備前物
しばらく備前物が続いておりまして。
これから備前物が続くのでと先日中山を仕入れに行ってきましたが、こんなに当たってくれる事は珍しい。
備前刀の仕上げは選択肢が多いので、どのタイプの仕上げが良いのかを見抜く力、感性を鋭くしておかなければならない。
ぼよよ~んとしとったらあかんな。
映画 「武士の献立」
少し前になりますが、今年12月14日から公開される映画「武士の献立」の撮影に協力をさせて頂き、この度松竹株式会社さんよりバナーや指導時の画像などをお送り頂きました。
私が関わらせて頂いたのは、主人公が斬り込み前夜自ら刀を研ぐと言うシーンの研磨指導や劇中使用する刀の研磨等です。
撮影所での仕事は打ち合わせや研磨指導そして本番当日と4,5回だけで、あとは研ぎ場での作業。映画製作全体で言うと私が関わらせて頂いたのは端の端の極々僅かなのですが、それでも助監督さんはじめスタッフさん達が本当に何度も何度も研ぎ場に足を運んでくださいました。
撮影所内では、演者さん達の必至な姿や謙虚さ、撮影スタッフさん達のプロフェッショナルな仕事振りなど、普段研ぎ場にこもって居る私にとって大変刺激になる日々でした。
色々とお世話になりましてありがとうございました。
8月には松竹撮影所内での試写会に招待して頂き家族みんなで観に行きました。
私が言うのはおこがましいのですが素敵な映画に仕上がっております! ↓武士の献立公式サイトへ
短刀 備前国住長船与三左衛門尉祐定 両刃造り
虎徹 貳ッ胴切落
津どい
10月京都刀剣入札鑑定会
一号 脇指
鵜の首造り。 表裏腰に二王の彫。 その上に多数の梵字を重ねる。
明るく乱れる刃。
新々刀だが大慶では無い気がする。
刃縁の肌に絡んでほつれる部分が向き合うものと離れる物が規則的に交互に現れる。(綾杉肌の刃縁と同じ)
この手の物を見るのでこれに。
水心正次と入札。
二号 太刀
踏ん張り、先も幅狭まらず。 少し詰まる切っ先。
大房の丁子と小詰む物が入り混じる。
全面に乱れ映り。
長船の地鉄ではない。 が、一文字より詰む気もする・・。
畠田守家と入札。
三号 太刀
少し細目。 よく反る。
複雑に乱れる刃で、刃縁全体から地に向い映りが立ち上がり全面映る。
鎬地の磨き跡等を見てもかなり軟らかい鉄質。
全体に細かくカスカスとする地鉄。
この出来を見る時は殆どが古伯耆か綾小路系の極めが付いている気がする。焼き頭に飛び焼きがあるので、
綾小路と入札。
四号 短刀
細め。 重ね尋常(彫が減っているので元来は少し厚め)。 ふくら枯れ反る。
表素剣に梵字。 裏腰樋。
小錵出来でよく乱れる刃。
南北スタイルだと思うが分からない・・・。
ずっと見ていると備前の姿以外には考えられなくなってきたが誰にも無い刃。
長船長守と入札。
五号 脇指
鎬造り。 硬い柾。 荒錵が斑付く直刃。
仙台国包と入札。
当
ヨク
当
イヤ
当
二号、もう一文字で決定と思うが、諸条件から切っ先形状を後の物と判断し吉岡にしてみる。
四号はわからんので宇多国房と書く。 書いてみるとなんだか自信が出てきた。
当
当
当
イヤ
当
腰の二つ互の目でしたか。 信国と。
当
当
当
当
当
一号 脇指 水心子正次 天保十年仲春
二号 太刀 一(福岡一文字)
三号 太刀 無銘 末行(綾小路)
四号 短刀 信国 応永三年八月日
五号 脇指 切付け銘 山城大掾藤原国包(仙台官工安倫が山城大掾国包一尺八寸五分脇指を一尺五寸二分に磨上た旨の切り付け銘)
二号一文字、この大房はあれこれ迷わず福岡と見なければならないものでした。 こういう品は普段ガラス越しにしか見ないので、いざ手に取るとこんな事をしてしまいます。
中山
みやこ刀剣祭り
午後で完成
先日来描いておりました押形は今日の午後で完成。
現代の作品ですが、古く見え、そして刀の世界で言う”おもしろい刀”といっていい品だと思います。
”古く見える”という表現を現代作に対し使用する事があると思いますが、「古い=良い」という所で思考が止まってしまっている方はおられませんか?
求める側も造る側も価値観は多様ですから簡単な話ではありませんが、「古い=良い」と思い込んで終わってしまう事だけは避けなければいけません。
でないともしも新作の凄い刀に出会っても、凄さに気付かずスルーしてしまいます。
斯く言う私も「昔の人が持っていたもの」と言う価値観も好きですのでそちら贔屓な面もありましたが、この夏は新作のトップクラスを手に取る機会を頂き、色々持って行かれてしまいました。
凄い作品は全部を持って行ってしまいますね。
時代も何もかも。
やはり私は手に取らないと刀が分からない。