研磨技法
9年前にとある研師どうしがちょっとした研磨法について話していた。 私は横で聞いていて、へぇ~と思ったので、「あ、そうなんですかぁ」と相槌を打った。
とりあえず何でも試したい性分なので、こういう情報には大体素直に反応するのだが、たまたまと言うか何故かこれは試さずにいた。
なんで今まで試さなかったのかなぁ、凄いじゃないですかこれ。 やっぱり何でもとりあえず試さないとダメだわ。
9年前にとある研師どうしがちょっとした研磨法について話していた。 私は横で聞いていて、へぇ~と思ったので、「あ、そうなんですかぁ」と相槌を打った。
とりあえず何でも試したい性分なので、こういう情報には大体素直に反応するのだが、たまたまと言うか何故かこれは試さずにいた。
なんで今まで試さなかったのかなぁ、凄いじゃないですかこれ。 やっぱり何でもとりあえず試さないとダメだわ。
先日、出羽大掾国路の刀の重刀を拝見。
八坂さんの重文出羽のうち二口は拝見しましたが、重刀の長い出羽大掾を拝見した経験は少ないように思います。出羽大掾国路は多作家なので、現存作品自体は大変多いです。
(八坂神社の重文の出羽大掾、承応年紀なのですが、少し錆びは有るものの現代刀の様にピカピカの茎で凄い保存状態です。)
出羽大掾は本当に凄い人ですね。
例えば刀絵図って、架空のかっこいい刃文を描こうとしても、簡単に描けるものではないんです。沢山良い刀を見て凄く高い意識で勉強をしなければ、架空の刃文すら描けない。実際自分で描こうとした事がありますが、妙なバランスになってしまいます。
刀鍛冶さんがバランスの良い、素晴らしい刃文を焼くって本当に凄い事なんです。 と、言ったところでどう凄くてどう難しいのか、伝わり難いですよねぇ・・・。
そんなもん簡単だ!俺なら出来る!って思っちゃう人が多いのが現実ですし・・・。
研ぎの刃取り形状の良し悪しも、理解するのは難しい。的外れな意見を聴く事も多いです。
匂い口が明るい、冴えている、激しい、などの様に何にでも当て嵌まる程度の解説しか無いからですかねぇ。
かと言って、身幅何センチに対し、平均焼き幅何センチで、最高到達点が何センチ、最低焼き幅が何センチ、互の目の谷から何度の角度で何センチ以内に頂点に達し・・・、横手下何個目の互の目の下がこの大きさで、そのすぐ下の互の目がこの大きさなので、全体のバランスが整い・・・の様に解説する訳にも行かないでしょうし。
今日、ロームシアターの蔦屋さんの若冲コーナーを見ながらそんな事を思いました。
出羽大掾はただの器用人じゃないです。
専業農家のお手伝いをほんの少し。
研ぎの仕事に差し障りがあると怖いのでと、十数年逃げてましたが流れで手伝う事に。
畑に穴を空け、海老芋の苗を植え、また穴を空けて肥料を蒔き、穴を塞ぐ。
この畑はまた別の作物の場所。写真じゃ狭く見えるけど、子供と軟球を思いっきり打って遊んだ。
海老芋って関西だけなんですかねぇ。美味しい芋です。
頭にタオルを巻いて古着を着て長靴履いて・・・。素人にとっては楽しい仕事でした。
あの畑一枚の海老芋で幾らの収入になるんだろか。 苗を植えた時点で畑には相当手が入っていたし、これから収穫までずっと手を掛けるわけだし。収穫して洗って箱詰めして出荷して・・・。
毎日研舟の上に座っているだけの私はすぐに音を上げて、畦道で娘とお花を摘んで退散です。
それでももう体はバキバキに。やはり研ぎに支障が出ます。
刀の展示はしっかり演出しないとダメですね。 正直いって作品そのものや解説の内容よりも、展示会場や展示スペースが重要だと思う。
重厚感や高級感、厳かさ(みな同じか)、会場の適度な暗さとか。
場内を歩くと床がゴロンゴロン鳴り、その会場内で一番明るいのが蛍光灯に照らされた自分の顔で、一番暗いのが刀の地鉄、こんな展示に度々出くわすが、こんなのは刀の価値を落とすだけの様に思うのだが。
