村正②

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短刀、銘 村正

11回目も前回に続き村正の短刀です。
これはあまり聞かないと言いますか聞いた事が無いのですが、私は村正の研磨は大変難しいものだと思っています。過去度々村正研磨の機会を頂いて来ましたが、いずれの作品も天然砥への反応がかなり繊細な鉄質でした(当然個体差はあると思います)。
そんな刀ですので見事な研ぎに掛かっている村正に出合った時は、その研師の技量に本当に頭が下がります。内曇砥以降の天然砥石の性質を余程研究しなければ、そういう研ぎは出来ません。



村正①

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短刀、銘 村正

10回目、村正です。
村正は室町時代末期の伊勢の刀工で文亀を上限に同名の継承が数代あるようですが、現存する正真と思われる銘にも様々あり、その代別については確固たるものではありません。
(文亀を初代、天文を二代、天正を三代とする通説が広く知られています)



初代忠吉

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短刀、銘 肥前國住人忠吉作

9回目。慶長新刀、初代忠吉の短刀です。
二代近江大掾忠廣の短刀は稀有であり、それに比すると初代の短刀は多いという事になりますが、他の慶長新刀、例えば堀川国広などと比べると決して多くはありません。これは同じ慶長新刀でも活躍年代に微妙な違いがある事が要因の一つとして挙げられます。



陸奥守忠吉

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脇差、銘 肥前國陸奥守忠吉

8回目です。前回の近江大掾忠廣の嫡子、忠吉家三代の陸奥守忠吉です。
この三代忠吉の作品は初代、二代に比べると現存数が格段に少ないわけですが、それは長寿であった父、近江大掾忠廣の代作に長年従事していた事と、父に先立つ事七年、五十歳の若さで歿していることによります。(近江大掾忠廣は享年八十一)
多くの肥前刀工中、人気実力ともに最も初代に迫るのがこの三代忠吉で、押形の脇差も、美しくも強さのある地鉄に錵密度が濃く明るい刃を焼いています。