鉈で

家の裏にあった直径20㎝弱の枯れたキンモクセイの木を切り倒し、ごみ収集車が持って行ってくれるよう、50センチ程度に切り刻みました。
根も出来るだけ掘り、掘り切れない部分は切断し切り株も撤去。
道具箱にあったノコギリは内曇りを切っているので刃が潰れてダメで、目立て鑢で目立てをというか、刃が完全に潰れてるので、小刃を一枚一枚研ぎました。鋸の目立てなんて多分40年振りくらいかもです。
幹や根の切断は、そのノコギリも多少は使いましたが、殆どはホームセンターで買って来た小振りな鉈での作業。
後の3日間筋肉痛になるほどバキバキに鉈を振るいましたし、土中の太い根も土壇払状態にバチバチ切断。
途中埋もれて見えなかったブロック塀の基礎を叩いてしまい大きく刃毀れしたのですが、こんな酷い使い方をしたにも関わらずその刃毀れ以外、小さな刃毀れ一つせず。
うちの田舎では名前は知りませんが先が鳶口の様になった鉈をよく見かけます。かなり大きく厚く重い物で。その切れ味は素晴らしく。
あんなに重ねが厚く、刀に比して異様な蛤刃なのに髭が剃れる刃が付き、そして鉈として長切れする。
実用の刃物はこうでなければ。



野中鉄工(宮甚)さんから鋏研磨のご依頼を頂き研がせて頂きました。
鋏は実用の刃物ですので通常はそれに適した鋼材を使用し製作されていますが、今回は美しい刃文と地鉄を求め、初めて玉鋼(日刀保たたら)を使用し製作されたそうです。

玉鋼は扱いが難しく、焼き入れ温度の僅かな違いで刃の高さが変わってしまいますし、何から何まで一からの試行錯誤で、苦労の末の一本との事でした。
にしても、鍛錬から焼き刃土の調合や焼き入れ等々、玉鋼の扱いに慣れた刀匠のアドバイスなどは全く無しでこの様に完成出来る物なのですか。。凄いです。
研磨の方ですが、構造を理解していない素人の私が下手に触ると切れない道具になってしまいます。造り込みを崩さぬ様に注意しつつ、刃文と地鉄を美しく、そんな意識で研磨させて頂きました。



木下正宗が。

第106回企画展「戦国上州の刀剣と甲冑」 | 群馬県立歴史博物館 (pref.gunma.jp)

「戦国上州の刀剣と甲冑」という展覧会が「群馬県立歴史博物館」で行われます。
展示品の詳細は分かりませんがHPを見ると木下正宗が展示されるようです。
昔、重美全集と相州伝名作集で見て以来、ずっと気になる刀の一つでした。
個人蔵という事ですが、関東では度々展示され良く知られているのでしょうか。
私多分展覧会等で拝見する事は叶っていませんが、今も興味の薄れない刀です。
もしかして佐野美の正宗展で出てたのか?と思い図録を見ましたがやはり出ていないですね。
相州伝上工は難しい刀です。
ごく最近も享保名物含め相伝上工の極め物を幾つか研磨させて頂きましたが、研ぎはもちろん、時代背景やその捉え方や、何から何まで本当に難しいです。これは在銘無銘問わずですよね。在銘ですら難しく悩ましい。正宗以外でも。



「令和の刀 明治の拵」日本橋三越本店

会期:2022年6月1日(水) ~ 2022年6月6日(月)
会場:日本橋三越本店本館6階美術特選画廊
住所:〒103-8001 東京都中央区日本橋室町1-4-1

↓デジタルカタログをご覧ください
令和の刀明治の拵展 | ebook5

【出品刀匠】
吉原國家
大野義光
三上貞直
宮入小左衛門行平
久保善博
明珍宗裕
河内一平

心技体、凛とした、一本の張り詰めた緊張感。
日本刀の魅力は、古くから日本人の魂の中に息づいてきました。武士の歴史は江戸時代で終焉を迎えましたが、刀における巧みな技と精神は現代まで連綿と受け継がれてきています。
この度日本橋三越で現代を代表する7人の刀匠による太刀や脇差、短刀と、華やかな明治期の拵を一堂に集めた展覧を開催いたします。精神性が高く、浮かび上がる刃文の美しさが魅力の「刀」、伝統工芸の緻密な技が集積する「拵」の世界をどうぞご高覧くださいませ。

令和の刀 明治の拵 | アートギャラリー | 日本橋三越本店 | 三越伊勢丹店舗情報 (mistore.jp)