リンクに

窯元(有)有本製砥所」様をリンクさせて頂きました。
心情的には「あまり知られたくない感」も有るのですが(^^)、良い砥石で研磨する事は良い研ぎにつながりそしてより良い状態で刀剣を保存して行く事につながりますので。



無題

日々慌ただしく過ごしていたらもうこんなに押し迫っています。
新年は京都で過ごします。
何か美味いもんでも食いたいもんだと思い「正月はライフ(スーパー)開いてる?」と嫁さんに聞いたら開いてると言う事でした。
「美味い刺身が食べたいなぁ・・」と言いましたら瞬殺されてしまいました(-_-;
正月から酒の当て(つまみ)がイカの缶詰では人間としてダメだと思いますのでなんだかんだ言いつつもちょっとは美味いもんも食わしてくれると期待しましょう。



平成21年12月20日 京都支部入札鑑定

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今日は散々な結果でした。
しかし、やっと重大な事に気がついた日となりました。 
遅すぎですが・・。
一号  刀
 定寸ほどで反り深め。 新刀。
焼き低い湾れに始まり物打ち下付近から一気に焼き高く強く沸付く。
物打ち辺に少し簾刃状の焼きが見られます。
その部分の刃先付近に連なった小さな互の目が見えます。
ぱっと見は京丹波初代ですが、10個ほど連なる互の目が有る事により丹波は完全に除外。
これが良い教訓となりました(^^)
 綱廣と入札
二号  刀
 少し寸が詰まり二尺1、2寸か。反り浅で中切っ先伸びる~大切っ先程度。
ヒラッとする。
表裏に草の倶利伽羅(研ぎ減る)。
地はかなり詰む。
小互の目を連ね、頭の出入りは少ない。
 後で気が付きましたが完全にいつもの通りの迷走パターンでした。 全く分からなくなり、相模守則廣に入札。
三号  刀
 ちょっと寸詰まる。反り強め。先まで強い。 ハバキ上で丸止めの樋。
中直刃。 地詰まり少し映る。 帽子硬い。
 末備前でしょうが個銘まで行きません。 ちょっと初心者っぽいですが、長船清光と入札(^-^;
四号  刀
 ちょっと寸詰まる。反り強め。先まで強い。 樋と梵字。
頭の揃い気味な互の目。少し腰が開く部分有り。
研磨の影響がかなり有るようですが全身に板目が強くでる。
 出雲道永と入札。
五号  短刀
 やっと持った瞬間に茎の長さ、形、銘が見える刀です。
九寸ちょっとか。 無反り。三つ棟。
表に立ち不動。裏に鍬方、蓮台などの彫り。
典型的な越前鉄。
浅くのたれる刃。
 越前康継と入札。
 時代違いイヤ
 イヤ
 然
 吉井ニテ国入り
 当り
一号は、綱廣→水田→丹波で当り。
二号は、則廣→直秀→信秀で×
四号は、道永→祐光→師光で準同
 一号 刀  丹波守吉道(重刀)
 二号 刀  (葵紋)以南蛮鉄於武州江戸越前康継
         (金象嵌 濡紙)江陽素生後高田小左衛門尉 (康継大鑑所載)
 三号 刀  備前國住長船勝光
 四号 小太刀 備州長船自光(よりみつ) (重刀)
           □徳二年二月日 (至徳か明徳)
 五号 短刀 (葵紋)越前国康継(二代) (康継大鑑所載)
私は康継の詰んだ手の作品はいつも三本外しをやる事に気が付きました!(-_-;
寛文新刀か新々刀にしか見えなくなって来てしまうんです・・・。ダメです。
(念のために書きますが、直秀や信秀に見えたわけではなく、康継と見る目が無く、苦し紛れに入れた札です)
それより何より、今頃になってやっと気付いた事がありました。
一号の入札ですが、私のいつもの失敗パターンです。
第一印象の中に正解が有るのに、なぜだかそれを否定してしまいます。
今回は、簾刃の片鱗を見たにも関わらず、その中の連なる互の目を見た結果、「丹波に細かく長く連なる互の目を見たことが無い」と言う理由で丹波を完全に消去に持って行く。 その後無理やり刀工名を探しています。
数百万振りは有る刀を全て見る事は不可能です。
有名工の作品でも、実際拝見するのは極々一部の作品です。
と言う事は、「その作風を見た事が無いから否定する」よりも、「見つけた僅かな特徴を重視する」方がはるかに大事だと言うです。
良い所は褒めず(見つけられず)、欠点ばかりを指摘する人と同じ物の考え方でした。 深く反省(^-^;
(今回の丹波の入札については私の入札が少々低レベル過ぎて大層な事を書いている場合じゃないのですが・・。皆さん当っておられました(^^))
見たことが無い作風を完全に否定してしまう事は、思いあがりも甚だしいですね(私)。
例えば銘などについてもそうなのですが、見た経験が無い物は大量に有ります。
簡単に否定してはダメなのですね。
入札鑑定は色んな事を勉強出来ます。
今日は疲れる鑑定でした。



短刀二振り

本日は、現存少ない大和某流派の古い短刀と、備前物直刃の短刀を拝見致しました。
備前短刀は肌をかなり強調した研ぎで板目、杢目や流れる肌がはっきりと見て取れます。
先日の佐野美術館の図録「短刀の美」風に言うと、”地文に沿う様に現れる地景”が刀身全面に及び、美しく煌く。
大和の古い短刀はほぼ全ての面で典型作で有り、数少ない古い大和物として大変貴重な品です。
いずれも良き短刀でした。
白鞘入りですが、大人しく上品な拵えを掛けてあげたいなぁと思う品です(^^)
大変勉強になりました。
ありがとうございました。



