1号
3尺超。少し細身で反り浅い。よく詰む綺麗な地金。互の目と湾れ。寛文新刀の姿をそのままグンと延ばした感じ。
これ、以前並んだ事が。(後で調べたら2017年に鑑賞刀として出ていました)
”覚えていてよかったぁ、知らなかったらめちゃくちゃ苦しんだはず”・・・と思ったのですが、改めて考えると安定に似た刃文なのかも。
紀州安重と入札
2号
刀、長寸、反り浅、大鋒、互の目。
新々刀の所謂勤皇刀スタイル(大鋒は少ないとは思います)。
互の目の雰囲気から、江戸系とは思えず。
新々刀勤皇刀によくある刃文だが、私には絞り込む能力がなく。
当たっているとは思わないが、水戸に。
直江助政と入札。
3号
脇差、鵜首造。湾れ互の目、返り長く焼き下げ、全身荒錵。
水田の錵だが地鉄が良く詰んで無地風。以前研磨した呰部水田がどれも詰んでいて研ぐのに苦労した経験があり、水田で詰んでいると呰部に行きたくなる。
水田為家と入札。
4号
小振りな脇差。本造。大互の目、向かい合う箇所あり。
助隆によくあるサイズでこのサイズの助隆を何度も研磨した経験があるが、錵の滑らかさが少なく多少バサケる気がし、他の人にしてみる。
長運斎綱俊と入札。
5号
短刀。焼き出し、簾刃風。詰んだ地中に板目や杢目が肌立ち目立つ箇所が広範囲に。
丹波守吉道と入札。
当
当同然
当同然
当同然
同然
1号 刀 銘 紀州住安重
2号 刀 銘 原田寿賀造 藤原永壽佩刀
慶応二年春二月於平安宮本包則鍛之
3号 脇差 銘 備中国水田住大与五国重作
4号 脇差 銘 尾崎長門守藤原助隆
享和二年八月日
5号 短刀 銘 山城国藤原吉貞
2号は宮本包則でした。今回は勤皇刀スタイルを作る刀工に入札すれば当同然にして下さったそうです。
今まで見た包則の刃とはかなり違い、銘も初めて見る草書銘で貴重!
4号は尾崎助隆。同じ刀工の作品でも地刃の出来は個体差が出るのは当然なので、入札鑑定では地刃の出来と造り込みのどちらを優先するかとなった場合、造り込みを優先する方が良いのかも知れない。今回の助隆や、藤島、親国などの様に造り込みでピンと来た場合、作風が多少違っていても負けたらダメという事で。
5号、丹波じゃなくて驚いた。丹後守兼道や大和守吉道などの簾刃は度々見るが、そもそも吉貞って初見。