近況

只々研磨の毎日で特別な事は無いが、少しめずらしい御刀を拝見。
国分寺助國。 
今まで二振りだけ研磨させて頂いた事があり、かなり好きな作風。
一振りしか見た事が無ければ「なんだろか?」と分からない刀だが、二振り目以降は「国分寺助國」と個銘が出て来る、そう言う特長がある。
了久信。
大磨上無銘。了戒子。 在銘を見る事はめったに無いと思う。 
筑紫との差が難しい。
新作脇指下地。
ひたすら時間を掛けてしまう。 気持ちが入りやすいので。
新作刀仕上げ。
試行錯誤の連続。 研磨には必ず複数の方向性があるが、古作よりも新作の方が幅は広い。(と思う)
作者の好み、購買層の好み、研師の好み・・・。 選択肢は非常に多い。
”答えは一つ”と言い切る研師も多いとは思うが私はそのタイプではない。
末古刀美濃物平身仕上げ。
たいへん眠い。 匂い口の絞まる出来で染みなどは無く、焼き入れ時はしっかり刃が入った物と思うが末物でこういう品によく出会う。 後に火にかかったとも思えない。 焼きなましを強めに行った結果であろうが、これは意図的なのか・・?  ガサガサの地では無い物にこの手が多く、単に数打ちだからと言う訳では無いと思う。
やはり刃こぼれや折損を嫌う傾向が強かったのか。
大磨上無銘下地から内曇り。
普通に末古刀かと言う事で進んだが、細名倉~内曇で石堂風に。
曇りを引き上げると、さらに三百年以上時代が上がったかも知れない。
新々刀、頭の丸い三本杉刃取り。 この手の鉄にしてはやけに艶の乗りが良い。
当初無地風かと思っていたが全く違い大板目流れる出来で、地の晴れ具合も良好。
晴れる鉄は仕上げ工程全てが順調に進む。
新刀三本杉。 地錵が付かないので難しい。 
こういう場合研師は研磨により色々な物を補おうと努力するが、同時に限界も感じる。
新作短刀下地。 鍛冶押しの意識が高い新作は仕上がりまで刀匠主導となる。(と思う)



京都 刀剣入札鑑定会

一号  太刀
これは二尺五寸を優に超えるでしょう。 反りも大変深い。(刃長 二尺六寸七分 反り 一寸三分二厘)
匂い口沈みごころで広めの直刃調。 刃中は大変よく働く。
地鉄は詰んで整う。 全体に極淡く映る。
物打に大きな刃こぼれ2箇所。
姿や刃のバランスは来国行ですが、諸条件が揃わない。
多分12年ほど前ですが、そっくりな刃こぼれの在銘を見たのでこれに。
 青江守次と入札。
二号  刀 
乱れ刃。 肥前。
この異風さは忠国に行きたいが、この人にも有りですよねぇ・・。
 肥行廣と入札。
三号  脇指
菖蒲造り。 尺二寸ほど。 先にも反りが有る。 
藤島風の互の目を間を詰めて焼く。 少し肌立つも質が良い地鉄に、淡く乱れ映り。
よい脇差だと思います。 どこかで見た気がするが思い出せない。 本で見たのか?
若干異風さを感じるが垢抜けた雰囲気も持っていると思う。
 長船幸光と入札。
四号、五号 両刃短刀
四号  極小さい。かなり細身で重ねは厚い。 6寸以下か。 匂い口締り、皆焼風。 詰む鉄。 備前では無い。
五号  小さめ。 重ね薄。 フクラ先張って丸い。 末備前風の地刃。 しかし備前では無いでしょう。
出題者さんは、ちょっと珍しい御品を好まれる事を知っていますので、色々考える。
確か以前も鞍馬関の脇指を出題された事がありました。
 四、五号ともに、鞍馬関吉次と入札。
 同然
 同然
 イヤ
 イヤ
 イヤ
三号、正直備前意外思い浮かばないんですが・・。 どこで見たのかも思い出せず。
 手掻包真と入札。
四、五号 まいりましたな・・・。  
五号の姿は書籍で度々見ますが今日は全く思い出せない。  
四号に至っては今まで一切見た事がありません。
まず四号、兼栄(かねひで)ってちょっと変わった物を造っていませんでしたっけ?!  兼栄と入札。
五号は力尽き、ノサダに入札。
 同然
 同然
 イヤ
 同然
 イヤ
三号は最後まで思い出せませんが、かっこいい刀です。  兼定と入札。
五号は既に力尽きておりますが、古水田と入札。
 同然
 同然
 イヤ
 同然
 イヤ
 一号 太刀 恒次(左近将監 備前) 特別重要刀剣
 