やっちゃいました(-_-;

ダメと分かって居ながらもついつい・・・。
 

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こんな時間にマクドです(^-^;
タツタが出たもので(*^ー^)ノ
深夜のドライブスルー。
昼間見てると「やっていけてるのか?!」っと気になってしまう近所の居酒屋も結構賑わっている事を知りました。
独身時代をちょっとだけ懐かしみながら、ひたすら復活を願ったチキンタツタをいただきます。
美味い!
過去最高体重の60キロになってしまったと言うのにダメですね。
もうやめときます。



錆身の名刀

錆身の古名刀を拝見。
あまりに凄いので簡単な押形を取らせて頂きました。

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興奮のあまり映りをどんどん書き込んでしまい、かなり刃に近い位置まで下げてしまいましたがこれは現物とは違う状態で、本当はもう少し高い位置を中心に存在します。
つまりその状態の映りが示す時代の物です。
研師が拝見する御刀を一々欲しがってたんじゃぁ限りがありませんので所有欲はまず出ないものなのですが、久々に「手もとに置けたら素敵(*^ー^)ノ」と思ってしまう錆身でした。
いやはやまだまだ刀は眠っていますなぁ。



短刀の美 -鉄の煌き-

佐野美術館で平成21年11月28日(土)-12月23日の期間、「短刀の美 -鉄(くろがね)の煌き-」が開催されています。
図録を取り寄せました(\3150+送料\500)。(佐野美術館のHPから通販で購入出来ます)

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いきなり「煌き」が読めません・・(-_-;
辞書辞書(yahoo!)。  「きらめき」でしたかなるほど。
佐野美術館の図録は毎回値段が安くて美しい物ですね。
(「短刀の美」の横は、昨年の一文字展、一昨々年の乕徹と清麿)



幡枝八幡へ

以前、重要美術品の幡枝八幡國廣の事を少し書きましたが、家からすぐ近くですので先日久々に行ってみました。

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丘の上が幡枝八幡宮です。一緒に針神社というのもあって、針の供養など行われるそうです。

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寒い日でした。

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國廣さんが通っていた頃からあったんじゃぁなかろうか。

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上ってきました。 ちょっと温まった。

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こんな感じです。
確か社務所の横に焼き入れの井戸など有ったかと思っていたのですが、完全に記憶違いでした。
どこと間違ったのかな・・。

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椎の実を拾うのなんて20年ぶりくらいでしょうか(^^)
炒って食べようと思って持ち帰りましたが忘れてて気づいたら嫁さんに捨てられていました(^-^;

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ちょっと気持ちよいお散歩でした。
この幡枝八幡宮のすぐ近所では幕末の刀工、南海太郎朝尊(ともたか・ちょうそん)も鍛刀していました。
ちょうど、すぐ上の写真に写っている辺りじゃないでしょうか。
朝尊さんもここにお参りしていたのでしょうね。
・・あぁ、でも先日の刀美の記事によると、岸本先生が國廣を発見したのが大正15年。
もしかしたら幕末の朝尊さんは國廣の存在は知らなかったと言う可能性もありますね。
朝尊の刀は、銘を「”朝”廷を”尊”ぶ」っと言う意味に捉える事もできますので、幕末には勤皇の志士達に人気のある刀であったとも聞きます。
(私の田舎のヒーロー、中井庄五郎も二尺五、六寸は有る、勤皇刀スタイルの「朝尊」二字銘、太い朱鞘で太く長い棒柄の刀を差しています。)
福永酔剣の「京都の刀剣」に、福永先生ご自身が岩倉幡枝に来られた時の事を書かれていまして、当時95歳の老女が朝尊さんの事を覚えて居てその記憶を語ってくれたと言う内容でした。
幕末と言ってもまだそれくらいの時代なのですねぇ・・・。
特に京都は幕末からはまだ日が浅いのかも知れません。



本部へ

本日は第62回 刀剣研磨外装技術発表会の表彰式のため代々木の刀剣博物館へ行ってきました。
今年は努力賞に入賞させて頂く事が出来ました。
出品にあたり大変素晴らしい御刀を御貸し頂きまして誠にありがとうございました。
私のような者でも、御刀の力(出来)に助けられ、入賞させて頂く事が出来ました。
これに慢心する事なく、日々精進致します。 今後ともよろしくお願い申し上げます。
また、準備が整いましたら研磨記録の方にUPさせて頂きたいと思います。
毎年表彰式前に無鑑査出品ならびに入賞作を手に取り鑑賞させて頂きます。
古備前正恒、来國行、来国俊、来國光、来國次、延寿國時、信房(一文字でしょうか)などなど大変な名刀を多数拝見致しました。
研磨にばかり眼を向けておりますので、この時ばかりはあまり茎も見ずじまいで、銘はあまり覚えておりません・・・。 もったいないです。
今年は得る物が大変多い一日で、本当に勉強になりました。
っと毎年言っている私ですが、そうなんです。 毎年去年よりも得る物が多いんです。
研磨の仕事も日々色々な事が有り結構大変なわけですが、これを仕事として生きて行ける事に喜びを感じる日でした。
そしていつもの通り重刀指定展も拝観。
粟田口国安、来國行、来国光、応永信国、手掻包永、貞宗、志津、金重、古備前真恒、古備前助包、古一文字安則、一文字、長光、真守、雲生、雲重、長船光重、長義、青江吉次、左吉貞、延寿國時・・・・・・。
そのいずれにも共通している事は整った地鉄。
もしも刃文のみに興味を持たれ鑑賞されている方がおられましたら一度地鉄に目を向けてみて下さい。
そこに新たな世界が広がり、刀剣鑑賞の魅力がさらに深いものとなるはずです。