慶長の

ここ数日、仕事場にて2,30振り拝見。
地方の新々刀には研ぎこなされて古刀になった品がかなりあるでしょう。
沢山見る時は必ずと言っていいほどそう言う品が混じっている。
慶長新刀研磨。
慶長新刀はいつも難しい。
磨上無名の鎌倉末~南北の刀にこれと同じ研ぎ味のものが多い。
慶長新刀は名工揃い。



いつもこうなる

画像

研台や砥石を洗う時はこういう普通のタワシを使います。
研師皆そうだと思いますが仕事場のタワシはすぐにこうなってしまいます・・。

画像

いつもこうなりますので普通だと言う感覚だったのですが、以前仕事場に来られた方が「何これ!」っておっしゃっていました・・。 ん~確かに普通はこんなに減らないですよね。
相手が砥石なので繊維を縛っている太い針金も当然削れます。
新品から半分ほど減ったくらいが一番使い易い。
新品だと、口を開けて前歯を前後にゴシゴシする時みたいに水が飛び散ってしょうがない。
下地研ぎの舟の水漏れが著しい。 両サイドダダ漏れ。 
修理か新調か迷うところです。



平成24年7月15日 京都支部刀剣入札鑑定

祇園祭、宵々山です。
暑い。 人多い。 宵々山の昼はまだ浴衣の女性が少ない。
京都支部例会は室町通りと言う細い通りに有る京都私学会館と言う所で行なっておりますが、鶏鉾の通りです。

画像

私は詳しく知りませんので少し調べてみると、山も鉾もそれぞれ色々な意味が有り、本当に歴史の深いものなのですねぇ。
山や鉾の有る町内ではこの時期、家に伝わる屏風や美術品を家の格子を外して通りを歩く人々に公開する屏風祭も行なわれています。
しかし私はゆっくり歩いて見た事が無い・・。
子供達が一緒に出掛けてくれなくなったら嫁さんと行きますか。
ん~、でもその時まで色々と頑張っておかないと一緒に行ってくれないかも知れませんな・・。
一緒に行ってね。
さて、本日は京都支部例会。
一号 刀
5分程の反り。 若干寸詰まる。 少し踏ん張り無い気がする。 重ね厚く重い。 鎬狭い。
所謂足長丁子。 
肥前刀です。
刃中大変良く錵る。
近江大掾か陸奥かよく分かりませんが、刃中の錵が強いのと重いので、陸奥守忠吉と入札(この根拠は極めて薄い)。
二号 太刀
細身。 柾。
湾れ、柾に絡む刃。
白く筋の通る柾と言うより少し大人しい(研ぎで変わるが)。
平地より鎬地の柾の方が若干深い。
切っ先は柾が棟に抜ける。 帽子は割と素直で少し掃き掛け。
区はおそらくウブで、柾は刃方ではなく、おそらく茎へ向かっている。
古作に見える柾目のものは大体の場合、無名で「保昌」の極めか「手掻」の極めか、と言う話に成りますが、その判別方法を私は詳しく知りません。
やまかんで、手掻包清と入札。
三号 短刀
少し細長い。 三つ棟。 内反り。 踏ん張りが全く無いが送っているとは感じない。
中直刃。 錵が微妙にばさける。 棟にもそう言う焼きが少し。 丸い帽子。
少し白い地鉄。
宇多ですが応永までは行かず中期以降だと思う。
宇多平国と入札。
四号 短刀
フクラ少し枯れる。 詰む肌。 硬いが匂い口は少し深い刃。 
ケバケバして棟の互の目とつながる部分が有る刃。(棟は腰まで焼き下げ)
島田、関、廣賀、色々有りますが分からない。
島田助宗と入札。
五号 短刀
大変細長い。 三つ棟。 内反り。 頭の丸い互の目。 返りも同じ互の目で区付近まで焼き下げ。フクラ付近は刃と棟とがつながる。(つながる部分、普通は刃取りで切るがそれを敢えてつなぎ、大きな島刃の刃取りとして居る。この刃取りはノープランでは出来ない。 ノープランで微調整をしながら進めるならば、やり直しで半日ロスするリスクを恐れ、切って平凡な刃取りで終わってしまいます。 見事!)
島田義助と入札。
 当
 準当
 当
 イヤ
 当
3,4,5は位が分かれば当りや同然でとってくれるそうです。
4号、なんだか気が楽になりました。 伯州廣賀と入札。
 当
 準当
 当
 然
 当
一号 刀   肥前国住近江大掾藤原忠廣
二号 太刀 無名(保昌)
三号 短刀 宇多国宗(後代)
四号 短刀 兼春作
五号 短刀 義助作

