馬手差

ちょっと珍しい馬手差(めてざし)の拵を拝見しました(時代は幕末程度と新しい物です)。
通常、刀は左腰に差すものですが、馬手差つまり右手差しは右腰に差します。(栗型の位置を見て頂くと分かりやすいかも知れません。裏に付いています)
右腰にどの様に差すか、資料が殆ど残っておらず不明な部分が多いのですが、数種の差し方が考えられています。
説の中に柄が帯の下に出る差し方説がありますが、それだと鞘走るのではないかと感じて来ました。
しかしこの写真の拵えには鯉口にストッパーが付いていて、鞘走る心配はありません。

馬手差しは右腰に差し、右手で抜くとされています。この拵えを右腰に当ててみたところ、柄を後ろに帯の上に出し、刃が下状態で右手で柄を握った時にストッパーの解除ボタンが丁度人差し指で押せる位置に来て抜きやすいと感じました。武道経験ゼロの私ですけども。。
この短刀は刀身が9寸弱と短いので、柄を後ろにして右手で抜いても引っ掛かる事なく素直に抜けます。
ただ西円堂の馬手差の刃長でその抜き方だと、相当身体が柔らかくなければ刀身が長すぎて鞘から抜き切れないとも感じました。

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