近況

1月2月頃に「年内」と言うと、まだあと1年有ると余裕に思ってしまいますが、年内などと言うものはあっと言う間に終わっちゃいますね。
人間、平等なのは24時間と言う時間だけなんてよく言いますがあんなもんはウソですので頑張って働いております。
そんな時間の欲しい時に限って我慢出来ない病が湧いて来てしまいました。
仕事場が狭い!→増改築したい→大変=模様替え
時間が無くて苦しんで居る時になんで?!っと嫁さんに怒られる事必至ですが、これを達成した方が絶対効率が上がると思いましたので、数時間で一気に済ませました。
家具が増えたのですが、それを感じさせないどころか以前よりも大幅に広くなりました。
多くの無駄が有ったのですね。  細かい所は徐々に整えるとして、とりあえず気に入りました。
これで仕事効率も上がるでしょう。 (嫁さんも綺麗やん広いやん!っと言ってくれました(^^)。 二階ではなんだか長い間ごとごと音がしてたのですが、息子も触発されて模様替えをしてたみたいです。箪笥とかが移動してて驚きました。おかげで畳はボロボロになってましたが。面白いですねぇ子供って(^^))



慶喜・大政奉還・その時

龍馬伝、なかなか見られませんでしたがようやく追いつきました。
次回が最終回なのですね。
ついに大政奉還となりました。
だいぶ前ですが、京都支部鑑定で「徳川慶喜二条城にて。大政奉還の折、腰に有ったのがこの刀」と言う解説が有った事を思い出しました。
それは粟田口国定の重要美術品でありました。 
小中学生の時、教科書に有ったあの絵のあの刀がこれか・・と感慨深くなった事を思い出します。
「大政奉還図」 邨田丹陵 筆(wikipedia)
入札鑑定用紙を探したら出てまいりました。

画像

一の札は「アヤノコウジサダトシ」と入札しています(多分漢字が出てこずカタカナで書いたんだと思います。最初は経家と書きかけて消しています)。
”あの時のあの刀”を、”この刀”として手にとって見る事が出来るのは龍馬達のおかげと言う事か・・。



細かい仕事で

これから数日間非常に細かい仕事が続く。
目が見えなくなってきたので休憩してパソコンを開いたらもっと見えない。
やめよう。



御刀拝見

本日は、個銘の一文字、兼光、長谷部、信国、兼房、大磨上無銘、十文字槍を拝見。
大変勉強になりました。 ありがとうございました。



無題

私、英単語は一つ覚えるのに何日も掛かり、イディオムに至っては記憶不能に近いのですが、刀の銘や一度拝見した御刀はなぜだか結構細部まで長期間頭の中に残っていてくれます。
そんな私なのですが、今日拝見した二振りの銘は忘れてしまいました・・・・。
そんな私でも聞いた事の無いような所謂マイナー刀工だったわけなのですが(多分新刀の元文・寛保・延享・寛延の頃の作刀で、刀の需要が少なかった時代と言われ、この辺りの年紀が入った刀はめったに見ません)、かなりすっきりとしたものでした。
先日のブログの内容を見なおしたら、かなり言葉足らずで間違いに近い内容になってしまっている事に気が付きました。
データをあげたうえで、「一点だけを見て鑑定をして行くと、けっこうな確立でハズレます・・・。」と書いていますが、このデータだけで見ると「結構な確立で当ります」の方が正しい事になってしまいます・・・。
詳しく書いて行くと、かなりややこしくなるので大雑把に書いた結果こんな感じになってしまっていましたが、ちょっと追記します。
・まず、このデータは重刀図譜をざーっと見た結果です。
・そして、各一文字、在銘・無銘問わず合算しています。(平身、薙刀直しは除いています)
・表裏違う帽子もありますが、ざーっと見ただけですのでその瞬間のフィーリングで数字にしました(笑)
・横手より僅かに乱れ込んだ物でも、その上が直ぐに丸ならば数に入れた物もあります(横手の位置は後世に移動 して居る場合が多く、本来の正確な位置は押形だけでは容易には分かりません)。
・僅かな湾れは数に入れた物もあります。
・現物と重刀図譜の押形が色んな意味で必ずしも同じ状態とは限りません。
・一文字でも直刃や直刃調も有りますが、その場合の直ぐ丸帽子も数に入れています。
だいたいこんな所ですが、データに関してはこんな感じです。
で、入札鑑定時にですが例えば全くの初心者の方で、「とりあえず丁子乱れである事は分かるが刀工名どころか時代などもさっぱり見当が付かない」と言う状態だとすると、「直ぐ丸帽子=石堂、乱れ込む=一文字」と言う事で入札をすると、運悪く多々良長幸と言う事が無い限り、結構な確立で当ると言う事ですね(^^)
しかしもうすこし判断が出来る状態になりますと、丁子や丁子混じりの刃、映りが有る、そして鎬に柾気も感じるが完全では無い。 匂い口もふんわり柔らか、しかし手持ちが重い・・・。 
石堂か、それとも一文字か。 「当り」か「時代違いイヤ」か(^^) で迷う事が出て来ると思います。
その時、一応古い一文字には見えるけれど、「帽子が直ぐ丸なので石堂」としてしまうと、後悔の入札になってしまうかもしれません。 これが先日書いた、「一点だけを見て鑑定をして行くと、けっこうな確立でハズレます・・・。」です。
そしてもう少し沢山見て慣れてきますと一応石堂と一文字の見分けは容易になって来るのだと思います。
そしてまた全く減っていない一文字を見てしまい、石堂との区別に自信が無くなったりと・・・。
いやはや刀は沢山あるものですね。



