平成25年 2月入札鑑定会

四号 太刀
備前国。 二尺四寸ほどか。 凄い刀・・・完全刀です。
健全で身幅の広い造り込み。 複式互の目で少し沈む。
地は抑えた研ぎで映る。
ちょっと大宮の大磨上を連想しますが踏ん張りが有るのでウブだと思います。
康光の大きいのにこう言うの有りませんでしたか・・。
 康光と入札。
三号 太刀
備前国。 二尺五寸台か。 直刃主調で小丁子などよく働く。逆足も。
地斑風の映りが美しい。 帽子は綺麗に丸に。
雲への誘導か。
 雲次と入札。
二号 刀
備前伝。 二尺三寸ほどか。 反り浅。 丁子に強い石堂映り。
 石堂常光と入札。
一号 太刀
備前伝。 二尺三、四寸か。 深く反る。 身幅広く重ね厚い。 樋、彫り等無し。
現代作と見るが勉強不足で難しい。 
高位の作で間違いは無い。
 吉原國家と入札。
五号 太刀
二尺四寸ほどか。 少し細身。 よく反り特に物打から横手が反る。
刃が染みる。 刃先から鎬筋まで焼き刃の表面も含め全体に錵映りに被われる。(磨いて居るので見えないがおそらく鎬地にも錵映りが到達して居る)
これは再刃と見る。 なので入札のための諸条件は考えても行き着き難いと思うもここまで備前系で来たのでこれも備前刀か。
 景光(再刃)と入札。
 然
 イヤ
 ヨク
 然
 イヤ
二号は映りの状態からそれ意外考えられないのでとりあえず大慶に入札。
三号も全く分からず長船秀光と入札。
五号は問題の有るものをあえて出題した事が明かされたので入札はとめる。
 然
 イヤ
 然
 然
 中止
二号を祐永に。
 然
 ヨク
 然
 然
 中止
一号 太刀 (茎表裏に金象嵌梵字)常真作 昭和三十年八月吉日(人間国宝 高橋貞次)
二号 刀   備前國長船次郎左衛門尉勝光 文亀二年二月日 同左京進宗光
三号 太刀  備州長船住重真              (重要刀剣)
四号 太刀  備前國住長船幸光 天正六年八月日 (重要刀剣)
五号 太刀  國行(来) (再刃)
四号幸光の札はいけませんでした。 しかし全く末を考えませんでした。 凄い刀です。
再刃が分かり易い刀は色々な原因があるようです。
焼けた結果から来る炭素量の問題。
研ぎ減りで良質な皮鉄がむけてしまって居る場合。
再刃する刀鍛冶がその鉄質に対し手探り状態で焼き入れするために温度管理に失敗するなど。
しかし上手く焼けた場合は時代を経ると分からなくなると思います。

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ここのところ多数拝見

刀が仕事ですので日々色々な刀に出会います。
どの様な刀にも得られる事は必ずある。
最近ですが偽名と思われる新々刀を拝見しました。
非常に上手な研ぎです。 
見事な下地に手馴れた仕上げ。
こう言う仕事は行きがけに見ても身に付く物ではなく常に手元に置いて勉強しなければ、私には見きる事は出来ません。
誰かが研いだ、もの凄く上手な研磨を一振り手元に置きたい。



ソツト挟箱

 ソツト挟箱
 棚橋
 船橋
 鵜呑
 吉野川
 大谷川
 夢の間
 八文字
 朝嵐
 滝之水
 踊仏
 通抜
 クサリナワ
 地獄杖
 破絹
 無布施経
 古袈裟
 竹の葉のあられ
 道芝の露
 籠釣瓶
 篠雪
知っている方は上の方で分かると思いますが、かなり下の方まで来ないと気が付かない方も居られるかも知れません。
「そっと挟箱」て。
挟箱と言うのは、中間(ちゅうげん)が肩にかついでいるあの箱だそうです。
中に色々入れて挟んで固定するようです。
外出のさい着替えなどを入れて中間にかつがせて行くのですが、ゆるく(そっと)挟んでいると”すぐに落ちる”そうで。
昔もコピーライター居たんちゃうかな。



また買う

100均で見つけたのでまた買っておく。
強烈に便利でしたので。
どの部分が最初に壊れるんだろうか。
この100円のペンチ、精度は最低ですが求めるまんまの形で気に入る。
しかし酷くベタベタして気持ち悪い。
アルコールで拭こう。

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シナエ

刀の傷・欠点の一種にシナエと言うものがあります。
焼き入れの時に起こる物や何かを切った衝撃や曲がりにより発生する物、また曲がりを直した結果発生する物などさまざまです。
当ブログ2012年11月17日の記事に有る様な粗雑な造りの刀にもシナエが多数発生して居る物を見る事は頻繁です。
以前刀鍛冶さんから、「感度の良い鉄に発生しやすい」とも聞いた事があります。
全体で言えば末古刀と新々刀が一番多いでしょうか。

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画像ですが、このタイプは実際に物を斬る武道をされている方はよく目にする物だと思います。
ある程度しっかり曲がってしまった刀を直した部分に出るシナエです。
この様に綺麗に網目状に出る事が多く、私には詳しく分かりませんが自然の法則の通りなのでしょうね。
焼き入れ時に出たシナエは彫って寄せるなどしても目立ってしまう事も有りますが、このタイプは表面的な物ですので軽い研磨で消えてくれるものです。
 ただ、曲がりについてはその部分に癖が付くと言う方も多く、物によっては見た目には分からずとも内部にも影響して居る事も有るようです。



研ぎ場にて

慶長新刀最上作二振り拝見。
慶長新刀は皆個性が強いです。
一つは大変軟らかそうな鉄。 
ここまで軟らかいと研ぐのに苦労する事も有るが、この人のこの質の方は比較的研ぎ易いはず。
応永備前と村正拝見。
しっとりした応永杢が美しい。
応永備前も応永杢の美しい物と末古刀風の地鉄が有るがこの差は何故でしょうか。
どちらの場合も刃の出来は近いと思うんですが。 コストの差なのか、別の理由ですか?
村正は地鉄が良くて好きです。



描く

金曜から押形。
明日には完成するでしょう。

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