タイトルなし

長期間家から一歩も外に出なかったり、数日間一切誰とも話さなかったり、こう言う事は頻繁に有ります。
そんな私ですが今月は沢山移動した。
今まで様々な業種の大勢の人から「しゃべりにくい」と言われた経験がありますが、これはもう仕方ないです。
出来ればなおしたいのですが、そう言う才能はないのです。 残念。
研修で宮入小左衛門行平先生の鍛刀場へ。

画像

場内の空気を携帯写真で表現するのは無理ですが、なんなんでしょうかこの空気感は・・・。
私の知る範囲で言うと古刹。
しかし、ただの観光地となった古刹じゃないです。
私には火と闇と音と匂いと人と、そのくらいしか書き出せませんがそんな浅いものではありません。
 



今日も天然仕上砥

天然砥石とは誠に不思議なものです。
ずっと信じて来た事など簡単に覆してくれます。
「硬い石の面を丸くし、肌を引き出す」という様な誰でも行った事が有る基本的研磨法について、「考えを180度変えろ」と”砥石”に言われた場合、大変困る。
「軟らかい質の石を完全に平らな砥面で引くのじゃバカ者!」って。
「はいはいすみませんねぇ」と従うしか無いですね。 
何せ数億年掛けて完成した大先輩なのですから。
天然砥様に抵抗しようなんてぇのが間違いで、こちらが合わせるしかないんですね。
刀鍛冶の作った難しい物に、これまた難しい砥石を合わせてあげるには、かなり柔軟な考えが必要です。



天然砥石

昨日は天然砥石屋さんへ。
まだ”おそらく”の段階ですが、大きな成果が得られる予感です。
ひたすら天然砥と向き合い頑張っているのだから、たまにはガッツリした成果もあってくれ。



兵部

研場にて「九州肥後同田貫兵部」を拝見。
かなり以前研磨させて頂いた御刀ですが久しぶりの再会です。
古金具を使用した現代作の肥後拵えに入っています。
故人ですが名人と言われる鞘師の手によるもので、それはそれは見事なもの。
兵部。 かっこいい名前です。
長さは尋常。 
しかし記憶に有った、反り、身幅、重ね、重量、全てを大きく上回っておりました。
特に反りなどは、本流と明らかに外れますが、なんなんでしょうかこの魅力は。
この時代の物と言う先入観から来るのか・・?
例えば新作刀のコンクールなどでは「姿が悪い」と酷評されるでしょう。
この兵部などは柔軟な思考を持たなければ見られない刀なのですかねぇ。
柔軟な思考とは色々と贔屓目に見る事にもなりますな。
価値観は多様です。 
芯が通っていれば良いと簡単に言いますが、本当にそれで良いのでしょうか。
価値観は多様ですな。



京都文化博物館にて

2013年NHK大河ドラマ 特別展 八重の桜」が京都文化博物館にて開催中です。
会期は「2013年 7月13日(土)-9月1日(日)」。
刀の世界に身を置いていると室町時代の事でも「新しい」「若い」などと表現しますので、幕末~明治の展示を見ると本当に極最近の事に感じ、ひたすらリアル。
研磨させて頂いた伝山本覚馬所用薙刀直し刀も展示されております。
2014年7月12日追記 後に山本覚馬佩刀では無い事が判明



古刀装具

本日は研場にて、鎌倉鐔(室町期)、平安城、尾張等の名品を拝見。
刀装具の勉強を疎かにして来た私にもわかるこの魅力。
刀装具は刀と違って良い物を見ると欲しくなる。
先日は古金具を使用した現代の拵を拝見。
その後刀屋さんで古い拵入りの刀を拝見しましたが、鐔鳴りのするガタガタの拵よりも、古金具を使用した現代の拵が好みです。
切羽もシトドメも傷んだ物より現代の上手な白銀師の作ったバシッとした物が好き。
そう言う拵は手にした瞬間全く違った感触がある。



吉岡一文字をみるがごとし

尚光ですが、薫山先生の調書が残っている事がわかりました。
「吉岡一文字をみるがごとし」とありました。
応永の有名刀工の下で力を尽くした人だったのでしょう。
名工です。
こういう刀工の作品を探すのも楽しいですね。
今夜もずっと押形。 自分の描けなさに疲れ果てたわ。



利光・尚光

両刀再び拝見。
利光は何度目であろうか。
今回は、初めて鞘を掃った時を思い出した。
毎回思うのだが素晴らしい差込研ぎ(古研ぎではない)。 
拝見する度に前回よりも刀の良さと研ぎの良さが増して見える(手入れにより良くなっていると言う事では無い)。
どう考えても今の私ではこの研ぎは出来ない。
尚光。 美しい地鉄。 キラキラしている。 地錵と地景が繊細に働く。
先日購入した中央刀剣会の土屋押形所載の品であった。
温直さんも手に取って見たのか、これを・・・。
盛光みたいだと書いてある。 
これくらい出来た盛光を探すのも大変だ。
土日は押形。

画像

濃過ぎ。 しかし今回はやっと墨を掴んだかも知れない。