近況

某日 研ぎ場にて、新刀下原を拝見。
クリスピークリームドーナツを買う。 私には甘すぎて食べられず。
某日 研ぎ場にて、現代刀おそらく造り短刀拝見。
某日 研ぎ場にて、金房年紀入り長刀拝見。
某日 研ぎ場にて、越前新刀と津田助廣を拝見。
某日 研ぎ場にて、一干子忠綱脇指拝見。
お腹をこわし熱を出す。 研ぎ舟に座ると力が出てしっかり仕事が出来る。 しかし子守は辛く無理。
某日 研ぎ場にて、一文字を拝見。
某日 研ぎ場にて、錆身の刀を拝見。大和っ気の強い造り込み。しかしかなり乱れる。 千手院でもなさそう。大和志津か。
 
一文字は大変上手な下地。 それほど若い時代の下地でも無いと思われますが、しっかりと手をかけて研がれていました。
帽子は横手から綺麗にフクラにそって丸く返っています。
刀の入門書などに「鎌倉時代の一文字の帽子は乱れる物で、直ぐに入り丸に返る物は新刀の石堂とみるべし!」の様な事を書いた物があります。
ざーっとですが重刀図譜の押形を見てみました。
 一文字(福岡一文字含む) 256振り中、68振りが、ほぼ直ぐに入り丸く返っています。
 吉岡一文字          118振り中、22振り      〃
 古一文字            90振り中、34振り      〃
新刀の石堂では、
 江戸、対馬守常光   6振り中、1振りが直ぐに丸。
 江戸、日置光平     8振り中、5振りが直ぐに丸。
 紀州、橘康広      2振り中、2振りが直ぐに丸。
 福岡、守次       10振り中、2振りが直ぐに丸。
 福岡、是次、      5振り全てが乱れこむ。
 大阪、多々良長幸  11振り全てが乱れこむ。
一点だけを見て鑑定をして行くと、けっこうな確立でハズレます・・・。
 



林原美術館へ

少し前に「今、林原の展示は凄い!」っとお教え頂きまして凄く凄く、凄く凄く興味が有りました。
そしてこの度、いつも大変お世話になっている方よりお誘いを頂き、連れて行って頂きました!
本当に遠い道のりをありがとうございました。
林原美術館にて、「平成22年10月3日(日)~11月23日(火)」まで、「林原美術館の国宝と重要文化財」を開催しております。
展示は国宝と重文です。
展示数は17振りと多くは無いのですが、一日で見る様なレベルではないと思います。
一週間毎日通っても足りないんでしょうね。
備前物が中心なのですが、好みは大きく分かれると思います。
古備前。一文字。長船。古青江。古三原。正宗と言う感じで。
あと何日か見ないとわかりませんが、今日の時点では重文の古備前正恒の小太刀と、重文の古青江正恒の太刀が好きでした。
茎に関しては備前国長船住左近将監長光造の国宝じゃない方、正応年紀で重文太刀の鮮明な銘が好きです。
そしてまたあらためて相州の極め物に興味を惹かれ、「九鬼正宗」をもうあと35cm近づいてゆっくり見てみたいと思いました。
 多分続きはまた。



平成22年10月17日 刀剣入札鑑定会

 一号 短刀
七寸五分ほどか。 重ね薄めで三つ棟。
腰で少し反り、一番先でうつむく。
刃寄りを残しほぼ全面に映る(光りは弱い)。
匂い出来の中直刃。 フクラで半分以下に細くなり、帽子で戻る。 結果姿は枯れる
軽く尖りかげんの帽子。 二重刃風に沸え付く。
 左か来か迷う。  映りを沸え映りと言う事にして、来国光と入札。
 
