播磨國住高見國一作之

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脇差、銘 播磨國住高見國一作之
守護順真 皇紀二千六百七十七年 鶯鳴
彫物 夫婦龍
梵字(八大龍王真言)

39回目は新作刀、兵庫県の高見國一刀匠の作品です。(研磨は私ではありませんが、以前押形を採らせて頂きました)
身幅広め、重ね厚く、中鋒延びる造り込み。地は映り立ち、焼き頭の高低を抑え、刃中の働きが豊富な刃が焼かれています。
拭いの研磨力に頼らず本来の鉄色を生かした上品な研磨もあいまって、古作の助真や長重などを想起させる作品です。
彫物は装剣金工木下宗憲師。表に夫婦龍、裏に八大龍王真言を配し、「日本刀文化振興協会主催 第10回新作日本刀研磨外装刀職技術展覧会」の刀身彫刻部門に於いて、特賞の”公益財団法人日本刀文化振興協会会長賞”を受賞されています。

押形の採拓で特に時間がかかるのが刀身彫刻です。
彫刻の上から全体をザっと擦って写した押形も沢山ありますが、あまり雑だと美しくありません。
何より、彫師が精魂込めて彫り上げた彫物、一本でも多くの線を擦り出す事を意識して採拓を行います。
当初「八大龍王真言」は時間をかけて梵字の線だけを擦り出す採拓を行いました。
しかし彫りの力強さが押形に表れていないと感じ、彫りの外にも範囲を少し広めて擦り、また縁の線も太く仕上げました。
結果彫の力強さも伝わる押形になったのではないかと思っています。