吉野山人國平之

脇差、銘 吉野山人國平之
     平成聖代結ふ

40回目。河内國平先生の作品です。
2018年、本能寺大賓殿宝物館で開催の展覧会。一番奥の展示ケース右端で、ひときわ目を引く寸延がありました。
展覧会後もずっと気になっておりましたが御持ち主様よりお借りする機会があり、その時採拓させて頂いた押形です。
幅広の造り込みに放胆な刃文。一見無造作ですが、押形を描く事でその繊細さに気付く事が出来ました。



同じ工人

昨日のブログ、昨年拝見の太刀と一昨日拝見の太刀。
鎺下平地の研師のサインですが、問い合わせてお教え頂きましたら、やはり同じ人でした。明治の名人研師の弟子。
昨日は「関心が薄いのか」などと、まるで他人事の様に書いてしまいましたが実際私も関心がある様で無かったと反省です。
鎺に関しては、珍しい物や鉄鎺などはなるべく写真に残すようにはしていますが、鎺元の研師のサインはほぼ撮って来ませんでした。今まで一体何口見て来たか…。そこそこの数だと思います。
中には江戸時代の元号も有りました。しかも刃取り研ぎをしていて。もう大分まえ、多分20年弱になるのでしょうか。そして普通に研ぎ直してしまいました…。錆身なので仕方ないのですが、これなどは絶対に写真記録に残すべきだったと大後悔です。
反省しております。



研師の

先日某所にて国宝、重文、重美等を30口ほど拝見。重文太刀の平地鎺下に研師の明治年紀のサインを発見。ただ残念ながら鎺のスレで肝心の名前が読めず。研師の名前や屋号を入れた物は度々見かけるが、通常は鎬地の化粧磨きの部分に入れている。
しかし昨年別の某所にて国宝と重文のお手入れを行った時、某国宝にも同じく平地鎺下に明治年紀で研師のサインがあった。
ちょっと内容を忘れてしまったが、今回と同じ匂いを感じるので問い合わせて確認したい。
平地に入るサインは光の関係や、地肌に紛れるなどし、かなり細かく見る人でなければ案外気付き難く、見落とされる。そのためか或いはそもそも関心が薄いのか、例えば図録などにその様な記録を見る事は無い。



「悠久の美・日本刀展ー近畿で活躍する刀匠たちー」「美術日本刀展 ー紀州刀工を中心としてー」

和歌山県の九度山・真田ミュージアムにて下記の二つの展覧会が開催されます。

全日本刀匠会近畿地方支部展 「悠久の美・日本刀展ー近畿で活躍する刀匠たちー」
日本美術刀剣保存協会和歌山県支部展 「美術日本刀展 ー紀州刀工を中心としてー」

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「悠久の美・日本刀展ー近畿で活躍する刀匠たちー」 令和2年7月29~8月30日
「美術日本刀展 ー紀州刀工を中心としてー」       令和2年9月2日~10月4日

新聞報道
九度山・真田ミュージアム
日本美術刀剣保存協会和歌山県支部



「悠久の美・日本刀展ー近畿で活躍する刀匠たちー」「美術日本刀展 ー紀州刀工を中心としてー」

和歌山県の九度山・真田ミュージアムにて下記の二つの展覧会が開催されます。

全日本刀匠会近畿地方支部展 「悠久の美・日本刀展ー近畿で活躍する刀匠たちー」
日本美術刀剣保存協会和歌山県支部展 「美術日本刀展 ー紀州刀工を中心としてー」

EdkVEVXUwAAubSF

「悠久の美・日本刀展ー近畿で活躍する刀匠たちー」 令和2年7月29~8月30日
「美術日本刀展 ー紀州刀工を中心としてー」     令和2年9月2日~10月4日

新聞報道
九度山・真田ミュージアム
日本美術刀剣保存協会和歌山県支部



播磨國住高見國一作之

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脇差、銘 播磨國住高見國一作之
守護順真 皇紀二千六百七十七年 鶯鳴
彫物 夫婦龍
梵字(八大龍王真言)

39回目は新作刀、兵庫県の高見國一刀匠の作品です。(研磨は私ではありませんが、以前押形を採らせて頂きました)
身幅広め、重ね厚く、中鋒延びる造り込み。地は映り立ち、焼き頭の高低を抑え、刃中の働きが豊富な刃が焼かれています。
拭いの研磨力に頼らず本来の鉄色を生かした上品な研磨もあいまって、古作の助真や長重などを想起させる作品です。
彫物は装剣金工木下宗憲師。表に夫婦龍、裏に八大龍王真言を配し、「日本刀文化振興協会主催 第10回新作日本刀研磨外装刀職技術展覧会」の刀身彫刻部門に於いて、特賞の”公益財団法人日本刀文化振興協会会長賞”を受賞されています。

押形の採拓で特に時間がかかるのが刀身彫刻です。
彫刻の上から全体をザっと擦って写した押形も沢山ありますが、あまり雑だと美しくありません。
何より、彫師が精魂込めて彫り上げた彫物、一本でも多くの線を擦り出す事を意識して採拓を行います。
当初「八大龍王真言」は時間をかけて梵字の線だけを擦り出す採拓を行いました。
しかし彫りの力強さが押形に表れていないと感じ、彫りの外にも範囲を少し広めて擦り、また縁の線も太く仕上げました。
結果彫の力強さも伝わる押形になったのではないかと思っています。



来国光

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太刀、銘 来国光(公益財団法人 黒川古文化研究所蔵)

38回目です。
この太刀は享保名物の鳥飼来国次とともに黒川古文化研究所に寄贈された刀剣類の一つです。
磨上げて茎尻に来国光の三字銘。身幅広く、重ね厚く、平肉豊かに残る頑健な太刀で、押形の帽子の深さからもその様が窺えると思います。
よく詰みながらも部分的な肌立ちを見せ、各所に錵映りが立つ来派特有の地鉄です。
総体に焼き幅広めの刃となり、下半の丁子は二字国俊を思わせます。

公益財団法人 黒川古文化研究所



貞真(古一文字)

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太刀、銘 貞真(古一文字 / 公益財団法人 黒川古文化研究所蔵)

37回目です。
この太刀は享保名物の鳥飼来国次とともに黒川古文化研究所に寄贈された刀剣類の一つです。
福岡一文字の中でも特に古い鎌倉時代初期に活躍したこの派の鍛冶を「古一文字」と称し、則宗、助宗、尚宗、宗吉、貞真ら多くの著名工を輩出しています。
貞真はこの期の太刀としては異例に鋒が延びごころとなり、また古一文字諸工と比べ、映りが目立たない事が特徴とされています。
本作は地鉄の中から現れる映り気が若干見られるものの、元来は映りの目立たぬタイプの地鉄であり、また鋒も延びごころとなるなど、貞真の特徴が顕著な作品です。

公益財団法人 黒川古文化研究所