映り

吉岡一文字生ぶ茎の太刀、内曇りを引く。
研磨前、全身発錆過多にて研磨必要状態。各錆部分研磨にて除去。発錆箇所多数につき内曇以降全身研磨。


図譜解説には「幽かに映りたち」と書かれ現物を見ても確かにその状態。というかほぼ映りは確認出来ない淡さ。
刃文は吉岡で良いと思うも、もっと映りがあってもよかろうに・・・。
旧研磨は内曇りの効きも良く、小肌を意識した良い研磨。刃取りは薄いが拭いもしっかり効いて好感の持てる仕上げ。
因みに砥当たりは非常に柔らかい。内曇りの研磨時間は新刀の5分の1程度か。つまり通常40時間必要なところを8時間で済む。それでいて明るさは新刀上作と同等かそれ以上。(時代が下るにつれ「柔らかい=眠い」となるが、古名刀は然にあらず)

今回内曇り刃砥を引き、映りの出現度合いに驚く。
焼き出しから横手下まで、こんなにも明瞭な乱れ映りが眠っていたか。。
映りは焼き入れにより発生する現象だが、研ぎ上がった刀に視認出来るかどうか、それは研磨次第。日々の研磨でよく分かっているつもりで居たが、ここまで鮮烈に体験したのは初めてかも。
元の木阿弥にならぬよう一旦置き、明日から新作下地研磨に入る。