全身押形を描く

IMG_8405
12月初旬に大太刀の全身押形が完成して以降、鎌倉末期太刀、南北朝期刀、鎌倉初期太刀、室町末期寸延、室町末期脇差、室町末期刀と、研磨作業を終えた深夜に全身押形を描いていました。
押形を描く事は、余計なことを何も考えずに居られる大切な時間になってきました。



謹賀新年

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

12月は何かと忙しく、気がつけば一度もブログを更新していませんでした。
刀剣の研磨に携わり26年ほどでしょうか。いつの間にやら健康な体で忙しくさせて頂く事の幸せを本当にありがたく感じられる年齢になりました。
今年もまた一年、多数の御刀に出会うことが出来れば幸いです。

先日何気なくTVを見ていたら、何かのCMで”my life is mine”と言っていました。
考えてみれば今までこの気持ちは薄かったと思います。今年からこの考え方を一つ加えようと思います。

菊一文字4完成縮小
今年最初の押形は新春らしく華やかに菊一文字(重要美術品)から。
また押形も楽しく描いて行けたら幸せです。



「”超絶技巧”の源流 刀装具」

IMG_8082
素敵な本が出ています。
「”超絶技巧”の源流 刀装具」内藤直子 著
近年、専門書ではない刀剣関連書籍が沢山出ました。初心者さん向けというか、今までの刀剣書籍とは違った視点で書かれた同じような本が多数。
それはそれで良かったのでしょうが、妙な事を書いてしまっている本も結構あったと思います。刀の専門家ではなく、分野違いの人が過去に書かれた物をダーッと集めて本にしてしまった感が否めない。。

「”超絶技巧”の源流 刀装具」、”専門家が書いているのに楽しい本”です。
前書きに「作品の鑑賞に心ときめかす初心者にとって、最初に必要なのは知識や情報ではなく、主観を導く「見方の指南」です」と書かれてありますが、正にこれですよね。刀装具を楽しむための見方の指南満載です。
刀身の鑑賞にもこれが必要だと思います。初心者でなくても正にこれが必要です。
何時代の何系列の何代目で誰のお抱えで・・・もいいですが、作品の良さの見方が分からないから凄い現代刀を凄いと気づけない人も多い。
この本は刀装具ですが、刀でもこんな本が出たら素晴らしいのに。
しかし!内藤先生にお聞きしましたところ、どなたかが出されるかも知れないそうで。出て欲しいなぁ。