『第1回「現代刀目利き認定大会」in岡山』

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現代刀目利き認定大会の日が近づいてまいりました!
「日本刀の日」制定記念『第1回「現代刀目利き認定大会」in岡山』10/5(土)

出題刀はなんと30振り。
30振りの現代刀を手に持って鑑賞できるわけです。
そしてその刀で入札鑑定。

研師である私にとっても、様々なタイプの新作刀の作風やその研磨方法を勉強出来るまたとない機会です。
まだ定員には空きがあるそうです。
ご興味のある方は是非。

詳細はこちら→ 『第1回「現代刀目利き認定大会」in岡山』



9月例会入札鑑定

一号 刀、だと思う。

少し反り気味。直調子でなだらかに湾れ。全体に小足が入り頭の締まる小互の目調の刃。中鋒。映り。

ぱっと見は末古刀に見える。元来は詰み気味の地鉄。各所に澄肌風に黒い鉄が一段盛り上がって存在。
迷うので一旦置く。 古刀ではないと思う。
 
 
 
二号 脇差

反りが浅い。大小の互の目と丁子を詰めて焼く。地刃ともに明るい。京風焼き出し。

これもちょっと迷うので置く。
 
 
 
三号 寸延

反り気味。締まる湾れ刃。かなり良質な地鉄。棟寄りに細目の棒樋。

造り込みが典型的な関物だが誰か・・・。
締まる湾れがこの人のイメージにピッタリなので、大道と入札。

 

四号 短刀

細身で重ねが厚め。内ぞりで寸が延びる(28,2㎝)。
板目が流れ、入鹿實可の小互の目をもっと小詰ませ錵を付けた様な刃。

土佐吉光と入札。
 
 
 
五号 脇差

先両刃風に冠落とし。重ね厚い。全体にたっぷり肉が付く。刀の長さに近い気がするが、造り込みの影響で寸がわかり難い。
錵付きほつれ気味の中直刃で腰刃を。

一見して新々刀だが、こういう作風の人は沢山あり過ぎて私には選択不能。
最近宮本包則を研磨させて頂く事が多く押形も沢山とらせて頂いたが、作風の幅広さに驚く。
包則にしては造り込みが重過ぎ、間違っているのは分かっているが、おそらく新々刀に入れれば同然にしてくれるのではなかろうか。
宮本包則と入札。

 
 
一号
そういえば度々研がせて頂く越前新刀に同じ調子の刃が有る事に気が付いた。
最近では継平の脇差が全くと言ってよいほど同じ刃文。一番よく見る肌立ち気味の分かりやすい越前肌とは全然違うが、刃を取る事に。
近江守継平と入札。
 
二号
何度も見ているうちに、久道の匂い口に見えて来た。調子もよい。
近江守久道と入札。

 


通り
ヨク


 
 
二号、大阪だったかぁ。差し裏に僅かに砂流しごころがあるので忠綱と入れる。
三号、地鉄が綺麗なので兼常と入札。

 


ヨク


 

二号、
一流刀工の初期作とのヒントを頂く。この刃は通常ではない作風で、普通に考えると当たらないそうで。初代は備前伝で有名と。
ん~。同条件が二人居て迷う。一流とは普通の一流か、それとも超一流なのか。
決めきれず、情けない事だが「超一流ですか?」とお聞きしてしまった。 超一流だと思いますとのお答え。
津田助広と入札。
 
 





 

一号 刀  銘(葵紋)康継於越前作之(後代)
二号 脇差 銘 越前守助廣
三号 脇差 銘 兼升
四号 短刀 銘 吉光(土佐)
五号 脇差 銘 於人吉安井正寧

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寺社所蔵品

ICOM京都大会の一環で、本能寺さんの大宝殿にて弟子のマーティン君と刀剣研磨実演をさせて頂きました。

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(実演用に本能寺蔵品の薙刀を窓開け研磨中)

日本の刀剣愛好家さんや多くの海外の学芸員さん達がご来場くださいました。
マーティンが英語で解説してくれて助かった。。
 
 
時間も無いのですが押形をとりたい刀も色々とあり、毎夜無心で全身押形を作成していましたが、気付いたら最近採択した全身押形7枚中6枚が寺社の所蔵品でした。何も考えずに描いていたので全く気付いていなかった。
この後も時期をあけながら寺社所蔵品が続きますが貴重な機会なので押形に残したいと思います。
ただ、こうも押形ばかりやっているとさすがに疲れる。。
そんな時はいつも土屋温直(おんちょく)さんの事を想いながら筆を持ちます。