画像

北国物は「地鉄が黒い」「黒味の有る地鉄」などと説明される場合が殆どですが、あまりそれに捕らわれない方がよい気がしています。
この手の「黒い」「白い」は人それぞれどの部分を見ているかによって、同じ刀でも180ど違う答えになってしまうと思います。
黒いで統一するならば、もっと詳細で専門的な解説が必要です。



電球を

どうしましょうか、これから。
刀剣の鑑賞にも鑑定にも、そして研磨にも光源は非常に重要です。
例えば入札鑑定などでは「刃が明るい」、「匂い口沈む」などの状態から刀工名を導き出したりする訳ですが、それは白熱電球にすかして初めて分かる事です。
白熱球はワット数が変われば明るさも変わるのですが、電球の明るさが変われば刃の明るさも変わります。
同じ刀でも100Wの電球で見るのと40Wで見るのでは全く違います。
もしも、普段60Wで見ている人が入札鑑定会で100Wの電球で刀を見たとすると、どれも大変明るい刃に見えてしまい、実際よりも位列の高い刀工に入札してしまうかも知れません。
(ある程度自分の中に基準が出来てくれば電球の明るさが変わっても刀の冴えを見誤る事も減ってきます。また、最初の方に「白熱電球ですかして初めて刃が見える」と言う事を書いておりますが、実際は蛍光灯でも太陽光でも有る程度は見えます。例えば蛍光灯で見る人はその光りが基準と成る様に多数の刀を見れば良いのです。)
特に研磨となると、研師以外はほぼ誰も気付く事が無い様な点をしっかりと見定めなければ成りません。
内曇の効き具合などはなるべく明るい白熱電球が必要です。(私の場合は100Wを基準にしています)
これからはLEDに変わって行くわけですが、私は未だ100W相当のLEDと言う物で刀を見た事が有りません。
おそらくそれでも見る事が出来るのでは無いかと思っては居るのですが、光りの質が違う訳ですから今までと全く同じとは行かないでしょう。
ずっと基準として来た光りが変わると言うのは誠に不具合が多いのです。
曇りの効き具合、肌の出し具合、拭いの色と・・。
っと言う訳で、とりあえず少し買い溜めしました。

画像

1年に4個か5個消費しますのでそれほど長くは持ちませんが。



映りの画像2

今日は代休で、京都水族館へ。

画像

淡水魚をず~っと見ていたい。(海のお魚でもいいですけど)
夜8時以降は、”おとなの水族館!子供入場禁止!”、みたいにしてくれないかなぁ・・。
あとカップルも禁止で。 夫婦は可。   ・・・んな無茶な。
イルカショー初めてみました。  筋肉の塊ですね。
控えめなショーでした。 
「イルカがかわいそう」との声に配慮したんだと思います。
昨日は出先にて青江を拝見。
仕事場でも青江を二振り拝見。
最近青江の実力をちょっと浅く見ていた自分に気が付きました。
凄いのが有ります。
話は飛びますが、先日の映りの画像。

