障子を
沈丁花
沈丁花のよい香りがします。
8年ほど前、家の裏に除草剤をまきました。
その後1~2年かけて波紋か衝撃波が広がるように徐々に玄関先まで草木を枯らし(波が通り過ぎると復活するのです)、数年耐えた木が今生き残って居ます。
その影響か、葉が少なく寂しい沈丁花ですが。
古い時代には元号が変わってもまだ地方までは伝わらず、改元後も旧元号のまま銘を切った刀などがまま存在しますがなんだかあの雰囲気を思い出します。
「ノサダが好き」と思い、美濃物と言えば山田英でしょう・・と、日本刀禅的鑑賞、日本刀 本質美にもとづく研究、日本刀関七流をぱらぱらと開いてみました。
ノサダは過去三振りだけ研がせて頂きましたが、それらは一般美濃物とは別格の出来でした。
しかし山田氏も述べられているように、美濃物全てが実用のみに特化した訳ではなく、美的にも大変優れる物も多く存在しており、”美濃物奥深し”と言うところです。
因みに個人的にですが、ノサダの場合は出入りの激しく無い出来が好きです。
広い刃に箱や腰の有る物や地味な直刃出来など。
しかし京都では鑑定刀に出ないですねぇ・・。数少ないと言う事でしょうか。
日本刀関七流を開いているとノサダの小さな両刃短刀の押形が有りました。
以前研がせて頂いた菖蒲造りの小さい短刀によく似ている記憶が・・。
確か濃州関住兼以下不明だったと思います・・・。
押形を探しましたら平成13年に有りました。
やはり”兼”の下が朽ち込み不明です。
姿や茎、目釘穴位置、銘字等ノサダによく似ています。
或いは之も之定か。
眠い方が斬れると言いますが
刀は眠い刃の方がよく斬れると言うお話はよく聞くのですが、本当なのですか・・・?!
私は斬る事を知りませんので。
実際に試斬をされる方からもそう言う事を聞きますので本当なのでしょう。
研がせて頂いていて、斬れそうなのは硬い刀なんです。
下地や曇りを引いて居る時なども手に食い込んで切れる事はよくあります(引かずに押さえつけただけで)。
サイデもザクザク切れて大変です。
ですので硬い刀はより注意して作業します。
そう言う事と物を斬る事は真逆なのでしょうか。
昨日深夜に代えたてのカッターの刃でなかなか深く指を切ってしまったのでそんな事を考えました。
夜、セルフのガソリンスタンドへ。
中学生風の子達が4人、乗って来た原付をいじっている。
目が合うが、私は瞬時に目を逸らす。
コンマ何秒かですが子達の全力の睨みを見た。
灯油を買おうと灯油給油機の方に行くと、明らかに挙動不審な人物が居る。
給油機裏のバッテリーを持ち去ろうとして居る様に見える。
私に気付き、灯油を入れるふりをした後、車を移動しガソリンを入れるふりをしつつ数分後に何処かへ・・・。
見れば、死角ではありますがバイトの若者が一人居る。
カーナビでガソリンスタンドの電話番号を調べたので電話しようと思ったが、バイト店員も仲間だったら馬鹿らしいので電話をやめた。
帰り道、まぁいいかと思いスタンドに電話をした。
お礼を言われたが本当の所は分からない。
駅のホームの一番前には危なくて立てません。
運転中のクラクションなど迂闊に鳴らせません。
子供に正義を教えるべきかどうか、迷ってしまいますよね。
(こういう記事は行間を読んでください、と一応書きます。)
写真は砥石が埋まっている山方面。
この山々にいったいどれだけの砥石が埋もれているのでしょうか・・・。(何十、何百万トン?!)
今日はやっと巡り会えました。
苦労の甲斐がありました。
一生大切にします・・と言うかんじでしょうか。
平成24年3月 刀剣入札鑑定
一号 太刀(と思う)
二尺三寸程度か。 身幅尋常、重ね薄め。 肉はよく残って居る。 狭い棒樋。
全体によく反り先反りも付く。 小ぶりな切っ先。
匂い出来、低い乱れ。数多し。 肌目白多く、映る。
肌を沢山出して、照る拭いを差すタイプの仕上がりになっています。
先まで良く反るので、「先反り=末古刀」と言う教科書的な見方をするとハズレてしまうタイプの刀です。
先まで反っていますが刃線の張りが小反りです。
しかし多分、見た事が無い様な銘が入って居る予感がする・・・。
考えていたら思考停止してしまったので、お隣の方に同然表を見せて頂きました。
小反り成家と入札。
二号 刀
むむ。 これは昨年研場で拝見した御刀に間違いない。
反り浅。重ね厚。強い鉄。 あえて低く、格調高い刃。 極端なまでの三品帽子。
出羽大掾国路と入札。
三号 短刀
兼房乱れ風。 三つ棟(芯面極細)。
この雰囲気、以前拝見した事が有る兼常の乱れ刃に似る気がする。
兼常はそれほど多くを見た経験が無く、「兼常=直刃」のイメージを持っていたのですが乱れも多く有ると知った短刀でした。
これはそれそのものか?!