元々ガラス越しの展示では伝わるものは少ないんだから、演出で持って行かないとダメですよねぇ。
予算の都合で仕方なくなんでしょうが、それにしてもひたすら安っぽく見せるのはもったいない。
先日、重文太刀1、重美太刀2、特重太刀1、重刀1等を拝見。いずれも在銘。
重文と特重は親子。同時に比較して拝見出来るのは大変勉強になる。地鉄はよく詰み精美で上品。
先日拝見した重文の長光は、平肉刃肉ともにたっぷりで大変手持ちが重く、非常に詰み硬そうな地鉄に、新刀、例えば中河内の刃の雰囲気を見る様な出来口だった。いや、もっと絞まって硬い印象か。 結局減っていない刀は新刀に近い雰囲気の場合も多いと言う事か。
京都支部にも新しい会員さんが増えて来ました。
より楽しく分かりやすく刀の事を学んで頂くためにと、支部有志による会員向けの勉強会が行われる事になりました。
例会の日の午前がその勉強会、そして午後からは通常の入札鑑定会です。
今回の勉強会は15名ほどの参加がありました。プロジェクターを使った解説、実際に刀を持っての刀の取り扱い解説、火縄銃の鑑賞等。
和やかな雰囲気で、楽しい勉強会です。
入札鑑定
一号 刀
互の目、丁子、拳丁子。刃の色が国康です。
肥後守国康と入札。
二号 太刀
腰の開かない互の目。頭は平らで直調に揃う。片落ち混じり。物打上は直。帽子少し大きい。
肌立つ肌。互の目に映る。
よく見る作に比べ異風だが映りが吉井だと思う。
吉井吉則と入札。
三号 脇差
鎬造り。互の目、湾れ。砂流しが激しく、錵が散り匂い口全体にばさける。
全く分からないが、砂流しが多いので大阪の手掻か。
陸奥守包保と入札。
四号 脇差
鎬造り。鎬高い。中直刃大変冴える。喰い違い刃。焼き詰め。横手を焼く。沈むも少し大肌交じり。
大変良い脇差。 武蔵大掾の焼き詰めを見た事があるなぁ・・・。
武蔵大掾忠廣と入札。
五号 短刀
新刀短刀。少しだけ反る。大きめの互の目が少し逆がかる。表流れ肌。総体に肌立ち気味。
全く分からず。越前肌にも見える。
康継と入札。
当
当
国入り
イヤ
イヤ
ここからはダイジェストで・・・。
三号、真了→助直→康廣→丹波→国助→忠綱で当たり。
四号、真改→康継→輝廣→南紀で同然。
五号、貞則→慶隆で当たり。
一号 刀 肥後守国康
二号 太刀 吉則 永享四年六月日(重要刀剣)
三号 脇差 近江守忠綱
四号 脇差 和州手掻住包国於駿府造之
五号 短刀 山城国埋忠慶隆
四号は後で思えば一札目で南紀に入れられる出来でした。ただ全く一切思い付かずで。多分以前も出ている気がしますが、その時も同じような事になってた気がします。三号も同じ。勉強のし直しです。
先日某国宝を拝見。
焼き出しから返りの先、その下棟寄り全体にかけて、明瞭な映りがあった。
今回手に取るまでこの工に映りが有る意識を全く持っていなかったので大変驚いた。
その後、各書籍にてこの品を確認した。
映りについては全く触れていないものが多く、「映りをみる」との解説を一つ見付けただけだ。(同工の他の作には焼き出し映りが現れた品があるようだ)
また、昭和20年代の刀美に文部省の解説としてこの品の映りに触れた部分があり、「棟寄りは沸えにて白け」とある。
研磨が傷んでおらず、かと言って特に最近の研磨でも無いとは思うが、現在の研磨によって映りが明瞭に現れたのだろうか。
写真ではこの映りを写し取る事は難しい(写るが映りとして分かり難い)が、押形ならば表現出来る。しかし残念ながら全身押形に映りは全く描かれていない。
通常なら必ず押形に描くレベルの鮮明な映りであり、正確な押形の必要性を改めて感じた。
追記 LEDを光源とした事が原因か?!