みな持ち寄りで

本日の例会は、皆さん御秘蔵の珍品名品迷品を持ち寄る楽しい会でした。
十手の名品も多数拝見。 
如何わしい品が多数出回る十手の世界ですが、本日拝見した品は間違いの無い確かなものです。
素晴らしい鉄味。 
錆びているのに光るというのは不思議であり美しいものですねぇ、鉄とは。
ほかにも・・・、数メートル離れた所から見て、蕨手刀かと思い、手に取ると花鉈でした。
しかし答えはハサミの片割れだそうです。(現代の物では無い)
刀剣同等の研磨が施され、美しい地鉄が現れておりました。
変わった道具です。 構造がいまいち把握出来なかった。 気になって仕方無い。 また拝見したい。
 



日本刀銘鑑

刀の世界で”銘鑑”と言うと雄山閣の「日本刀銘鑑」を指します。

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日常これほど開く本はありません。
二万数千の刀工が載っています。 五十音での刀工名検索と画引索引も。
特に重宝するのが、各工に出典が記されている事と銘文にみる地名から刀工名を検索出来ること。
出典は以下のとおり。
愛剣
山田浅右衛門刀剣押形
新刃銘尽
今村押形
埋忠押形集
永禄銘尽
大坂新刀年譜
往昔抄
新刀押象集
刀剣会誌
目利書国々国入
銘尽秘伝書
観智院銘尽
木屋流目利秘伝書
日本刀の近代的研究
慶長銘鑑
本阿弥代付鍛冶系図
古今剣工銘尽
元亀元年目利書
日本古刀史
古銘刀中心形
本阿弥光瑳押形
光山押形
日本刀講座
弘治銘尽
校正古刀銘鑑
校正古刀銘鑑追録
光徳刀絵図
新刀鍛冶綱領
刀華会講話
薩摩の刀と鐔
古刀銘集録
刀剣趣味
春霞刀苑
刀剣春秋
刀剣史料
新刊秘伝書
新刀古刀大鑑
新版日本刀講座
新刀銘尽後集
新々刀大鑑
日本刀工辞典
刀剣銘字典
主要刀剣展等図録
鑑刀随録
日本刀全集
刀工総覧
日本刀大鑑
刀剣銘大集
古刀銘尽大全
長享銘尽
日本刀通観
築地刀剣会押形
土屋押形
鉄舟
刀苑
刀の研究
日本刀辞典
刀剣美術
刀剣と歴史
能阿弥銘尽
濃州刀銘鑑
長谷川忠右衛門家伝書
正銘秘伝
秘伝銘録聞書
古今鍛冶備考
新刀弁疑
大分郷土刀鍛冶銘鑑
本朝鍛冶考
古今鍛冶銘早見出
古今鍛冶名集録
刃文と銘字
古今銘尽
御物東博銘刀押形
新刀銘集録
もくろく
陸軍受命刀匠名簿
古今類字銘尽
和朝古今鍛冶之次第
蕨手刀
例えばとある刀工の資料が欲しく銘鑑を開けば何に載っているかが即座に分かる。
そして銘文に見る地名からの検索ですが例えば、「日州高鍋住」と銘文にあるが以下が朽ち込み判読出来ない、或いは磨上げて以下が切れている場合など、銘鑑の地名一覧から、日向、高鍋と探せば盛照(寛永)、盛定(慶応)、国重(慶応)の三工が高鍋の地名を銘文に切る事が分かりそして現在の地名も記されている。
そしてさらに、受領名からの検索と称号からの検索まで出来る。
何十年も、膨大な時間を費しまとめ上げられたものなのですね・・。
もの凄い仕事です。 



お昼に

ひろしを広めようとしている訳ではないのでそろそろ更新しなければ・・。
お昼は銀閣寺にラーメンを食べに行ったのでそのまま銀閣寺(東山慈照寺)へ行ってみました。
家から10分そこそこなのですが初めて。

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延徳元年(1489年)に上棟されたそうですので、応永備前が終わり、祐光、寛正則光辺りを過ぎて・・・。備前物で例えようとしたのが間違いでした。 同名工がずっと続くのでややこしい。
銘鑑を見ますと、この頃は二朗左衛門尉勝光、九朗左衛門尉忠光、助久、関兼勝、加賀四郎清正、海部氏吉等の名がありました。
この頃からずっと建ち続けているのですねぇ、この建物は。

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ひろし

今日も仕事頑張ったので大好きなひろしでも聴きます。

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砥石が重石

上の子の習い事に送って行き、少し時間があいたので娘と知恩院へ。

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それにしてもこの時期の京都は人と車で凄いことになってしまいます。
まぁ私は人ごみが好きですので楽しいのですが。

