研磨工程を ③

朝から雪掻きで疲れました。
家の前の道路がアイスバーン状態になる前に掻き取ろうと思ったのですが時すでにおそし・・。
内曇を割るタイルタガネで道路の氷をかなり割りましたが、今外を見たらミゾレが降っていましたので、このまま雪に変わって明朝は道路つるんつるんです。
お正月はちゃんと休まないと締りが無いのかも知れませんが、こんな時こそ普段はなかなか出来ない事を・・。
仕上げの実験や石試し等やりたい事は山積。 小中学生だって元日から塾に行ってるんですから寝てられません。
年末から続けていた実験がかなり大きな成果を得ました。
十数年間これをやりましたがこれだけ明確に違うのは初めて。
しかし夜ですし、試した刀はまだ一振りですのでここで喜んでいてはいつもの様に糠喜びに成りかねません。
そうそう、仕上げをする時の照明は刀を細部までしっかり見るための明るさも大切ですが、何より刀が悪く見える照明にする事を心掛けて居ます。 
「刀が悪く見える照明」と言うのは表現が間違っているか・・。 研ぎの粗が見えやすい光りにと言う事です。
例えば刃を見るための白熱灯を遠くに、そして手元には地刃を見るための白熱灯。 こう言う照明で夜間仕上げをしてしまうと、とにかく自分に酔ってしまって大変。  明朝落ち込む事になります。 (各研師それぞれ仕事をしやすい照明がありますので、”私の場合は”と言う前提です)
 さて、年跨ぎになってしまいましたが平脇指の続きです。

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某日、全体に天然中名倉を突く。 
天然砥ですので匂い口が見えて来ました(現物を見なければ写真では分かりません)。これが天然砥の面白いところでも有ります。



無題

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2011年となりました。 
本年もよろしくお願い申し上げます。
京都は雪のお正月です。
これもまた良いものです。

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研磨工程を ②

①の結果、錆びの程度はそれほど悪い状態では無さそうです。
下地研磨も棟以外に大きな斑は有りません。
古研ぎで地肌は見え難い状態ですが過去の経験から察するに、この国の特にこの一派独特の地鉄を有する刀と思われます。
古研ぎですが、刃の状態はほぼ確認出来ます。
刃中、改正或いは中名倉の筋交の砥目が多数残る(数百)。  
この度の研磨でそれらの砥目は完全に抜くのですが、その上で内曇・刃艶を入念に効かせても、一見さほど大きな変化は無いでしょう。
しかししっかり見れば、確実に違いが出てくれるはずです。   刀剣美とは本当に微妙な物です。
 

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研磨開始。
三つ棟、錆びを切りつつきめる。
刃、地、少し錆びの進んだ部分は伊予砥を切りに。 後に改正を筋交に押し、その後筋交に突く。
錆びの浅い部分は改正を突く。
樋の錆びを除去後、磨棒にて磨き。



研磨工程を ①

以前、研磨記録の更新予告をしましたが少し予定を変更して、↓の平脇指の研磨の進み方をご紹介致します。

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某日、平脇指研磨開始にあたり、状態を精査。
錆び、以前の下地研磨の状態などを確認し砥石の進め具合を決める。
地刃の出来から、研磨すればどの様な地鉄になるか、この刃文ではどう言う刃取りにするか等を考える。