刀身と押形の展示

現在薬師寺にて「噂の刀展Ⅲ」が開催中です。(開催期間:平成30年2月8日(木)~4月8日(日))
同展にて先日二日間限定で名物 大倶利伽羅廣光(重要美術品)が展示されましたが、あわせて数年前に描かせて頂いた大倶利伽羅廣光の全身押形を大塚巧藝社さんのご協力のもと、同じく二日間限定で展示して頂きました。
観覧して頂いた皆さんからは、「刀身と押形の同時展示は難しい刃文鑑賞の助けになる」と好評だったようです。

全身押形の制作には大変手間が掛かり、各展覧会で全ての展示刀に全身押形を添える事は難しいと思います。しかしたとえ数点でも押形があれば、刀身と押形を見比べる事で、初心者には難しい刃文鑑賞も要領がつかめ容易になり、刀の鑑賞に慣れている方も手に取るより遥かに見辛い展示刀鑑賞の助けになるはずです。
ただ、押形には鑑賞の補助的役割以上の意味があるとも思っています。書籍等で本のサイズに縮小された全身押形は単なる記録資料という認識で見る人が多いと思いますが、刀身の実物そのままを写し取った現物の全身押形には、刀身の持つ魅力とはまた別の魅力を感じます。