分類を試みる

全身押形は、基本的に採りたいと思った物を採るスタンスで来ました。
今手元にどんな物があるのか、そういえばその事は全く考えて来ませんでしたが、採拓順にまとめて筒に放り込んでいるだけでは何かの時に探すのが大変です。
差し上げる事も結構あり手元に無い物も多いのですが、とりあえず原本が手元に残っている物を、新刀・古刀、そして国別にリストUPしてみる事に。

現代     6

新刀 陸奥  2
新刀 常陸  1
新刀 信濃  2
新刀 越前  1
新刀 江戸  7
新刀 近江  1
新刀 美濃  1
新刀 山城  5
新刀 大阪  7
新刀 備前  1
新刀 肥前  6
新刀 薩摩  1
新刀 紀伊  2

古刀 大和 10
古刀 山城 10
古刀 美濃  5
古刀 相模  7
古刀 遠江  1
古刀 伊勢  4
古刀 越前  1
古刀 加賀  1
古刀 近江  2
古刀 備前 40
古刀 備中  1
古刀 備後  4
古刀 長門  1
古刀 筑前  3
古刀 肥後  1
古刀 薩摩  5
古刀 紀伊  6

未分類 新刀 1
未分類 古刀 1

初めてこうして見てみましたが、やはり古刀が多くなっているんですねぇ。
そして圧倒的に古刀の備前物が多い。
地方刀工そして大和物が好きだといいながらも、結局こんなにも備前物が多くなってしまうのですね。。これはちょっと驚きました。
そもそもの数が多く、研磨の機会が圧倒的に多いのがまず一番ですが、やはり良い物も多い、そういう事になるんだと思います。
ただこの数の差は、今後意識してしまいそうです。備前物の採拓率は下がる気が。。
で今気づきましたが、越中とか入って無いですね。有るはずなのに。それに全体の数も思っていたよりかなり少ない。
多分筒何本か分がリストから漏れてますねこれは。
また最初からですか。もうやらないです多分。






諸々

少し前に描かせて頂いた鎌倉初期かと思われる太刀の全身押形を引っ張り出し、色々確認。
初めて拝見した時から変わらずやはり凄い太刀で、これ系の最高峰の一つだと思う。区の踏ん張りの美しさが尋常ではない。
研ぐ立場で考えると、焼き落としの場合、焼き出し以下が一番減るもの。にも関わらずこの踏ん張りはちょっと普通ではない。

某企画の撮影・撮像その他でいつも大変お世話になっている方々が研ぎ場に集まる事になり。
異分野の方々のお話は私の様々な物事の源になる。

しばらく振りに岩国へ。また色々勉強になりました。ありがとうございました。

享保名物の押形を描く。健全で気持ちいい刀。
江戸中期以降の極めは色々あるが実は結構好きで。
ただ古極めをみると敬服させられる。




入札鑑定会

判者の時が度々でしたので、入札出来るのは2020年の2月以来です。
いやもう本当に楽しいものですね。
そしてぐったり疲れました。

4号 刀
 反りが強い。裏が樋中に梵字の浮彫など。信国か。
1号 短刀
 内反りだが刃のバランスから時代は上がらず室町。彫り物。信国かな。
3号 薙刀直造脇差
 互の目の頭が上へ下へと寄る。美平かぁ。
5号 片切脇差
 ザングリで片切なので堀川弘幸
2号 鎬造脇差
 多分以前見た応永備前。どちらかを覚えておらず、確か康光だったか。

 通り
 然
 イヤ
 イヤ
 当

全体をざっと流し見して2号以外は山城で揃えて下さったのだろうと、浅はかな読みをした事を大いに反省し冷静に再考。

1号短刀、フクラから上の刃幅と姿が研ぎ減りを考慮しても室町より上がるとは思えず。
樋や梵字が信国より少々大人しいと思う。ヒント間違いから延寿、法華一乗と入れたがそれぞれイヤで、やはり畿内との事。
ならば地の若さと刃の質で末手掻だと思う。 手掻包俊と入札

