七人の侍

久々に七人の侍を見た。私は少ししか見た事は無いが好きな人は何十回と見る映画だそうで。
その後youtubeで昔NHKで放映されたメイキングのドキュメンタリーが上がっていたので見たが、非常におもしろい。
先日鑑定会でそれほど著名な刀工の作ではない末古刀を見てこの映画を見たくなったので、皆が差している刀に注意して見る事にした。
時代設定は1586年(天正14)。
まず拵えに注目したが町行く人々も”七人の侍”も菱が18,9個ほど有る長い柄が多い。頭は兜金が多く(勝四郎の刀も兜金)、通常の頭でも金属製が多いようで角頭で張りの強い今で言う「天正拵」と見える刀は出て来ない。
何しろ白黒映像なので分かり難いが柄に漆をかけた拵えはあったのだろうか?! はっきりそうだと分かる物は無かったように思う。
ラストの決戦はどしゃ降りの雨なので心配になるのだが・・。漆で塗り固めた真っ黒な柄では白黒の映像として映えないので白鮫にしたのかとも想像出来る。見ているうちに、7人それぞれの差料が気になった。
メイキング番組によると、主要キャストにはかなり細かな設定があったそうなので、もしかしたら差している刀についても具体的に設定されて居たら面白いと思ったのだがどうのだろう。。とりあえずネット上ではそれは見つからなかったので、勝手に想像してみることに。
勘兵衛は幾多の戦いで生き残って来たと言う人物。冠落し造り(菖蒲造り?映像が悪くよく見えない)でよく乱れる短刀、そして直刃の大刀を差している。最初の戦には家に伝わる古三原(正家大鋒)で臨んだが損傷が激しく放棄、その後は美濃物を数振り所持したがやはり三原の切れ味が忘れられず、今は磨上で応永頃の三原を差料としている。ネット上では「平作りの短刀を差す」として居るページも有ったが、フクラがかなり枯れているのでおそらく上記の造り込みだと思う。しかし1586年以前で互の目の冠落しと言う物はあまり思い浮かばない。やはり平身の方が圧倒的に多い。
直刃ならば時代を大きく上げて了戒或いは当麻等すぐに思い浮かぶのだが。とは言えどの国にも無くはない。とりあえず冠落し造りなら美濃物。兼春で。菖蒲なら、初陣の時から差している俗名入り祐定。あぁ俗名入りは持てないかも知れないので備前国銘で。
勘兵衛の登場は立てこもった盗人から子供を救うシーンだが、勘兵衛が盗人から取り上げた刀は時代感の有る実用刀の雰囲気だった。末古刀と見える互の目の刀。初期の奈良刀と言う事で。
菊千代は推定四寸(それ以上か)の卒塔婆透かしの刀匠大鐔を掛けた野太刀。三尺かそれを少し切る長さか。
あるシーンでは、反り浅く元先の開きが有る様に見える。撮影には一人につき沢山の刀が用意されて居ると思うので、それぞれのシーンにより造り込みも差を付けているかも知れない。(最近、とある時代劇ドラマの兵庫に入らせて頂いたが、激しい斬り合いをする役の刀は大量に準備されていた。)(テレビ朝日開局55周年記念ドラマスペシャル「宮本武蔵」 2021/8/1追記)
しかし反りの浅い三尺は難しい・・。菊千代は百姓の出だし。ん~。入手の経緯は不明だが古刀期加州清光と言う事で。
勝四郎は刻み鞘を差している。(勘兵衛も刻みだが勘兵衛の方が細かい)勝四郎は裕福な家に生まれたらしい。注文打ちの氏貞を差す。
勘兵衛の”古女房”七郎次。槍の腕が立つようで、刀は短い物を腰に。拵えの姿から安っぽさは感じない。脇指か?或いは二尺前後の片手打ちか。重ねの厚い備州銘勝光。
さて一番腕の立つ久蔵。柄は長め。元々長寸の刀で、区を送り茎を長くした志賀関兼延。しかし鐔は透かしには敢えてせず、少し変わったバランスが好み。
五郎兵衛。この人も腕は立つ。勘兵衛のトラップもあっさり見破った。腕は立つが少し大らかなところも有るのか、手貫緒穴の有る鉄鐔を前半と後半で表裏反対に掛けて居た。刀は茎仕立て銘振りともに大様な所が好きな金剛兵衛源盛某。その切れ味も気に入っている。
最後は平八薪割り流。中の下の腕と言われて居る事も知っている。この人も柄は短くは無い。ん~、何を差していたのか。思い浮かばない・・。無理に出すのは止めておこう。
それぞれの出自等分からず、全くの無根拠で勝手な想像を書いた次第。
ファンの方、ごめんなさい。
しかしこう言う想像は楽しいもので、一振り欲しくなる。

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