京のかたな 展示№26

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展示№26 太刀 銘 (菊紋) 一

少し肌立つも細かく地錵の付く大変上質な地鉄。区上を焼き落とし水影状に映り立ち、腰刃を見せ、その上は総体に低く焼き、刃中は金筋等豊富に働く。
焼き落とし水影風を見せる菊御作の特徴に、腰刃を焼く古一文字の作風を合わせ持つ、即ち菊御作でいう、粟田口、古青江、古一文字の3タイプ中、古一文字タイプという事になります。

本太刀は重要美術品に認定されており、重美全集では「太刀 銘 一」と表記され、鎺下に菊紋があるも解説ではそれについてふれていません。(認定時の写真に菊紋は写っていますので、後に入れた様なものではありません)
また本太刀は菊御作として協会の特別重要刀剣にも指定されています。
展示№22,23,24,25に見るように、通常の菊御作は菊紋のみを切り刀身自体は無銘です。
本太刀を菊御作とするならば菊紋に一の字を添えた他に類例を見ない貴重な資料という事になります。

「一」の銘は様々あり、この一文字にみるように斜めに切り下ろすものを斜一文字(はすいちもんじ)と呼びます。
この斜に切られた一の字は、はたして文字なのか、それとも符牒なのか未だ不明です。
しかし一の銘の中では一番古い手の物と考えられており、他には尚宗、則宗の在銘の品に斜一文字を切り付けた例があります(いずれも佩裏)。

 



京のかたな 展示№174

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展示№174 太刀 銘(菊紋)山城守藤原国清 寛永十年二月日

京都市東山区にある新日吉神宮(いまひえじんぐう)所蔵の御刀です。

国清は山城新刀の堀川国広門で後に越前に移住しています。
この御刀は押形にみるとおり、一般的な新刀と比べ大変反りが深く、九分六厘の反りです。
新刀の中では「美しい反り姿」といわれる事の多い肥前刀でさえ、平均六分程度の反りですので、この九分六厘の反りがいかに深いかが分かります。
国清は直刃を最も得意とし、本作も匂深の中直刃を焼いています。
区際に水影風の焼き出し映りを見せるなど堀川派らしさもありますが、地鉄は完全に越前風であり、反り姿と合わせ古風な出来となっています。
その事からか、以前京都支部の入札鑑定会に使用させて頂いた時は多くの札が古刀へと入れられました。
国清の作品は比較的多く残されてはおりますが年紀作は稀有であり、奉納品としての特異な姿と合わせ貴重な作品です。



京のかたな 展示№59

定利短刀
京のかたな展、展示№59 短刀 銘 定利

国宝 太刀 銘 定利の隣に展示されている短刀の定利です。
定利在銘の太刀は例えば重刀指定なら十数振り程度で、普段頻繁に拝見出来るほどの数ではありません。
定吉となると更に少なく東博の品など極わずかです。
(重文に左文字一派として指定された定吉があり銘の書体が定利風で綾小路説もあったようですが、造り込みや鑢目その他諸条件から左文字一派でよいようです)
重刀指定品の中に在銘末行が一つあり、これも綾小路一派と見られる品です。
この末行とは少し書体が異なりますが、厳島神社にも綾小路とされる在銘の末行が残されており、昔展示で拝見し二尺七寸を超えるその大きさに驚いた事を思い出します。また特保鑑定で在銘・無銘の綾小路末行を拝見する事が度々ありますが、いずれも定利と通ずる出来を見せています。

さて短刀定利、光山押形所載の品です。
この時期の短刀の現存品は粟田口派以外殆どありませんが、当時も短刀は多く造られたと考えられています。
しかしその現存率は非常に低く、今に伝わるこの短刀定利の資料性は頗る高いといえます。