刀剣入札鑑定会 平成22年12月19日

今年も押し迫ってまいりました。
最後の追い込みで疲れも出て来ているのか、最近エビを食べたらひどいジンマシンが出る体質になってしまっています。
2度目は原因を確かめるために、3度目は本当かどうか確かめるために。
もうエビとはお別れです。
鑑定会当日、頭が晴れず・・・。 
ざっと刀を見ましたが曇った意識の中からは何も出てきません。
確かめるために、応永正長永享嘉吉文安宝徳享徳康正長禄寛正文正応仁文明長享延徳明応文亀永正大永享禄天文・・・・・・・・と唱えてみます。
正保慶安承応、寛保延享寛延辺りが出てきません。 
そらんじている事が出て来ないのに入札鑑定で微妙な記憶を呼び起こす事は無理でしょう。
一号 薙刀
 所謂男薙刀で静型寄り。 長さはその尋常な物。  薙刀樋や梵字有り。
 互の目、湾れ、波のぶつかる刃など。足が目立つ部分などあり。 匂い口深く明るくキメ細か。 細く鋭く金筋。
 非常に大人しい研ぎでもあり、詰む地鉄。 地景や砂流し有り。
この匂い口、この互の目の頭、この刃文の間隔、研ぎ上がった場合の刃取りの流れ、確かに何度か刃取りをした経験が有るタイプです。 しかしどうしても出てこず。。 二号刀へ。
二号 脇指
 一尺八寸ほど。少し反りめ。中直刃。匂い口深く明るく。中央腰寄りに長ーい食い違い刃が表裏揃う。
 平地鎬地ともに綺麗に詰む地鉄。
 武蔵大掾忠廣に入札。
三号 脇指
 一尺八寸ほど。少し反り浅。中幅で湾れ。匂い口、二号より浅く、刃縁のみ細かく働くも刃中寂しい。
 ハバキ上に焼き出し映り風が確認出来る。(焼き出し付近は水影状になっていると思われる)
 平地鎬地ともに板目など肌が立つ。(古研ぎ故大肌のみ)
 康継の2、3代と思うが決めきれず。 初代でも嫌なので「越前康継」と入札(汗)
四号 平脇指
 平身で減って崩れぎみの樋を棟寄りに。 少し矢筈がかる刃、丸く跳び焼き少々多めに。
 長さ、身幅、反り、重ね、樋、全て美濃にしか見えませんが、どうしてもこれに入れたいのです。
 島田義助と入札。
五号 短刀
 八寸台か。 先で内反り。 身幅重ね尋常で末古刀。
 細目で絞まる直刃。 匂い口沈みぎみ。 フクラ下付近で刃が細り、その部分の匂い口が一段と沈む。
 地は少しだけ流れ、全体に白く肌立つも整う。しかし地沸えや地景は見えず。
 これは困った。 
 入札が少し遅れたので、「五号は当らない」と言う声が聞こえて来ました。
 備州三原住貝正興と入札。
一号 疲れてしまい、肥前行廣と入札。
 イヤ
 当
 当
 イヤ
 通り
一号 そうでしょう。  
    親国貞に入札。
三号 そうでしょう。
    濃州兼道と入札。
五号 そうですか。 「東西どちらかの隣国」と言うヒントを頂きました。
    備後を挟んで東は備中、西は安芸に周防。 芸州って輝廣しか浮かびません。もう少し西で二王ですが二王    とも微妙に違いますし二王なら当てられます。 当てられないと言う事で、備中。 青江以降でしょうから、古     水田です。   アザエ為家と入札。
 
 国入
 当
 当 
 然
 然
一号 一干子忠綱と入札。
 当 
 当
 当 
 然
 然
 一号 薙刀  粟田口近江守忠綱  彫物同作
 
 二号 脇指  近江大掾藤原忠廣
 三号 脇指  葵紋 越前康継作之 以南蛮鉄 (三代)
 四号 脇指  兼道作    
 五号 短刀  備中国荏原住国重作 天正年紀入り
五号、先ほど名鑑で見てみましたら、呰部為家は新刀期からしか載っていませんでしたので、古水田で入れるなら普通に古水田国重としたら良いようです。 これから先、古水田が鑑定に出る可能性は少ないと思われますが。
大変珍しい御品でした。

画像

 

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