3月京都府支部入札鑑定

1号から古い物順とのこと。1号は大磨上げ重刀。あとは在銘で5も重刀。

1号 刀
身幅広め、重ね尋常。中鋒。鎌倉末期から南北の造り込み。
地鉄詰み気味。鎬寄り映り気。全体に白ける感。直ぐ小湾れ、小錵。食い違い。二重刃がかる箇所。帽子青江風。
色々考えられるがとりあえず古三原と入札。

2号 刀
短寸小振りの刀。少し反り気味。直刃で先に行き刃幅を広め物打より上は地より刃が広い。帽子も。刃中の働きは少ない。匂い口締まる箇所あり。
板目杢目。映り見えず。
末備前。祐定か忠光風。彦兵衛尉祐定と入札。

3号 脇差
反り浅い。鋒詰まる。
匂い口がかなり深い大湾れ。刃は沈み気味。直ぐ焼き出し。帽子丸で虎徹にならず。表柾流れ、裏詰む。
江戸新刀と思う。古い順との事なので慶長じゃないと並び的に厳しいか。。
繁慶で詰む物も結構見るし、姿的に繁慶脇差でよく見る形。繁慶と入札。

4号 脇差
1尺3,4寸か。鎬造。反る。互の目で尖り多数交じる。沸え付く。鋒詰まりフクラ張る。
短寸で反るのは親国へ。親国貞と入札。

5号 刀
2尺5寸弱か。反り浅め。少し細めの直ぐ湾れ。沸え付く。地鉄大変良質。沸え付き地景よく入り潤う。
この刀は白い筋にはなっていないが、地景の形が薩摩によく見る白筋の形になっている。
薩州正良と入札。

イヤ
当扱
国入
国入
当扱

1号、古三原でイヤなので青江も無くなった。来国光と入札。
3号、江戸慶長は康継しかないなぁ・・。刃のぼわぼわ感が興正にも思えるが。康継と入札。
4号、小さ脇差は左陸奥でも何度か研磨した。風変りな刃もありそう。陸奥守包保と入札。

イヤ縁
当扱
国入
国入
当扱

「国入は三振の始まり」。。
1号、イヤ縁なのでこれで当たりになります。延寿と入札。
3号、江戸国入の3本目は厳しい・・・。康継の次は和泉守兼重が古かったような。もう作風とか考えてない。和泉守兼重と入札。
4号。大阪国入は一番キツい。近江守忠綱で。

イヤ縁
当扱

国入
当扱

1号  刀(金象嵌銘)国時(延寿)(重要刀剣)
           光遜(花押)
2号  刀 銘 備前国住長船清光
        天文十九年二月日
3号 脇差 銘 和泉守兼重
4号 脇差 銘 越前守助廣(助廣初期銘)
5号  刀 銘 寛政五丑秋    (重要刀剣)
        奥大和守平朝臣元平




「日本刀1000年の軌跡」出陳刀発表

大阪歴史博物館で開催の『特別展「-全日本刀匠会50周年記念-日本刀1000年の軌跡」』の展示品が発表されました!

特別展「-全日本刀匠会50周年記念-日本刀1000年の軌跡」出品一覧・展示替リスト

こんなに多数の現代刀匠の作品が一堂に会する機会は実はそう多くはありません。
いつの日かまた「現代刀入札鑑定会」が開催される事を願って、皆さんの作風を勉強しに行きます。
現代刀の入札鑑定会 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区



「全日本刀匠会創立50周年記念祝賀会」のご案内

4月19日、KKRホテル大阪で開催される祝賀会にまだ空きがあるそうです!
夕方5時半から開催。
全国の刀鍛冶さんや各職方と立食パーティーでの交流会です。私も参加させて頂きます。
ご応募よろしくお願いいたします!!

日時 : 令和7年4月19日(土) 受付17:00~ 開始17:30〜
会費 : 一般15,000円(ご同伴者15,000円) 賛助会員13,000円 (18歳以上)
   ※特別展「日本刀1000年の軌跡」図録付き
立食パーティーにて、刀鍛冶と楽しいひとときをお過ごしください。
その他にも、景品が当たるイベントを計画中。

会場 : KKRホテル大阪
    〒540-0007 大阪府大阪市中央区馬場町2−24 Tel 06-6941-1122(代表)
申込締め切り:3月31日(月)必着。郵送・Fax・メールにてお申し込みください。
※参加申込書のダウンロードはこちらPDF形式 Word形式



特別展「-全日本刀匠会50周年記念-日本刀1000年の軌跡」

『大阪歴史博物館では、令和7年(2025)4月4日(金)から5月26日(月)まで、6階特別展示室において、特別展「-全日本刀匠会50周年記念-日本刀1000年の軌跡」を開催します。

