無題

支部例会の準備で、光忠長光景光などの全身押形で確認したい事があり、押形を入れている筒から色々と引っ張り出しまして・・・。

鑑賞会で見た刀は時間が経つと忘れてしまう事があります(完全に忘れるわけではありませんが、どうしても他の刀と混同したり、記憶の底にしずんだり)。展覧会でガラス越しに見た刀は、残念ながらもっと記憶に残りません。
研磨させて頂いた刀は、何年何十年前の物でも普通は見た瞬間に分かります。そして押形も、何年前の物であっても記憶は鮮明で、もしかしたら研磨した刀より、もっと具体的に色々と頭に残っているかもしれないくらいです。
で、昨夜押形を色々出す中、この押形を開いて正直衝撃的な程に驚いたのですが、全く記憶に無く。。
元幅一寸以上、鋒長も10㎝以上でしょうか。一瞬私の押形ではなく、誰かから頂戴した物かとも思ったのですが、やはりどう見ても私の描き方で。
樋の有る刀は、チリの線と鎬線を綺麗に採ろうとすると樋の中が汚れるのですが、いつも完成後綺麗に修正しています。しかしこの押形は修正も出来ておらず汚いまま状態。ただ刃文描写は結構丁寧に行っています。
これなんでしょか。。ちょっと考えます。



全身押形完成

制作途中だった鎌倉末期在銘太刀の全身押形を今夜完成させました。
やはり直刃は早い(時間短縮のため墨は一切使用せず)。映りが元から先まで途切れる事無く続き、映り描写の方が時間が掛かったか(これだけ途切れずほぼ均一に続く映りは実はそんなに多くはありません)。
直刃とはいえ完全な直刃ではなく、微妙に揺らいでいます。手に取り白熱灯に透かしてみれば、微妙に揺らぐどころか、小足、逆足、片落ち風など様々な働きが(透かして見る角度だと密集して見る事になり、より強調されて見えます)。この微妙さを押形に完全再現するにはかなりの時間が必要ですが、今回は時間もかけられず、延べ5時間程度。



押形もやってます

研磨に出張にと非常に忙しくさせて頂いておりますが、研磨で体が動かなくなった後は、出来る限り押形作業も続けています。
最近では鎌倉前期無銘太刀全身、平安末~鎌倉前期無銘太刀全身、鎌倉末期無銘太刀全身、現代太刀全身、応永在銘寸延、鎌倉末期在銘太刀全身、鎌倉中期在銘太刀全身(途中)、鎌倉末期在銘太刀全身(途中)。
時間と体力の問題もありますが、どうしても残しておきたい物が多く。。にしても限界もあり、残念ながらスルーする刀も。
やはり刃文描写の時間短縮が鍵です。あとはどのタイプの押形を選択するかですね。



副長の。

昨日から公開の映画「燃えよ剣」。
劇中、副長土方が持つ刀はこの和泉守兼定です。
13ac85424406b61f9a9cd1e26f9b918b.jpg (5727×986) (kyoto-katana.com)
会津11代ではなく、司馬遼太郎の原作通り、”ノサダ”。
そして原田眞人監督のこだわりから、本物のこの和泉守兼定が使用されました。
劇中での使用を快くお許しくださった御持ち主様には心より御礼申し上げます。(本当にありがとうございました。もちろん殺陣シーンでの使用はありません。ポスター撮影や本編中本物の質感が必要な幾つかのシーンに限られています。)