大正時代の押形

多分もう20年近く前ですが、骨董屋さんから押形集を頂きました。
出版されたものではなく、個人が採拓した押形原本です。

採拓者は駿河氏藏さん(自分の事は氏と言わないですし、お名前なのだと思うのですが、ちょっとわかりません)。大正元年の蔵書印です。
押形大好きの私。以前は度々開いていましたが、もう多分十数年以上見ておらず、久々に手に取ってみました。
久々に見るとちょっと面白い品がありますねぇ。。
茎だけの物が多いのですが、中には全身の物も。
街道や国別に分類して糊で貼り付けられています。

吉光の銘で、土佐に分類されていました。
書き込みが全部読めればよいのですが残念ながら私には読めない文字も多くて・・・。

ざっとまとめて茎だけ。
この三冊全ての所収品が正真というわけではなく、今では偽銘とされる品もありそうです。

中原国宗。これは現在重刀指定です。
数年前に見た様な気が・・・。

左は但州国光。”偽物”と書いてるんでしょうか。。
詳しく調べていませんが、もしも正真ならば大変貴重な品です。(川口陟さんの新刀古刀大鑑に所載の品でした)
※その後調べた結果、この但州国光は重刀指定済みでした。
ただ、押形採拓が大正時代ですし、その後戦災に会ってしまった品も含まれているかも知れません。
右の来国光は現在特重指定。

二字国俊。櫛笥国俊と。
ちょっと良い雰囲気の銘ですねぇ・・・。もしも正真ならば頗る貴重ですが。。

清麿。今は重刀になっています。

なかにはこの様な湿拓の物や色鉛筆での採拓品も見られ、面白い。

「晴松軒押形」の印。刀屋さんなのか、鑑定家なのか・・・。ちょっと分かりません。
茎に直接インクを塗って採るタイプ。銘字鮮明で刃文描写も上手です。

また清麿です。
清麿が複数口あり、大正当時既に大人気刀工だったのでしょうか。。

来国俊。これも多分今は重刀になっている一口。

三条近村の太刀。
今は近の字の上に目釘穴が空き、特重指定。

以前は所収の品を詳しく調べる事はなく気付いていませんでしたが、現在重文指定の小夜左文字もありました。

そして「自作」と書かれた短刀。
蔵書印に「駿河氏藏」とありますが、この銘には「駿河徳次郎」と。
この押形集は私が押形を始めるきっかけにもなった物で、愛着があります。
駿河徳次郎さん、どんな方だったのでしょうか。。
とにかく刀が大好きな方だった事はよくわかります。

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