短刀二振り

tanntou
今日は鎌倉時代の短刀二振り全身。
簡単に”鎌倉時代の”なんて言ってしまいますが、本当に凄い事です。
仏像の胎内で眠っていたわけでもなく、ずっと人から人へと伝えられて来たのですから。
しかもその鉄質の魅力といったらほんとあなた・・。



完成か

一日中押形。
日付が変わる前に完了出来た。
zennsinnkannseisita

久々に押形DVDを見た。
独自路線へと逃げて行った方がよいかもしれない。



近所の

恒例の町内のお祭りでした。
今年は役員ですので準備設営や撤収等で忙しくしてました。
この辺りは古い地(じ)の人も多く、皆さん設営は驚くほど慣れています。 そしておじいちゃん方の体力に驚きます。
役員になると、門扉に「〇〇組 組長」の木札を掛けるのですが、近所の子らはそれを見て今年はうちが組長だと知っているので、すれ違いざまに「組長、ごくろうさまです(笑)」と言ってくる低学年小学生が何人かいます。 どこで覚えてくるのか知りませんが、いいですねぇ。面白過ぎです。あんな子に生まれて来たかった。
さて昨日はお祭り本番。
家の裏のほんとに小さな公園ですが、毎年驚くほど人が来ます。1500とか2000人以上は十分来るんじゃないでしょうか。
祭り
写真に撮ると、公園の狭さは伝わらず、人の多さも伝わらない。
関係ないですが写真って凄いですね、これを伝えられる撮り方も有るのでしょうから。

夜はお店の運営は嫁さんに任せて私は子供と遊びます。
輪投げがありました。
ブルーシートにしょぼいオモチャが広げられていて、それにわっかを3つ投げます。
娘に「どれにする~?」と話しかけても立ち尽くし固まったまま・・。 何度も促してやっと3つ投げ、くまもんの小さいうちわをもらう。

祭り2
スーパーボールすくいが気に入ったみたい。

今朝、「輪投げでなんで固まってたん?」と聞いたのですが、どうやらブルーシート上には素敵な欲しい物がいっぱい過ぎて決めきれず、固まっていたらしいです。 くーっ(泣)
度々、「お父さんはいきなり大人で生まれて来たんじゃない、お父さんも自分ら(お前ら)と同じ子供時代を経て今に至ってるんや!」とか言い、お前らの事は全部お見通しだと言いまくって居るのですが、忘れてるもんですねぇ子供の気持ち。
そう言えばキラキラしてました。しょぼいオモチャが。



第2回 みやこ刀剣祭り 2014

今秋も京都で刀剣祭りが開催されます!

みやこ刀剣まつり

開催日時
平成26年
10月10日(金曜)11時00分~16時40分まで
10月11日(土曜) 9時30分~16時40分まで
10月12日(日曜) 9時30分~16時00分まで

場所
京都市勧業館(みやこめっせ)地下一階特別展示室

”みやこめっせ”は京都観光の起点として最高の立地です。
刀剣祭りを楽しんで、その後徒歩で南禅寺、知恩院、清水等の東山界隈へ。
秋の京都でちょっといい運動です。
遠方からでも来る価値あり!



ちょっと苦しんだ

内曇。
久々にちょっと苦しみました。
普通ならば使える石で、どうしてもヒケが入る。
大磨上無銘で鎌倉期の刀。
明るく冴えがあるが非常に軟らかい。
どう軟らかいかは残念ながら伝え難く研師にしか分からないところですが、過去にこんな記事を書いた事がありました。
http://kyoto-katana.at.webry.info/201109/article_11.html

今回の刀、なぜヒケが入るのか、原因が分かりました。
柾や板目が大変美しい刀です。
研ぎ上がった状態では全く確認出来ないのですが、内曇では米粒から小豆ほどの大きさの黒く澄んだ鉄が全身に散らばっています。 そういう部分は周りより軟らかい場合が多く、普通は微妙に一段下がって居るのですが、今回は周りよりほんの少し硬いため、少しだけ高くなっています。 しかし錵の塊ではなく、地景の塊が近いでしょうか。
その微妙な段差からヒケが入るようです。

過去には南紀や今日の刀と同国の刀にそれがありました。
そう言えば、ヒケの入り方や、曇りでザクザクに肌が出てしまう所などもそっくりです。 そして地艶でスーっと引いてくれる。

どうしてもヒケが入ってしまうので曇りを色々使った。
曇り
「刀に合う砥石を使う」という話は刀研ぎではよく使われますが、今回のようにヒケが入るから石を変えると言うのはちょっと次元の低い事で、「刀に合う砥石を使う」とは本来もっと高度な技術の話です。
にしても、ヒケに苦しむ時はあるもので、特に名刀の時などは研師が刀に合った石を選ぶというよりも、刀が砥石を指定して来ている様に感じる時がある。
「KATANA」の何巻かにもそんなシーンが出てきましたが、正にそんな感じです。