 二号 短刀
八寸ほどか。 重ね薄めで三つ棟。
僅かに反る。
地沸えが付いて地景も見える。 杢有り。
小沸え出来の細直刃。 腰辺りからフクラまで淡く二重刃。
帽子丸く、返りは固く止まる。
表裏に護摩箸。
白鞘の柄振る。
 粟田口国吉と入札。
 三号 太刀
踏ん張り無く細身。  磨上げて茎尻に銘か。
全身に異様なほど鮮明な乱れ映り。 鎬地にまでもはっきりと現れる。
直刃調で、刃中丁子など大変良く働くも、かなり沈む刃。 ハバキ元と横手付近は細くなり、元は若干潤む。
直ぐに少したるみ加減に浅く返る帽子。
 出来から古一文字と思う。 諸所の特徴から、3年前の佐野美術館での一文字展で見たあの太刀ではなかろうか・・。    古一文字宗吉と入札。
 四号 刀(太刀かも。ハバキは太刀ハバキ)
少し長め。 二尺四寸ほどか。 
腰より僅か上辺りは強めで先は浅い反り。いささか整わないのではと感じる。
板目。 
細目の直刃で足がよく入る。
帽子少し一文字風に大丸。
樋、草の倶利伽羅、梵字、蓮台などの彫り。
中ほどより先に目立たぬ棟焼き多数。 
綺麗な細直刃でこれほど棟を焼くと言う事は、反りも完全に操作しきって居るでしょうからこの反りを整わないと思うのはこの刀工に対して失礼な見方なのかも知れません・・・。
 全く深く考えるまでも無く、応永信国と入札。
 五号 刀
少し短く感じ、二尺三寸弱か。 反り浅。
中鋒延びる。 
良く詰む地鉄。
湾れ調で大変良く働き、匂い口深く明るい。
帽子こだわらず。
ハバキ上で丸く止める樋。 
 肥前忠吉初代と入札。
 おお・・今回は100点満点の予感。。
 
  イヤ
  イヤ
  当
  イヤ
  当
んん・・。 そうですかそうですか・・と言う感じです。
一号はわかりますが二号がイヤとはダメージが大きいです。
名品刀絵圖聚成20・21頁。 粟田口国吉の短刀押形を多数並べて解説している場面と今回の二号短刀が完全にリンクして、即決だったのですが。
 一号  最初の別候補、左と入札。
 二号  そうかそうか。このフクラ、この帽子、この地鉄、振った白鞘(振袖茎)。 延寿国泰と入札。
 四号  一の札は安易な自信で行ってしまいましたが、ちゃんと考えると末相州なのかその他なのかで分からなく      なりました。  匂い出来ですが良い刃なので宇多国宗と入札。
  当
  イヤ
  当
  イヤ
  当
 一の札でこう行かないとダメなのでしょうか・・・。 二号 新藤五国光。 四号 相州綱廣と入札。
  
  当
  当
  当
  当
  当
 一号 短刀  左
 
 二号 短刀  国光(新藤五)
 
 三号 太刀  宗吉(古一文字)
 四号 太刀  相州住綱廣
 五号 刀    肥前国忠吉
一号短刀は、腰で反り、先でうつむいています。
二号短刀は、全体に僅かに反っています。
昨年の佐野美術館、短刀の美 鉄の煌きを思い出しました。(見に行きませんでしたが図録を買いました)
  
  曲線の妙 「(前略)~短刀の名手三人の作品を正確に物差しにあててみる。最も肝要なのは棟の曲線で、区より中ほどにかけてわずかに反り、鋒に近いところで内反りとなる。この微妙な逆S字曲線が短刀の品位を保っている。~(後略)」
 下地研磨の時、全ての部位に対し意識を高めて行なうのですが、とりわけ短刀の棟に関しては注意を必要とします。
とは言え結局、線と面をどうするかと言うだけなのですが、目的意識(完成予想図)の違いで全く違う結果になります。
今回の一号短刀は、過去の研磨で棟角の線を重視された経緯が有り、今はこの様な状態に納まって居るのだと思います。
二号短刀は、庵の頂点を重視して来た結果(三つ棟ですが)、現在の反りを維持して居るのではないかと思います。
低い意識で短刀の下地を行なってしまうと、腰付近に反りを付けやすく(区をけったりも)、そして鋒付近を伏しごころにしてしまいます。
反りの見方一つとっても色々ありますね。

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