刀美の盗難情報

『刀剣美術』には刀剣や刀装具等の盗品情報が掲載される事があります。
例えば法人解散に伴い令和7年8月に館の運営を終了した蟹仙洞の盗難事件の場合。
この事件については平成3年、『刀剣美術』414号に以下12口の盗難刀剣情報が掲載されています。

◎ 太刀 銘 備前国長船住長義 
◎ 太刀 銘 備前国長船兼光
       延文元年十二月日
◎ 太刀 銘 来国次 
〇 太刀 銘 助真 
〇  刀(金象嵌銘)左磨上 光徳(花押)(享保名物 長左文字)
 小太刀 銘 豊後国行平作
  太刀 銘 友成
  太刀 銘 国行
   刀 銘 日州之住国広作
       天正四年二月日
   刀 銘 肥前国藤原忠広
   刀 銘 於南紀重国造之
  脇差 銘 長曽祢興里入道虎徹
  (金象嵌)寛文三年二月十六日三ッ胴截断
       山野加衛門永久(花押)
◎国指定重要文化財
〇県指定文化財

その他、『刀剣美術』の昭和51年頃~平成24年までの36年間の盗難情報を通覧すると、重要文化財・重要美術品・特別重要刀剣・重要刀剣を含む400口以上の盗難刀剣が確認できました。(一部海外での盗難も)
一件につき1~2口という少数もありますが、多いものでは28口、34口、48口、55口(イギリス)といった大量の盗難被害も。
刀など盗んで一体どうしよういうのか。。
その実態の一つとして挙げられるのが、昭和10年に重要美術品に認定された相州広光の盗難事件です。
刃長31,95㎝、銘は相州住広光。延文三年十一月日の裏年紀入りでした。
この広光は昭和36年11月、新潟市に於いて盗難にあい、その際、銘を表裏共削られ無銘にされました。
その後の経緯の詳細は把握していませんが、発見後は元の銘文の通りに朱銘が入れられ、平成19年第53回重刀指定、翌平成20年には第20回特別重要刀剣に指定されています。特重指定を受けたことで金銭的価値はそれなりに回復したかもしれませんが、失われた貴重な銘は戻りません。
刀剣界の大きな損失です。