2号脇差、寸が短い鎬造り。差し込み研ぎの雰囲気と鎺上の梵字と素剣の深くて太い状態を覚えているが、銘を忘れ、康光で同然。

3号脇差、薙刀直造だがウブだと思う。丁度蛍光灯が無い場所で地鉄は見えないが良く詰んでいる。刃沸えは深い。棟を腰まで焼き下げる。
薙刀直造の脇差にしてはフクラ下~腰上が張らず、少々異風な姿。。刃肉が無い時独特の内曇りの効き方をしていて、肉が少ない事が分かる。
が、誰だか全く検討が付かず疲れる。。。。
何号刀の事かは不明だが「五」の文字に特徴がとのお話が聞こえて来てしまったので、「五」で答えを探そうと考えを巡らせてしまう意思の弱い私。。
大与五(笑)水田国重と入札。

4号刀、実は1札目でも信国には見えておらず。表の彫りが違うし刃にも信国の特徴がどこにも発見出来ず。ただ裏の彫りと反りが信国であっても良い様に思い。
下半が大人しく上半が皆焼。セオリー通りに行くべきか。
相州綱広と入札。

5号脇差、典型的ざんぐり肌。匂い口の雰囲気や刃の調子が過去に研がせて頂いた弘幸と同じ。
表の平造の姿が貞宗風をよく再現していて非常に美しい。
刀を造った事が無いので分からないが、姿造りはおそらく研ぐのと造るのではかなりの違いがあるはず。
貞宗の木型などがあれば再現する事は簡単なか。やった事は無いが、おそらく答えはNO。
押形や木型だけでは再現出来ない。刃と棟の線だけでなく、庵と茎の線や踏ん張り、全体の肉置きや特にフクラから鋒の肉置き、焼き刃との関係や、もしかしたら地鉄の色や雰囲気までもが関係するのかも知れず。とまぁこうなってくると、「貞宗風を再現」というのは間違っていて、その刀工の作風の確立なのだと思う。慶長新刀は凄い。(先日出先で国昌、国広、国徳、国時、弘幸等堀川物を同時に拝見しましたが、堀川物の層の厚さを再認識しました)

 然
 然
 当
 然
 当

1号 短刀 銘 南都住藤原包貞 
2号 脇差 銘 備州長船盛光
3号 脇差 銘 備中国水田住大与五国重
4号  刀 銘 相州住助広
5号 脇差 銘 平安城藤原弘幸

2020年2月以来の入札という事で、その月の入札鑑定記を見て笑ってしまった。
4号の助広がその時も出ていて、見方が成長していない。そして山城山張りも同じだった。。
日刀保京都府支部2月入札鑑定会 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)





時代劇から

「東映京都撮影所」閑散の今 – Yahoo!ニュース
ちょっと寂しいニュースです。
過去に時代劇映画等のお手伝いをさせて頂き、松竹や東映の撮影所には何度も行きました。
映像作品はほんの少しのシーンでも一度関わると4回5回と撮影所に行かねばならず、結構大変です。
しかし私の様に年中研ぎ場に籠っている人間にとっては、少しの間だけですが日常とかけ離れた世界に身を置く事が結構良い刺激になるんです。
全ての事に気を使い駆け回っている助監督さんやボロボロになって働いているADさん達を見ると、まぁ色々と考える訳です。。
さて、そんな撮影所さんがピンチとの事。
コロナ感染者の減少で京都市内の観光客は激増中ではありますが、外国人観光客の姿はまばら。というか殆ど居ませんね。
ほんの数年前からは考えられない状況です。東映さんは海外からの観光客も重要な収入源だったとの事ですし、厳しいですよねぇ。。

時代劇映画を見ると、刀が欲しくなるんです。特にリアルな時代劇を見ると確実に欲しくなります。
人を斬りたくなるとかそういう事ではありません。そばに一口置きたくなるんです。(私特に研師ですので、刀は美しい物、美しく研ぎ上げる物。ティッシュペーパーですら刃先と直角方向に擦れる事を嫌うわけですから何かを斬りたくなる衝動など生まれようがありません)
民放時代劇ドラマが無くなりましたが、映画ももう無理なんですかねぇ・・・。
ちょうど昨日ですが、マーティンがあまりに器用なので「なんで?」と聞くと、小さい頃からスロバキアで木の日本刀やら鉄板の手裏剣やらを沢山作っていたそうな。侍movie、忍者movieが大好きなkidsだったそうです。