映りがある

先日某国宝を拝見。
焼き出しから返りの先、その下棟寄り全体にかけて、明瞭な映りがあった。
今回手に取るまでこの工に映りが有る意識を全く持っていなかったので大変驚いた。
その後、各書籍にてこの品を確認した。
映りについては全く触れていないものが多く、「映りをみる」との解説を一つ見付けただけだ。(同工の他の作には焼き出し映りが現れた品があるようだ)
また、昭和20年代の刀美に文部省の解説としてこの品の映りに触れた部分があり、「棟寄りは沸えにて白け」とある。
研磨が傷んでおらず、かと言って特に最近の研磨でも無いとは思うが、現在の研磨によって映りが明瞭に現れたのだろうか。
写真ではこの映りを写し取る事は難しい(写るが映りとして分かり難い)が、押形ならば表現出来る。しかし残念ながら全身押形に映りは全く描かれていない。
通常なら必ず押形に描くレベルの鮮明な映りであり、正確な押形の必要性を改めて感じた。

追記 LEDを光源とした事が原因か?!



研ぎ場にて粟田口二振り、綾小路二振りを拝見。
綾小路は「古京物(三条、五条)の作域を踏襲した感のある古様な趣のもので・・・」と解説されるとおり総体にうるむなど、いかにも古調な品が多い。
本日拝見した二振りの粟田口、錵の深さに圧倒される。
古青江、古備前、古伯耆などと非常に近い。



無題

午前中は軍刀研磨を頑張る。二十数年でいったいどれだけの本数を研磨したか分からないが、なかなか厄介な鉄質だ。
午後は研ぎ場にて山城物在銘特重を二口拝見。凄い品である。
午前と午後の落差が大きい。
重刀、特重などの所謂ランク付けを嫌う意見も多いが、そう言う指定を受けている品は圧倒的に良い品が多いのも事実だ。



日刀保 京都府支部 3月例会

支部例会入札鑑定会

一号 刀

中鋒、反り尋常。棒樋。身幅少し有る。粒が大きく明瞭な段差を生じる地錵が平地全体に激しく付く。映りがほぼ全ての焼き頭から発生し樋の角に到達する。
刃文は全体に小模様な丁子。横手付近以外は時代の減りで白くなる。

この時代にこの地錵を見た事が無く珍しい出来だと思う。以前拝見した事がある品だと思うが、片山か岩戸かどちらの極めだったか・・・。
岩戸一文字と入札。

 

二号 脇差

菖蒲造り。表、互の目で箱掛り、片落ち風や藤島風など。裏は少し下がるも先天的だと思う。無作為な帽子が気持ちいい。

これは数年前に支部鑑定で見た覚えがある。苦労した脇差。
石州貞綱と入札。

 

三号 刀

細身、室町期の備前。表草倶利伽羅、裏棒樋に添え樋。見幅が狭いため肉がたっぷり付く。焼きが高い。映る。
匂い口ふんわり柔らかいが疲れでは無い。

これも拝見した事が有るはずだが個銘が分からず。刃の出来は絶対永享寛正文明頃までに見たいが、その出来にだまされた品だったような記憶があるが・・・。
長船則光と入札。

 

四号 刀

中反り。鎬高く鎬幅尋常(若干狭め)。板目肌立つ。直刃。絞まり気味で縁が細かく動く。映る。

これは当てる事は無理だと思う。
とりあえず末三原に入札。

 

五号 短刀(両刃)

短寸でズングリする。詰む地鉄。直刃で砂流し金筋等働く。

長船勝光と入札。

 




イヤ

一号、ありゃ岩戸じゃなかった。
四号、全く分からず藤島友重と入札。

 




イヤ

四号、最初に鎬が高いと書いたが、実はここで鎬が高い事に目が行った。末手掻と入札。





 

一号 刀  大磨上無銘 片山一文字
二号 脇差 石州出羽(いずは)貞綱作 (重要刀剣)
三号 刀  備前国住長船祐定作之 永正元年八月日
四号 刀  勢州雲林院包長 永正四年十二月日
五号 短刀 備州長船忠光 文明十三年八月日

 

二号出羽貞綱は2013年支部鑑定にhttp://kyoto-katana.at.webry.info/201305/article_5.html
四号雲林院は珍しい品ですが、両刃の品がhttp://kyoto-katana.at.webry.info/201201/index.html#0117
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慶長と南北と

新身で業者さんからのお仕事。反り浅の中鋒延びる刀の下地をさせて頂いた。新身のこの姿の下地は本当に難しい。いき切れない事が多い。
今一度、”他江不可渡之”を手に取りたくなった。
少し前に南北期刀の研磨と全身押形採取をさせて頂いた。 南北磨上と慶長新刀の関係を改めて勉強(実感)したい。



UP予定

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準備が出来ましたら研磨記録にUPさせて頂く予定です。



無題

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いい香りで好きです。玄関のお花。
春ですねぇ。目がかゆくて鼻がズルズルになって来ました。
毎日必死に研磨です。



無題

やけに冷えると思ったら、こんな感じですよ。
あぁ驚いた、驚いた。 まだスタットレス履いててよかった。
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