低硬度の拭い

青紙スーパー鋼の拭いは引き続き作成中。
この手の拭い材料は単に「硬い→力が有るかも」と言う発想で試すわけです。
力が有る拭いとは、弱い力で、或いは短時間で黒味が出る訳ですが、そうすると地肌を倒さず黒く出来る等のメリットが有るのです。 あと晴らさぬ地鉄を黒くしたり。
単に力の有る研磨剤ならWAやCやCr等のパウダーやその他硬い試薬やコンパウンド類も沢山ありますが、この手の研磨剤に共通する不具合も有るのです。
その点、”鉄肌”という研磨剤は他の硬い研磨剤に比べ、刀に使用するには不具合が少なく都合がよい物です。
刀は青味がある事を良しとしますので拭いで青くしたいと誰もが思うわけで、研ぎの世界に入り拭いに興味を持ち始め、少し調べたりすると「なぜ青く見えるのか」と言う原理を知るのですが、こう言う事を研究して居る人には簡単な話なのかも知れません。
「拭いとは肌目の間に拭い粉が入り込んで色が付くのだ」と言われたりすると、すぐに青系顔料を買いに走ったりするのですが、大体の顔料(硬い場合)はブラック系の仕上がりになります。
拭いを試していると、硬い材料の有用性に捕らわれ、柔らかい材料から遠ざかってしまいます。(私の場合です)
何かをベースに添加するタイプの拭いだと柔らかい材料が不具合の原因となる事が多いので。
先日インフルエンザで寝込んでいた時、スマホで柔らかい拭い材料を見つけ、今日試してみた。
大変おもしろい。 備前物に合うかも知れない。
「刀身表面の状態を変化させ、どの色に見える光りを反射させるかを操作する」と言うイメージでよいと思うのですが、そうすると使用可能な硬度範囲をうんと広げないといけない。
もう60年ほど前の刀美に拭いの秘伝について触れた記事がありました。
その中の一文、「秘伝の随一は、鉄肌の焼方である」
あれこれ手を出さずともこれが神髄といえそうです。

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