丁子刃の下書きを行う

a
大和物の全身は気合でガツンと仕上げた。

fd
丁子の続きに入る。
今日は佩き裏の下書きを。



大和物を

度々ブログに書きますが、大和物が好きです。
とくに野致を求めているわけでもありません。 なんでしょかこの魅力は。
渋い味わいと言ってしまうと簡単に済んでしまっておもしろくないのですが、それが一番正しい表現かも知れません。

当麻と龍門を拝見。
なんですかこの凄さは。
勝手な想像ですが、バーッとガーッて造ってたらこんなん出来てたんでしょうか・・・。
なんだかそんな気もするんです。 それで、100年以上経って細かい天然砥を当ててみたら、おいおいなんやこのカッコいい地刃は!と言う感じかなと。
あ、計算された美だったらすみません、南北朝以前の大和鍛冶の皆さん。
大和
先日来描いていた丁子の押形も未完成ですが、時間の都合で別の全身を描きます。
そしてこれも大和物。
これでも二尺四寸あるのですが、未完成の丁子の大きさは圧巻です。



上半期が

私は年度で区切ると言うより、お盆で一年の半分が終わり、大晦日で一年が終わると言うイメージでいます。
職人はそう言う人が多いかも知れませんね。
お盆とお正月、田舎に帰る時のお小遣いを貰えるのが楽しみでした。

今年の上半期を考えると、近年になく恵まれた環境にありました。
ここのところ、国宝と重要文化財の刀剣を手に取って拝見する機会を複数回頂き、十数振りを手に取って拝見、名物刀剣や重要美術品、特別重要刀剣を含めるとかなりの数にのぼります。 研師にとってこれは本当に貴重な時間でした。
しかしインパクトのある刀として考えれば、四振りの清麿でしょうか。
茎味や手触りなどは左行秀等と大差を感じませんが、上身のインパクトは別次元です。
好みは分かれるとは思いますが、このインパクトを軽視すべきではないと感じます。

さて、お盆は玉置神社に行ってみました。
IMG_1519
紀伊山地の山々をひたすら登ります(車でですけど)。

IMG_1523-1
玉置神社駐車場到着。
この日は雲が低く、雲より上に。
雲が体をどんどんすり抜けて行くので「雲ってほんまは乗れへんのやぁ!」っと子供達は喜びます。
写真が小さくて確認出来ませんが、中央付近の尾根に私の母の実家があります。

調子よく先に進んでいた長男がキャーっと悲鳴を上げながら戻って来ました。
IMG_1540
参道で青大将。
2メートルを超えるのでカメラに入らず。
子供らは町の子なんでさぞ驚いた事でしょう。
お父ちゃんには谷川を銀色になって泳ぐモグラの方がインパクトがありますが・・。

IMG_1574-23
懐かしい境内を廻り本殿へ。
歳をとるごとに思いますが、都から遠く離れた山奥の空間のこの空気感は凄い。

IMG_1569
私もそうだった訳ですが、地元の人って、遠くから何時間もかけて参拝に来られる方の気持ちって案外分からないものなんですよねぇ。

さてさて、娘に「好きなものの絵を描いて」と言ったらぞうさんとかえるさんを描いてくれました。
IMG_1585-1
初めてきいたのですが母は太平洋戦争中、十津川上空を飛ぶB-29の編隊を見た事があるそうです。
雲が渦を巻いて、その中を割って飛ぶB-29の編隊。
母親に抱えられ防空壕に駆け込んだそうですが、まさかあんな山奥には一発も落とす訳もありません。
しかしもともと高い所に住んでいる訳ですから低空で本土に侵入するアメリカの巨大な爆撃機がどれだけ恐ろしく見えた事か。
それが何日で何機いたのかが分からないのでどの空襲に向っていたかは分かりませんが(或いは帰っていたのかも)その時、何千、何万の人が死んだのかも知れません。
今の私の娘と同じ歳の出来事です。
当時の子供達はこんな無邪気な絵は描けなかったんですか・・・? 無茶苦茶ですね。



佩き表

片面
朝から終日押形を描く。
佩き表の七割ほど出来たでしょうか。
今日はこの辺で集中力の限界です。

私は例えば新刀の深い匂い口も、古刀の繊細な働きも基本的に筆一本で済ませてしまうタイプなのですが、今回は二本で試してみた。 なかなか良い具合。
もしかしたら備前伝には一本では限界があるのかも知れない、が、わからない。
上手な人が描いた原本が有ればどれ程価値ある手本となるだろうか。
これは刀の研磨でも他の仕事でもなんでも同じだと思うが、好みの上手な研ぎの刀があれば、その刀をずっと手元に置いて手本としたいと思う。 しかし現実ではそうも行かず、ただ試行錯誤を繰り返す。
身近に手本となる人が居る人は大変恵まれている。
そう言う環境にある人はその価値を理解しなければならない。