兼常と入札。
四号 薙刀
新刀型薙刀(巴)。
肥前。
薙刀樋の上も丸。 添える樋の留め上下もさまで崩れず。
下地に手を掛けた上手な研ぎです。
薙刀や冠落しの場合、薙刀樋のチリ部の面と上部鎬地の境界に弧を描く鎬筋が出来ますが、普通に上手に研ぐとバリが出ます。
うまい研師がそれを防ぐ意識で手間を掛けて研ぐとこの薙刀の様になります。
下地の最初の砥石の時点で安易に切らず、安易に流さず絶妙な下地をされて居るのでしょう。
そして磨きの直前まで最終段階を意識した下仕事を行なわなければこの様にソフトでシャープな針仕事は出来ません。大変勉強になりました。
棟は三つ棟。
男薙刀に三つ棟は多いのですが、その場合、芯面は広めが多い。
普通に広めの芯面で研ぐと先ほど書いた、弧を描く鎬筋より上から松葉の張る面までの間の棟の細くなる部分はほぼ平棟になる。
こう成ると、人間の目は腰付近の面よりもその上の平棟を一番広く認識してしまう。
錯視(←クリック)と言うやつです。
昔の仕事はその辺に本当に気を使っている物が多い。
先日支部の先輩からお教え頂いた、江戸期の十手の構造もその辺の微妙なバランスを考慮して造られていました。
薙刀はもともと先が張る造り込みですので棟もあえてその様にして力強さの演出をしているのかも知れない。
出来の方は、多分10年ほど前ですが拝見した肥前廣総の刀に似ています・・・。
しかし、肥前の薙刀を見た時は初代に入れると決めているので、
初代忠吉と入札。
五号 短刀
両刃。 備前出来。
んん、これまたですが、多分10年ほど前に白鞘制作をお受けした備前国銘祐定の両刃ではなかろうか。
この拭いの色は覚えがあります。
長船祐定と入札。
当
当
当
当
当
一号 太刀 備州長船吉次 永徳三年十一月日
二号 刀 出羽大掾藤原国路
三号 短刀 兼常
四号 薙刀 肥前国住武蔵大掾藤原忠廣 寛永六年八月吉日
五号 短刀 備前国住長船祐定作 天正十年八月日
春です
まだ妙に寒い日もあったりはしますが、ちゃんと春が来ていますね。
正面の沈丁花も幾つか咲き始めていました。
この匂いが大好きですが、下の子は”うんちの匂いがするー”なんて言っております・・。
今日は子供の卒園式。
・・・
なんでしょう・・・、いつの世も子は寶です。
春は忙しく、慌しく時間が過ぎて行きますが、研磨の方はなるべく変わらぬ時間の流れの中に置く事を心掛けています。
おそらく、まだ刀を腰に差していた時代の研師の多くが現代よりも流れ作業的に仕事をこなして居た事でしょう。
しかし流れから生まれる反復は職人の技術向上には欠かせませんね。
刀装などで言えば江戸期の刀職仕事は奈良刀ですら、こなれていて、安物ではありますがある意味良い仕事とも言える物です。
こなれた研ぎが良いとは言いませんが、”気分が乗らないから仕事をしない”と言うのも真の天才だけが許される世界ですし、凡職人はひたすらその職に時間を費やすべしですね。
はい。 またつらい、中・細名倉を突きます。
京都 伝統工芸 職人
京都には伝統工芸の職人さんが沢山おられます。
東京と、どちらが多いかは知りませんが伝統工芸と言う大きな括りで言うと職種も多彩ですしかなりの数に上る事でしょう。
今日は、京都の金工さんにお越し頂き色々とお話をさせて頂きました。
研ぎと金工仕事は色々と関連のある事も多く、私は刀身にタガネを入れる事もしばしばですので、興味深い事ばかりです。
実際普段使っているタガネも見せて頂き、実演もして頂きました。
大変参考になります。 ありがとうございました。
私は所謂刀職の一つの研師なのですが、刀職と言うものは一般の認知度が非常に低いです。
刀剣趣味の無い人が伝統工芸と聞いて、漆芸や金工(茶器・花器等)、染色、織物、また各地方の工芸品を製作する職方などは思い浮かんでも、刀の白銀師や鞘師、研師を知って居る人は皆無です。
刀職以外の伝統工芸に携る職人さん達も刀職の存在を知る人は少ない様に感じます。
「へぇ~、そんな仕事があるんだねぇ」と言う具合に。
だからどうだと話を広げるつもりはないのですが。
(本日お越し頂いた方は元々刀に興味が有り金工の道に進まれたそうで、刀職の存在はご存知です)
早い
時が経つのが本当に早くなりました。
最近は3~5年先の話はまだまだ先の事と言う前提で話しつつも、必ず最後に「すぐ来るけどね」的な事を付け加えます。
京都に水族館が出来ました!
計画が公になった時は、「生きてるうちに行けるんかいなっ・・」なんて思ってたものですが、あっと言うまですな。
計画が出て以降地元新聞では、ネガティブキャンペーンとまでは言いませんが計画反対の意見を取り上げた記事を多く見ました。
まぁもう通っちゃった計画なので反対意見を殊更大きく取り上げると言う大人事情は分かりますが、なかなかむりくりな内容が多く、京都らしさここに有りと言う感じですかね。
とりあえず、小さい子が居る家には大歓迎です。
大人一人2000円ですかぁ・・。
年間パスですなこりゃ。