津どい

日刀保京都府支部会報は昭和31年創刊です。
当初の表題は「会報」でしたが、昭和49年の第41号より「津どい」と改め現在97号まで発行されています。
以前、支部HP制作のため全冊をお預かりして以来私が保管していますが、この度新たな試みのため整理を進めています。
改めて読み返し、この様に長年にわたり「津どい」の発行を続けて来られた先輩方の御努力には、ひたすら感服するばかりです。

古い時代の刀美などを見ますと協会の先生や会員同士の辛辣なやり取りもあり時代を感じますが、「津どい」も例会の入札鑑定結果がお名前入りで発表されていて、これも時代だなぁと感じる次第です。
現支部の先輩方は皆さん「怖い先生が沢山おられ、昔は厳しかった」と仰います。
怖い先生が沢山居られ、入札結果がこの様に発表され、おそらく当時の入札鑑定会は今とはかなり違う空気感だったのではないかと想像します。
今の京都府支部は和気あいあい、皆が楽しく集える会です。入札鑑定ももちろん強制ではありませんので、鑑賞のみで楽しむ事も大歓迎です。

ここ数年各地から特に若い世代向けに「入札鑑定にこだわらず、もっと刀を楽しもう」という風潮が広がった気がしています。
それも良い事だと思うのですが、入札鑑定自体を否定したり、昔の空気感を全否定する気持ちに私は成れないんです。
「津どい」を読むと諸先輩方の刀剣愛の強さを感じます。皆真剣(その真剣という意味ではありません)なんですから、そりゃ多少厳しくもなりますよ。(私は田舎育ちで小中高とまだ竹鞭や素手でボコボコにする教師が沢山居るという、都会とは数十年ズレた環境で育ったので余計そう感じるのでしょうか。。)
あ、すみません。先ほども書きましたが、現京都府支部は和気あいあい、楽しい会です。
私も怖さゼロ人間です。







無題

疲れた時はカッコいいブルースブラザーズで

JB
研ぎの仕上げや押形で上手くいった時はこのシーンの気分
4分18秒~



全身押形を進める

昨夜からの続き。波平の佩表輪郭と茎、そして刃文を描きました。在銘ですが細鏨なので見え難い銘です。

これは私は場合ですが、押形は研磨の仕事の合間の作業であり仕事として行なっている訳ではありません。名品をじっくりと時間をかけて描きたい気持ちはありますが、なかなかそうも行かず…。という事で、スピードが必要です。押形を始めて10年15年となかなか速度が上がりませんでしたが、なんだか最近上がってる気がします。



大和物と大和系と

大和物、鎌倉末期の在銘全身押形を採拓。鎌倉期の大和本国物は在銘品が少なく貴重。

その後、大和系在銘太刀全身に。時代は室町中期でしょうか。古くみがちな出来で、こういう太刀は入札鑑定に使うと面白い。出される側だと苦労必至です。あでもいつもの独特な良い地鉄なので、もう騙されないかも。



三本杉

三本杉の押形が出来ました。もう少し時代の下がる三本杉は互の目の頭が尖る「尖互の目」の連続になりますが、この刃文は小互の目の連続です。
三本杉系は過去に鉛筆やシャーペンでの経験は有りますが、おそらく墨筆では初めて。
一応「墨筆に拘って描いている」という事で墨で描きましたが、これは多分鉛筆の方がいいですね。。



研磨

画質が酷いですが、昔の動画が出て来ました。もう7年程前でしょうか。
動画内で”どこにもUPしない”と言ってますが・・・なんだか私も楽しそうに研いでいますねぇ。上げちゃいます。
三人ともに内曇作業。
左から三浦研師、玉置、小野田研師。



朱銘を入れる

朱銘、兼基 八十一翁松庵(花押)
朝から現代刀の刃付けを行った後で腕がプルプルで。。刃文描写に入ろうと思ったが断念。

しばらく前の刀剣美術「名刀鑑賞」に来国光の松庵朱銘がありましたので、以下その解説を引用させて頂きます。

『「松菴」は明治時代の故実家で、東京帝室博物館(現東京国立博物館)の学芸委員を務めた稲生真履(司馬遼太郎の歴史小説『坂の上の雲』の登場人物で、海軍軍人として日露戦争時の日本海海戦などで活躍した秋山真之の義父)のことで、刀剣をはじめとして古美術品に造詣の深い人物として知られており、他にも同氏が極めたものが幾点か確認され、本作の極めよりして同氏の炯眼の程が窺われるものである。』

今回押形採拓中の朱銘兼基。三本杉基調ではありますが出入りは大人しく、頂点の尖り具合も優しく、元から先まで揃った形とはならない三本杉の祖型的刃文となっています。地鉄は地錵が細かく付き地景が多数確認できる板杢で非常に良質。
この出来を見れば”孫六”と言いたくなるところですが、身幅若干狭めの大人しい造り込みであり、鋒も詰まり気味の点などを考慮してこの極めとされたのでしょうか。大変勉強になる良い極めだと感じます。

翌晩刃文を描く。
もしかして三本杉系を墨筆で描くのは初めてか…。難しくて驚いた。。



朱銘の

朱銘の刀、全身押形をとる。
朱銘は茎の白く残した箇所に朱墨を磨って書き入れます。
この作業が結構好きです。押形に朱肉で落款を押すと途端に全体が締まって良く見えるのと同じでしょうか。
鐔の赤銅覆輪や拵の金着切羽と同じですかね。

ブログで押形の事ばかり書くので、”あいつは研いで居ない”なんて思われるかも知れませんが、研いでます。
押形は一日のごく一部。



無題

どうしても体力の限界まで研磨をしてしまうのですが、年々体もきつくなり。。
休憩中に押形を制作。とはいえ、輪郭を取ったりするのは意外としんどいもので、研ぎの後だと結構辛いのですが。

某郷土刀。初めて聞く人です。
時間が本当に無くて部分にしようかと悩んだのですが、やはり全身でと思い、やむなく片面全身で。

来金道。貴重な銘の。

鎌倉末期備前。

薩摩の初めて聞く刀工。

新刀薙刀。薙刀採拓も大分慣れました。

こういう皆焼。寸延びですが、姿が秀逸。

二尺六寸の太刀全身。