鎬造しのぎづくりでりのある美しい日本刀の姿が完成したのは平安時代のことと考えられています。以降現在に至るまで、先の大戦後の一時期を除き、日本刀は約1000年にわたり製作され続けてきました。

1000年もの間日本刀の製作が続いてきたのは、常にその時代に活躍していた刀匠が存在したからにほかなりません。現在の国宝・重要文化財も作られた当初は新作刀であったように、今まさに作り続けられている新作刀のなかにも未来の国宝・重要文化財となる作品があるかもしれません。

本展は、国内最大の現代刀匠たちの団体である全日本刀匠会が設立されてから50年を迎える節目を記念し、1000年を経て現代へとバトンが受け継がれる日本刀の世界をご紹介します。』(大阪歴史博物館HPより)

関連行事も多数あります!大阪歴史博物館:特別展:-全日本刀匠会50周年記念-日本刀1000年の軌跡
全国の現代刀匠さんの作品を中心に日本刀1000年の軌跡として約80点の作品が展示されます。
 
隅谷正峯先生の「御物 道誉一文字写」も出陳。

・太刀 銘 加賀国住正峯 於傘笠亭作之 思飛鎌倉期 漂一文字上 昭和丙午年二月

詳細は大阪歴史博物館HPをご覧ください
大阪歴史博物館:特別展:-全日本刀匠会50周年記念-日本刀1000年の軌跡



偽鞘書

以前拝見したり研磨した刀でその後重刀指定を受けた数口。
流れ流れて偶然再会すると、当時は無かった鞘書がある事に気付きました。
初見時既に故人の著名な人物の鞘書きが重刀指定後に書かれており、100%偽鞘書という事になります。
こういう事はやめた方がいいです。ただでさえ混沌としているというのに。
ヤフオクの品じゃあるまいし。

新聞報道  | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区




野尻にて

帰郷につき、上平主税の墓所を探してきました。

この集落の上方の山中にあるはず。(マウスをドラッグすると360度見られます)
畑仕事をされていた方にたずねると親切に色々教えて下さり。「中井庄五郎さんのお墓はあるが・・・」と、地元でも上平主税の事を知る人は減っている様でした。

しばらく上って行くと、既に墓じまいをした場所や荒れたお墓が沢山。

そして姿は見えないのですが、山中のかなり近い距離に確実に何かが居て、かなりの恐怖。
少し前に”ぼぎわん”の小説を読んだばかりだったので、だいぶまずい状況です。
あ、近くに居る何かは”ぼぎわん”の類ではなくて、大型動物ですが。
近年紀伊山地の南部でも熊の出没が非常に多いそうです。

中井庄五郎(正五郎)さんのお墓がありました。
おそらく地元の人ではないと思いますが、どなたかが坂本龍馬の盃を置いてくれていました。

さらに少し上った場所に上平主税の墓石。
「玉置神社□□上平主税霊」
玉置神社”祠官”でしょうか。読みたかったのですが、触るわけにも行かず。



最近の

最近のお仕事で記録していた物を幾つか。(押形採拓だけの物も一点)

鎌倉末期刀、重ねが大変厚く鉄味のよい茎。


良刀。魅力的な地鉄は働き豊富になる。



鎌倉前期太刀。小錵。


鎌倉末期生ぶ茎太刀。


焼きの高い丁子太刀。


少々複雑な働きの刀。


激しい帽子。



色々拝見

生ぶ茎在銘の来国俊。古い研ぎのまま新たに発見されたもの。二尺六寸。茎の反りもそのままで大変貴重。
国行太刀。来。茎の保存状態が最良で銘字鮮明。この期の太刀は重厚感が凄い。
備前国長船住左近将監長光□、正安年紀の小太刀。二代長光でしょう。非常に詰んだ地鉄。
大磨上げの左文字。帽子はそのもの。地鉄強く良質。一見すると新刀の様に見えますが、左文字系など南北朝の良質な作品は新刀の様に見える物があります。以前光徳象嵌の名物の左文字を研磨しましたが、新刀かと思う様な出来でした。あの出来が正しいのだと思います。
某国鎌倉末期生ぶ茎二字在銘太刀。よく詰み美しい地鉄。直調に小互の目小丁子。淡く焼き出し映り。純然たる直刃のイメージの人ですが、たまにこういうのがある。以前この派の重美で同様の物を見て出来の良さに驚いた事があって。しかし入札鑑定だと当たる気がしないです。
鎌倉初期生ぶ茎在銘太刀。完璧。よく眠っていたものだ。
振袖茎の短刀。先つまむ。ほぼ無反り(若干S字)。凄い出来だが誰なのか悩む。
大磨上げ無銘4口。了戒、南北朝法華、延寿、古金剛兵衛、この辺りが当てはまるでしょうか。古い直刃は面白いです。