 二号 刀   肥前住播磨守藤原忠國
 三号 脇指 石州出羽貞綱作     重要刀剣
 四号 短刀 濃州関住兼助作  天正八年八月日 所持銘
 五号 短刀 相州住正廣
一号の左近将監恒次は全くウブの状態を残す貴重な御品です。
名物「数珠丸恒次」として著名な重要文化財の太刀、ながらく古青江とされて来たのですが、本日の出題刀と同じ備前の左近将監恒次の作と言う事が判明しています。 (この御太刀、少し前に色々と資料を調べて居た品で、まさか鑑定刀として出会うとは思っておりませんでした。)
三号出羽(いづわ)貞綱、重刀図譜で何度も見た刀でした。  押形よりも断然良い!

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加筆する

6、7年ほど前描いて放置状態だった全身押形に加筆する。
とりあえずある程度工程は済んでいたが、失敗箇所もあり中途半端な仕上りであったので。
気持ちもすっきりしたし、充実した時間を過ごせた。
楽しみにしていた本でも読もう。



山本覚馬

八重の桜の巡回展示が始まっているようですが、展示目録を見ますと研磨させて頂いた大長刀直しは「伝山本覚馬所用」となっており、八重の佩刀というのは間違いのようです。
あまりに長大で正直違和感もあったのですが、覚馬所用ならば素直にうなずけます。
2014 7/12追記後に山本覚馬佩刀ではない事が判明



伏見にて

三条京阪のすぐ東、「伏見」と言う居酒屋。
正直、見た目はかなりみすぼらしいのですが、京都ではちょっと名の知れたお店です。
毎年恒例となりつつある京都刀剣まつり後の刀職飲み会。
まだ明るい時間、お店はガラガラかと勝手な見込みで行ったのですが、すでにカウンターはすし詰めです。
狭い店内、予約した二階席へお客を掻き分けながら上がりました。

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で、すぐにこの状態。 (高見刀匠、研師の井上聡さん、貞豊刀匠、私、明珍刀匠)
あっと言う間に出来上がってしまい、伏見の途中からと二件目はほぼ記憶に無しです。
いつも色々と意味不明な事を言ってすみません。 何にも覚えていないのでお許しを・・。



万や

国の登録有形文化財となっている、前々京都支部長、故生谷敬之助先生の御宅「生谷家住宅主屋」が、この度改修工事を終え、「万や(よろずや)」としてOPEN! っと言う記事を新聞で見ましたので行ってきました。(一般公開は今月10日まで)
室町通鞍馬口下ル、私の所から車で15分ほどでしょうか。 地下鉄烏丸線、鞍馬口駅から徒歩3分ほどの所です。

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新聞報道にもありましたが、「茶道やいけばななどの文化サロンとして貸し出し、地域の交流の場にしたい」との事。
現在管理しておられるご遺族は生谷先生の御尊意でもあった「刀剣関連の集まり」にも是非お使い下さいと言っておられました。

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一階和室

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二階和室

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新聞報道の直後とあって、多数の来場者がありました。

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重厚な造りの京町屋に現代の風味も加えた素敵な空間となっておりました。



第17回 京都刀剣まつり

京都刀剣まつりですよ!
毎年恒例で、5月の連休中に多くの刀屋さんが京都に集います。
今年は5月2日、3日、4日です。
出店リスト等詳しくは京都刀剣まつり実行委員会HPをご覧下さい。
全日本刀匠会近畿地方支部ブースもあります。
刀匠が製作したレアな小物が多数出ると思いますよ!



