質感が必要な幾つかのシーンに限られています。)
数日長船。
いつも大変お世話になっている職方さん達や学芸員さん達にお会い出来ました。
”備前おさふね刀剣の里”は大好きな場所です。
特重指定展。たまたま一人でゆっくり鑑賞出来る貴重な時間でした。
研ぎ場にて享保名物含む貴重な品を複数拝見。
出先にて鎌倉2,南北1,慶長1の短刀名品を拝見。
刀は鑑賞する順番が非常に大事です。入札鑑定の並び順もかなり考えますし、研ぎ場にて御刀をご覧頂く場合も順番に無策はありません。
単純に新しい順にするのか古い順かだけではなく、色々考えるわけです。
古い新しいでいえば、鎌倉の物がある場合、その後に南北を見るとどうしても時代落ち感は否めない。
ただそこに慶長が混ざってくると慶長の面白さが強調される事になったり。。
そしてこんな中に江や新作の凄い物が混ざって来ると面白さは各段に上がります。
古い新しいだけでなく、”位取り”という価値観の中に新作を入れられる楽しさは痛快です。