大和なる玉置の宮の弓神楽

また拵の事ですが。
小柄は赤銅独楽図です。魚子は手擦れでトロトロに。
天正拵は三所などに揃えずバラバラが本来だという話や、やはり古後藤で揃えてこそだとか、図柄で揃えるべき、或いは技法で揃えるべき(例えば小柄笄をうっとりで揃えるなど)等々、色々聞きますが、結局のところ予算次第で。。あぁ言ってしまった。
そりゃぁ誰しも古後藤で揃えたい訳ですよ。。
でも幸い私は西円堂が好きなので、庶民の天正拵でいんです。

小刀には「大和なる 玉置の宮の 弓神楽 弦音すれば 悪魔退く」の上の句が切られています。
これは私のルーツである玉置神社に伝わる歌ですが、数年前にいつも大変お世話になっている方から頂戴しました。
当初小柄には煤竹の継を入れていましたが、この小刀を頂戴し早速差し替え。
拵えの中身、刀身自体は一桁万円の安刀ですが愛着満載。
そしてこの小刀のおかげで、この刀のお守り刀としての意味がこれ以上ない物になりました。



拵え完成

拵えがほぼ完成しました。(下げ緒がまだで、今は棚に入っていた適当な物を巻いています)
鞘長約73㎝、柄長約21センチ。
天正拵が欲しく、一生に一本と思い刀装具探しを始め、それから何年かかったでしょう。。8年7年でしょうか。
一旦拵が完成し、その後もっと好きな笄が見つかってしまい差し替えたので、鞘の笄櫃に笄が完全には合っていませんが、それでも構わないと思える好きな笄で。(好き過ぎて何年も前からずっとスマホの待ち受けになっています)
拵一旦完成後、一番好きな厳島西蓮拵に寄せたくなり・・・。2年ほど我慢していましたがやはりどうしても我慢出来ず再度柄製作に。
それから2年半ほど掛かりましたがついに巻き上がりです。
その前に、あえて1,5ミリと厚く作った金着切羽の色がうるさくなり厚い赤銅切羽に作り替えていたのですが、次はセオリーを無視した厚い切羽が嫌になり、古い拵に見る薄い切羽が欲しくなり。20代の頃憧れた金着厚切羽(厚赤銅も)を捨て、地味な0,5ミリ赤銅切羽に作り替え。
最初の巻の時、サンプルに渡していた柄革写真の色に合うようにあえて赤銅でなく山銅の目貫を探し揃えたのですが、柄革の染は簡単ではないそうで思った色で上がって来ず、結果山銅目貫の色と合わず。鮫も天正の黒鮫が苦手で桃山拵の朱鮫にしていましたが、それとも合わずで。
理想の柄革色が難しいそうなので、赤銅のこんもりした古い目貫を入手しそれをお渡しし、最初の柄は鞘長比標準の24㎝でしたが、西蓮拵の20,3に近づけるべく21㎝で作って頂きました。(西蓮拵通りの20,3㎝もかなり考えたのですが、冒険が過ぎるので少し大人しく21㎝に)
今のシトドメは「金黒金」ですが、多分今後全部黒が好きになりそうで「黒黒黒」に作り直すことになるかもです。
にしても好きな姿の拵にするために一番重要なのは、刀その物の姿ですね。しかしそう都合よく理想の姿の刀はありません。
鞘師さんはその極限を衝いてかっこいい拵を作ってくれるのです。鞘師万歳。
今回の拵が完成に至るのに一番重要だったのは、刀身でも笄でも柄長でもなく、縁金具の存在です。
筋違鑢の赤銅着天正縁。地味ながら味わい深い赤銅色で、縦径に加え、側面のこんもり感が絶妙。
刃方棟方の角度も理想の極致。
この縁はいつもお世話になっている方から頂戴した物ですが、この縁が無ければ何も始まらず、今この完成はありません。
本当にありがとうございました。
一生に一つと思っていた拵、またもう一つ頑張って見ようと思い始めていますが、この縁を超える品に出会える気がしないです。。













そして差し込みの続き

久々に金属乳鉢を購入しました。
絶妙に丁度いい大きさ。
何よりフタが嬉しいです。

こういう粒や粗い鉄肌を砕く時、袋に入れて金床上で叩いたり、一手間掛かり面倒なのですが、金属乳鉢と乳棒でしかもフタ付きなので完璧です。
フタをした状態で乳棒でガシガシ叩いて砕きます。
夢中で狂い叩いていたので写真を撮り忘れましたが、かなり硬い粒でした。
前回の粒は多分人工的に作った物じゃぁなかろうかと。数百円の物をわざわざ手間掛けて作るかね?!とも思いますが、世の中色々あるわけですねぇ。

この後陶製に変えてさらによく擂ります。