砥石の

本日は、石原砥石工業所のご主人と奥様にお越しいただきました。

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世界中の日本刀研師のほぼ全てが石原さんの内曇砥を使用している、或いは使用した事があるでしょう。
私も石原さんに採掘して頂いた砥石を何百キロ持っているか分かりません。
本日は、研師にとっては本当に魅力一杯のお話をお聞きする事が出来ました。
今後の展開を期待しております!!
その後、大阪へ。
御刀をお納めし、その後奈良へ。
これは昔から思っていたのですが、切っ先の下地の精度をもう一段上げたい。
道具立てはよいと思うので、切っ先下地の考え方と光りの取り方です。
おそらく私とは別の光りで見ていると思われる奈良の研師さんの所に教えて頂きに行きました。
やはり別の光りでした。 
切っ先の下地だけでも、砥石の順序や当てる場所の順序、何を一番意識するかなど、研師同士にしか分からない事が大量にあります。
私とは全く別の光りを基準にして見事な切っ先を形成する研師の言葉とは本当に未知のもの。
今までの下地に今日教わった事を加味出来れば素晴らしい。



平成25年4月 京都刀剣入札鑑定

例会にて。
五号 刀
 
 銘を聞いてしまいました。
 
 古一文字と入札。
四号 短刀
 備前短刀。 そこそこ反る。 片落ち互の目。 映って流れる。
 南北の短刀です。 流れて少し肌立ちますので元重を思いますが、こう言う反りの元重ってあったかなぁ。。
 姿は兼光だと思うが。
 元重と入札。
三号 脇指
 表切刃、裏平。 
 これはわりと最近出たものだ。
 親国貞と入札。
二号 刀
 三号脇指そっくりな出来。 
 しかし帽子が浅いので変えたくなってしまう。
 刃の特長から播磨守忠国と入札。
一号 短刀
 良短刀。  冴える刃。 先で焼き幅広がる。
 当麻と入札。
 一号 通り
 二号 イヤ
 三号 当り
 四号 準当り
 五号 準当り
一号はこれかな。 粟田口吉光と入札。
二号、この人の作品には播磨守忠國と入札してしまう悪い癖が有るようだ。 親国貞と入札。
 一号 当り
 二号 当り
 三号 当り
 四号 準当り
 五号 準当り
一号 短刀 吉光(藤四郎)
二号 刀  親国貞
三号 脇指 親国貞
四号 短刀 備州長船光重 貞治四年三月日
五号 太刀 助包
どうやら親國貞を見ると播磨守忠國に見えてしまう悪い癖が有るようで、この三号脇指が以前出た時はこれに忠國と入れてしまっておりました。 そして今回はそれそっくりな出来の二号に忠國と入れてしまった。
以前の記事
四号は以前元重が出た時の事を思い出しながら今回も考えました。
先ほど確認しましたら、やはり元重に今日の短刀の様な姿は少ないようだ。
以前の元重の事
以前の鑑定刀元重

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また

またテレビのお話ですが…
八重の桜。西郷と大久保、薩摩拵でしたねぇ。
「おぉぉ」っと声が出てしまいました。 二人とも小鐔でカツコイイ拵えです(^^)
薩長同盟をとりなした幕末のヒーローも、視点を変えれば「土佐脱藩浪士」と一言でかたずけられます。
あれこれ気にせず普通に生きろと言う事ですね。
しかし、多分全く出てこないだろうと予想していたのですが、それではファンが黙って居ないという事ですか(^^)
映像にも映っていましたが、ミニエー銃の弾丸は大きいですねぇ。 度々実物を見ますがあんな物が当たったら大変な銃創になるんじゃなかろうか…。 戦場とはある意味今も昔も変わらないのかもしれませんね。