天然砥石No.103

天然砥石No.103

最近この砥石に浸っています。
 天然砥石比較 103〜104 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
この時のコメントは「No.103は非常に良い刃引きです。」ただこれだけ。
非常に良い砥石だとは言っていますが、こんなにも使える砥石とは思っていません。
ブログ当時ではNo.107やNo.60、61などを最良と感じています。(もちろんまた変わる事は分かっているんですが。。)
 天然砥石比較  107 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
 天然砥石比較 60,61 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
No.60、61とNo.103を硬度4と同じにしていますが、今は60,61が硬度4、103が硬度3です。
・・・どうでもいいですね(^-^;

天然砥石比較のブログには砥石硬度と研磨力しか項目を設けませんでしたが、使用感や使用頻度や対応力やと、細かく書けば面白い項目は沢山出来ます。
あでも”対応力”なんて項目を作ると結局全てがこれに集約されてしまいますか。。
古名刀、古刀研ぎ疲れ、健全古刀、慶長、寛文、新刀匂い出来、新作など、刀には様々ありますが、ある程度の対応力が有る内曇り系砥石ならば、数種あれば事足ります。
(上記は刃砥の話。地砥を加えるとまたややこしくなります)



「作刀50年 刀匠 河内國平展」

【虎屋 京都ギャラリー】「作刀50年 刀匠 河内國平展」 開催のお知らせ

虎屋 京都ギャラリーにて、現代を代表する刀匠・河内國平(かわち くにひら)刀匠の、作刀50年を記念した展覧会が開催されます。

虎屋京都ギャラリーでの作品展は2014年に続いて2回目。今回は、刀匠として異例の相州伝と備前伝の2つの流派を習得された同氏の、50年に及ぶ刀作りを振り返り、処女作から最新作にいたるまで、選りすぐりの作品を約15振、展示いたします。

また日本の伝統文化や工芸の要素を取り入れた作品を発表されている、舘鼻則孝(たてはな のりたか)氏とコラボレーションした現代美術の作品も特別展示いたします。

虎屋 京都ギャラリー特別展 「作刀50年 刀匠 河内國平展」

【期間】2022年4月16日(土)~5月15日(日) 10:00~17:00
  ※入場無料
  ※休館日:4月25日(月)

【場所】虎屋 京都ギャラリー(虎屋菓寮 京都一条店横)
            地下鉄今出川駅6番出口より徒歩約7分

【展示品】
  河内國平作 日本刀 約15振 (期間中展示替えあり) ほか書作品
  現代美術家・舘鼻則孝氏とのコラボレーションした美術作品 など。

【展示企画・協力】株式会社 studio 仕組

【特別協力】大阪歴史博物館



鞘師

”鞘文”の通称で知られた鞘師斎藤文吉(東京)が製作したかも知れない白鞘があり調べていました。
斎藤鞘師はかなりの名人で、平井千葉ら名人研師と共に数々の名品の鞘を手掛けたそうです。
手元にあるこの鞘、割れば中に鞘師の銘が有るかも知れません。

関西にも名人といわれた鞘師がいました。奈良の杉本繁雄鞘師。
以前刀美で杉本鞘師の事を調べていて生前のインタビュー記事を見つけました。
文面にかなり強めの大和弁が再現されていて、お話しぶりが軽妙で実際の杉本さんの雰囲気、お人柄が伝わるインタビューです。
戦中は軍刀拵の製作に携わり、終戦後は河瀬虎三郎はじめ多くの有名愛刀家と常に関り、重文・国宝の白鞘修復や製作を多数行ったそうです。
記事中、鞘に押す刻印のお話がありました。一時期ですが入念作には大阪の鍛冶に作らせた刻印を押したそうで、私も過去にその刻印の有る白鞘を見た事があります。

研ぎ場にかけている肥後拵図。
この拵は杉本鞘師最晩年の作品で私が18の頃からお世話になっている方が直接製作依頼した物です。
その時の杉本翁とのエピソードを何度か聞いた事があります。