画像

この画像は内曇時の山陽道鎌倉初期の太刀。
平地に映りがよく出ています。
しかし本当は鎬地を画像処理で黒くした物。
実際はこちら。

画像

研ぎ上がりに近い、鎬地を磨いた様な状態が最初の画像で、研磨中はこの画像の様な状態に有ります。

画像

画像では少々分かり難いかも知れませんが、棟には断続的に棟焼きが有り、それを起点として丁度その長さの分だけ映りが出ており、それが刃に向かって垂れて居ます。(焼き頭から立ち上がると言う雰囲気では無い)
映り部分の鉄の硬さは様々有るようで、一概には言えません。
この画像の映りに関しては、映り部(白っぽい部分)が暗帯部(黒っぽい部分)より微妙に盛り上がっており、映り部の方が暗帯部よりも硬い事が分かります。
映りと言う物はそれ自体が作刀や研磨、鑑賞、鑑定などに於いて一つのテーマとなるほど重要な要素であり、未だ謎が多く大変魅力的な存在です。
この僅かな画像ですがブログに載せさせて頂こうとした際も私には分からない事が多くあり、色々と御教授を頂きました。 ありがとうございました。(私の場合、謎と言うより単なる知識不足です)



臭いので

私の田舎ではザリガニは居ないので珍しいのですが、町の子供は死んだザリガニなど臭いので拾わないそうです。(一応私の田舎でもザリガニは居るそうなのですが、毎日の様に川に行っていた私でも一度も見た事が無い)
そうなのかぁ、ごめんよちびっ子達。おっちゃん知らんかったわぁ。



最近の

田んぼにザリガニの死がいが有りましたが、これが何日もそのまま有るんですけど・・・。
小学生も沢山行き来してますが。
小学生なら普通ザリガニが死んでたらとるでしょうよ。
小さい生きたザリガニも居ましたが、捕獲されずにずっと居ましたよ。
小学生も忙しいですか?最近は。



秘技!

「秘技」をyahoo辞書で見たら1、2と二つ有りますが、1の方です。 
2じゃないですよ・・。
内曇を引いて居りましたら、秘伝にでもなりそうな事がありました。
常日頃使用している石なのですが。
この工程でまだこんな発見があるのですねぇ。 驚きました。
あ、秘伝と聞いて笑う事無かれ、ですよ。
秘伝すなわち個性でもありますから。
初期の刀剣研磨コンクールでは赤羽刀から時代や位を揃えて選出した刀で研磨を行い審査されたと言う事が昔の刀美に書かれております。
材料の条件を揃えると言う訳です。
しかし、数回のコンクールの時点でこの様な現象が生じたそうです。
 「個性が消えた」
「同じ様な刀を色々な研師が研いだ。 ・・・みな同じに見える。 戦前の研ぎは各流派や個人の個性が強く出ていたのに・・・。」 っと言う具合です。
まず研磨技術等研究会(研師会)と言うものが発足しそしてコンクールが始まったそうなのですが、この研師会では各名流研師が集い、秘伝、秘事、皆公開。 (凄い会ですね!)
議論を尽くし、各工程、各部位に関し最良と思われる技術を選び「研師会流」とも言える研磨をつくり上げて行ったそうです。
そのおかげで研磨技術水準は格段に上がったのですが、個性も消えてしまったと・・。
しかしその後はこの反省点を踏まえ研磨技術向上が図られたと言う事です。
まぁこの技術も物になるかどうかは分かりませんが、もしも使えたらかなりの個性となりますので完成させたいです。



葵の

仕事で近年の斎王代を務められた事も有る方とお話をさせて頂く機会が有ったのですが、名家の御令嬢とは斯くも才識に富み正直(せいちょく)なのですね・・・。
うちも娘が居りますが、どの様に育てればその様な人格が備わるのでしょうか・・?!
ん~、家柄でしょうか・・。 なら無理ですやん・・。
それは無理ですが、とりあえず沢山の人とあう事が大事なのかなと。