相伝の

新作刀の相州伝の窓明けをさせて頂いた。
視野が狭くなると、良い刀に研ぎ上げる事を目指さずに、上手い研ぎをする事を目的にしてしまいがちです。
上手い研ぎとは本来刀に合った研ぎな訳ですが、所謂テクニックに走ってしまうと言うやつですね。
しかし、刀に合った研ぎをするには高度なテクニックが必要な訳で、言いたい事を上手く説明出来ませんが・・・。
今日はその辺の所を大いに反省する結果と成った。(この刀についてはこうで有る事は先日来分かって居たが、今日実証された)
別件ですが、中古研ぎの派手な丁子。
そこそこ手を掛けて研いでは居るがやけに刀身全体の焼き頭がもりあがる。(谷の凹みが激しい)
これ研いだ研師がこんなにシャクッてこんなに凸凹にするかなぁ・・・?!
仔細に見るとフクレが複数有る。 
しかしこの下地にすれば全く同化する。



砥石の日

本日は10月14日。 
10・14の日、即ち「砥石の日」と言う事で、京都天然砥石組合主催の「砥石の日」のイベントが京都市勧業館(みやこめっせ)で行われましたので田中刀匠をお誘いし、行ってきました。
今年で第27回になる催しです。

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江州産、城州産、若州産の天然仕上げ砥石がずらりと並びます。

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こちらは主に菖蒲谷。

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こちらは刀の世界で内曇と呼ばれる砥石など。

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人造砥のコーナーも有り、大変興味深い品も。
田中刀匠もメーカーさんと色々話し込まれておりました。
最近PAの砥石を買ったのですが、こいつが使えればちょっと面白い。
しかし考えてみると、10年ほど前にこの原料の石は使った事が有る事を思い出しました。 確かあれは良い石でした。
欲しい天然砥石は多数ありましたが、数万円~10万円程度しますので衝動買い出来るものでもなく、今日はとりあえず様子見と言う事で・・・。
砥石の良否は値段で決まる物ではありませんので高いから必ず良い石とは限りません。
10万円出しても20万円出しても使えない物は一切使い物に成りません。(特に刀剣用の場合、使える質の範囲が極めて狭いので)
今日は日差しも強くなく、気持ちのよい空気でしたので帰りは駅から歩いて帰宅。

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昔、京都の刀剣会で市内の寺社に残る刀剣の調査をしたそうですが、出るは出るは、相当数の刀剣類が眠って居たそうです。
この神社にも聞いてみましたら有りました。



今、岐阜県関市にて「刃物まつり」が開催中と言う事でちょっと行って来ました。
実は恥ずかしながら、こういう仕事をしておりますが、関市に行くのは初めでした。
関は刃物の町。 刃物まつりは町をあげての大きなイベントで、いくつかの会場に別れ開催されており、どの会場も本当に多くの人でにぎわっておりました!
その内の一つ、関鍛冶伝承館での公開鍛錬の様子。

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もの凄い人出です!
オーソドックスな感じで刀の勉強をしているとあまり出会わないかも知れませんが、美濃鍛冶の事を少し勉強していると「関七流」という言葉に出会います。
室町、或いは江戸時代、美濃には関七流と言われる七つの流派が有り、その元で製造から販売まで厳しく統制され行われて居たと言うものです。
七つの流派とは、奈良、得印、徳永、善定、室屋、蜂屋、良賢、三阿弥。
しかし、この関七流の元での統制された製造販売が本当に行われて居たか?と言う事は定かでは無いそうで、「美濃刀工名鑑」ではそれを否定する内容が書かれております。
(因みに、刀剣関連の書籍で漢字に読み仮名をうって居る物はめったに有りませんので、この七つの流派の事を、「なら、とくいん、とくえい、ぜんじょう、むろや、はちや、りょうけん、さんあみ」と覚えておりましたが、山本兼一の「黄金の太刀」の中に関七流の仮名がうって有る物を見た時驚きました。 「なら、えじるし、とくなが、よしさだ、むろや、よしたか、さんあみ」。 全然違うやん(泣)。 しかし刀の世界では善定は「ぜんじょう」と読みますし、どれが正しいのでしょうか。
「今更人に聞けない読み方が分からない漢字」が結構有ります。)
なんだか長くなりましたが、関鍛冶伝承館の一角にこれが掛かっておりました。

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これを見てちょっと感動。 時代等分かりませんが奈良派兼景、鍛冶の看板です。
関に来て居る・・・と実感した次第です。
そう言えば昔、京都のどこかの骨董屋さんで三品鍛冶の看板を見ましたが今思えばあれは絶対買っておかないといけませんでしたね・・・。



全然ダメ

昨夜、「良い事を思いついた」などと書きましたが全然ダメでした。
あんまり思いつきでつまらん事を書くのは止めよう。 恥ずかしいので・・。
DVD「MURAKUMOKAI Collection of Works 叢雲会 作品集」を久々に見ました。
撮影技術凄いです。
TVカメラ欲しいです!
以前NHKさんが取材に来てくれた時ハイビジョンカメラについて色々質問して教えて頂きましたが、ほんとに凄い性能ですね。
考えられないほど凄い性能で驚きました。 
実際刀身の撮れ方がもの凄かった。 
4秒くらいのカットに4時間ほど掛けて撮ってました。
どうせちょっとしか使われない事は分かってますのでディレクターズカットとして下さいと言いましたら「首が飛びます」と言うてはりました。 
昔は結構緩かったそうですが今はダメだそうです。
それにしてもTVカメラ欲しいです。
古刀在銘特重くらいの値段だそうですが・・(泣)