拵製作依頼後、かなりの期間を経てようやく完成の連絡があり引き取りに。
完成した肥後拵は期待通り大変美しい仕上がりで以来者は感激。

 依頼者「先生ありがとうございます! 先生、大変恐縮ですが柄に「杉本」の刻印を押して頂けないでしょうか」
 杉本翁「なんでこんなもんに押さなあかんねん」
 依頼者「苦笑」

笑わそうと思って言ってるのではなく、「こんなもん」と本気で言っているのが面白いです。
この肥後拵、柄から縁金具を外した箇所に杉本の刻印が入っています。



入子鞘

古い白鞘に当たりがあり、割鞘をしてもらうため長船に。
刀身を抜き鯉口の象牙を外して頂いている時、不意に入子が頭を出しました。
入子鞘の場合、鎺袋を覗くと入子を引っ張り出すための角製の器具が内臓されていたり、引っ掛けるための穴が有ったりするので直ぐ分かります。
しかし今回の鞘は、引っ掛ける穴が少々奥に空いており、私は全く気付いていませんでした。
鞘師さんは刀身を抜いた時、若干ヌルッとした様な感覚があり、入子か?と思われていたそうです。この御刀を所持されている方も入子には気づかれていませんでしたので、やはり本職とは凄いです。
入子を抜くと、墨による旧所蔵者の署名がありました(著名な人物です)。
伝来不明の古名刀だったのですが、その一部が判明しました。



釜作が気になり

釜作貞宗が気になって久々に(20年ほどぶり?)探しましたら、えらく古い刀美に載っていました。
6冊に渡っています。



釜作貞宗

いつもお世話になっている方から国立博物館のシンポジウムのレジュメを見せて頂きました。
私の周りには、古刀の原料は一般に信じられている様な物ではないとの考えをお持ちの方が多いのですが、今回見せて頂いた内容はそれをしっかり裏付ける物でした。国立博物館からこの様な発信がされた事は非常に大きな事で、刀剣界の常識をちゃんと見直さないとダメですね。

昔、釜作貞宗の事をブログに書いた事がありました。
釜作が現実味を帯びてちょっと面白いです。(貞宗銘が正真だと言いたい訳ではありません)
名研師たち | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)



同級生が

尊敬する人は?と聞かれると「上平主税」と答えます。
(思想的にというわけではありませんが、色々本当に立派な方なのです。十津川草莽記 | 吉見 良三 |本 | 通販 | Amazon
上平主税は私の田舎の中の「野尻」という地区の出身です。
そういえば・・・。高校の同級生の上平君。部活が違うので深く話した事は無かったけれど、どこ出身だったっけ?!と思い、幼馴染に聞いてみたところ、上平君は野尻出身との事。なんと。。。



茎の錆たやつ

越前新刀。茎に錆が酷いのか白鞘の柄が抜けず。
木槌で叩いて抜くと、茎に酷く盛り付く赤錆で銘が判読し辛い状態。
一般的な越前新刀ですが研磨経験はなく、一応勉強のために康継大鑑を開くと所載品でした。
昭和35年当時の茎は、悪錆一切なく銘鮮明で大変良好。
この程度の期間でも保管環境次第でこんな事になってしまいます。

以前もブログに書いたかと思いますが、研磨させて頂いた新刀重刀。
5年後再見時、柄が抜けず。木槌で叩き、抜けた瞬間赤錆がバラバラと落ち、作務衣が錆びだらけになりました。

刀の保管、湿気と樟脳にはくれぐれもお気を付け下さい。





拂禍太刀

以前研磨させて頂いた在銘の正宗にはこの様な目録が付いていました。
輪郭のみですが押形付きで(文政四年)。
現代に存在する刀は真贋について非常に厳しい渦中にあるわけですが、こんなに大切にしてもらえる時代があったんですよね。。
私研師ですので、研磨のご相談を受けた時はその御刀に対する所見を全て申し上げある様にしています。
錆身で発見される刀の多くは現代の価値観でみれば、その物の価値と研磨等工作料とのバランスがとれない物が殆どです。
それでもこの正宗の様に研磨をさせて頂ける事は研師として大変幸せな事。いつにも増して丁寧な仕事をという気持ちになります。
そういえば以前も・・・と思い検索しましたらこんな事を書いていました。
槍 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)





更新

HPのプロフィールページと研磨記録ページを更新しました。