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祇園花見小路あたりに車を止めたので歩いていると町屋の軒下で何かを押える重石に天然砥石が置かれていました。
手引きの鋸目が付く古い石でした。

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カニを

しかし冷えますなぁ。
カニでも食べながら、かなり早めの忘年会でもやりたい気分です。
今夜は備前物の艶。
下地に入る前の数日間、艶と拭いの組み合わせを検討し決定していたのだが、先日拝見した来物の熟し(こなし)が忘れられず、正直迷う。
明日最終的な決定をし、最後は以前頂戴した高見刀匠の鉄肌に頼る。



京都刀剣入札鑑定会

一号 刀
肥前刀。 反り浅。 直刃。
平均より浅いタイプの反りだと思う。
 近江大掾忠廣と入札。
二号 脇指
平身。 幅広、よく反り重ね大変厚い。
樋梵字樋。 樋中素剣。
美濃刃。 頭に錵凝り砂流し。
非常に迫力の有る刀。  伊賀金か越中かだと思う。
 越中守正俊と入札。
三号 脇指
平身。 簾刃。地に黒い錵が多数。
 丹波守吉道と入札。
四号 刀
柾目。直刃。
二代だと思う。
 山城守國包と入札。
五号 短刀
多分見た事が有ると思う。 
七寸台か。 細いタイプの短刀。
内反り。  互の目で山を下る角度が急。 頭錵る。返り深め。 肌は少し大きい。
祐定だったか勝光だったか。 
 長船宗光と入札。
 当
 然
 当
 当
 イヤ
五号は100%長船だと思っていたので驚いた。
廣賀でもないし島田でもないし山城の末でもないし・・・。
全く分からなくなっていたら関だと聞きました。
1ミリも思い浮かんで居なかった。
 関兼定と入札。
 当
 然
 当
 当
 当
一号 刀  肥前刀国住近江大掾藤原忠廣 (重要刀剣)
二号 脇指 伊賀守金道 (重要刀剣)
三号 脇指 丹波守吉道 (大阪丹波)
四号 刀  山城守藤原國包(二代)
五号 短刀 兼常
二号金道は出来も研ぎも良く大変勉強になった。 おそらく重刀だと思い、新刀脇指の重刀を拝見する機会はそう多くないので経験値を上げる機会と、出来るだけ長く鑑賞した。
五号は兼常でした。思い出しました。兼常さん、こんなにスカッとして居たのですね。 以前鑑定に出た時の記事をみるとちゃんと”兼房乱れ風”と見ているのに、今回は一切気が付きませんでした。
24年3月入札鑑定
考えてみれば、美濃短刀は何十振り研磨させて頂いたか分かりませんが、細いタイプの美濃短刀の研磨経験が殆どない。 常に見る棟寄りに樋が入り少し幅の有る平身が大多数です。 細身の美濃を覚えないといけない。

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画像データを

最近も色々と御刀を拝見させて頂く事が出来ましたが、とりわけ心に残るのが、研ぎ場で拝見した来派の極めが付く大磨上無銘刀。
研磨は優しく抑えしっとりと上げ、青白い地鉄。
精美だが地錵が微塵に付き、肌目は研ぎで抑えても刀のよさは溢れ出ている。
尋常でなく冴えた直刃。 
 
これだけ優しく研ぎ上げられているのに、この冴えが出るのか・・・と感動すら覚える。
作域が広いとされて居る刀工ではありますが、首をかしげる位の品に対する極めも散見する中、今回の様な御刀に出会うと嬉しくなってしまいます。
やはりこの極めに対する出来はこうでなくてはと。

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原本は手元に無いがPCにデータが残っている大刀の全身押形画像データを出力しにコピー屋さんへ。
ちょっと必要に成ったのですが、すでにデータも残っていない全身押形も多い中、これだけでも残っていて良かった。
こうして紙にしてみると、原本の繊細な部分は全部飛んでしまいますが、同じ様に粗も飛んでくれて相殺です。
私のは粗が飛ぶ分が多いのでコピーの勝ち。



刀絵図を

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描く。
みっちり10時間以上費やしたがちゃんと描けたのは僅か1寸ほど。
刀絵図の強烈に上手い方がブログで画像を公開されていて、PCに取り込んだ絵図を見て勉強する。
今回描く時も画像を見てテクニックを真似しながら行ったのですが、どこが違うかすらつかめず、完成した物はただただ次元違いの仕上がり。
公開されている押形は墨書きタイプで刀剣史上最高レベルの押形の数々だと思う。
前例が無い水準にまで引き上げる事が出来る人は本当に凄い。



康光

研磨記録 古刀 備前国に「康光 寸延び短刀」を追加致しました。

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