坂本龍馬の吉行

先日「ニコニコ美術館」で『縁(えにし)を結ぶかたなー国宝・重要文化財で学ぶ刀剣鑑賞ー』が京都国立博物館から生中継され、採拓させていただいた”龍馬の吉行”の押形が紹介されました。
本日京都国立博物館のX公式アカウントで公開された刀身写真の通り、焼損した刀身は研磨されており、まるで刃文があるかの様に拳丁子の痕跡が黒く残っています。
この刃文の様に見える黒い痕跡は通常の刃文とは異なり、匂い口を伴うものではありません。
火災で刀身が高温になって焼きが戻り、そして何らかの現象により刃文以外の平地全面が映り状に変質、結果として消失した刃文部が映りの暗帯部の様に黒く抜ける状態になっています。
そのため今回の採拓では、まず刀身の輪郭や各部の線を引き、茎を石華墨で刷り出した後、平地の映り状に変質した部分のみを彩色し、刃文に相当する部分は白抜きで残す形で表現しました。
一見すると刃文が存在するかの様に拳丁子の痕跡が黒く残っていますが、これは焼損による変質の痕跡であり、本来の刃文ではありません。