天然砥石比較 105~106

No.105
No.106

No.105
この手のカラスの砥石は、あると妙に嬉しくなる石です。少し狭い幅ですが研ぎやすく、普段使いの小刀を研ぐのに使用しています。
どの山産でしょう…。おそらく梅ケ畑周辺の山でしょうか。
こういう砥石に刀を当てた研汁を見る機会、実はあまりないと思います。

梅ケ畑周辺地図。この範囲に、鳴滝、中山、大突、奥殿、菖蒲等々多くの砥石山が集中しています。


No.106
奥殿でしょうか。新田か。私にはちょっと分かりません。。
厚さは5.2cmあり、立派な砥石。
大平や水木原などの経験から見れば硬くはない石に見えますが、実際はかなり硬く、巣板なのでしょうが戸前の様な当たり具合。
慣れない山の石を使おうとする場合、ゼロから構築する事になる。

新田の場合この辺りです。大平や水木原も近い。

天然砥石比較 103〜104

No.103
No.104

No.103
砥石硬度  4/10
研磨力 5/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

No.104
砥石硬度  4/10
研磨力 4/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

No.103は非常に良い刃引きです。
No.104は刃引きとして使用可能だが、登場する機会は少ないはず。
今まで「砥石は見た目は関係ない」的な事を書いて来ましたし、実際そうなのですが、砥石としての佇まいもやはり大切だと思っていて、購入する際の判断基準にはなります。



天然砥石比較 101~102

No.101
No.102

No.101
砥石硬度  6/10
研磨力 4/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

No.102
砥石硬度  6/10
研磨力 3/10
刀身は末相州。刀身硬度6/10

どちらも見た目は硬そうに見え、特にNo.101は硬く見える。しかし引き感はさほどでもなく。
やはり少しでもヤケていると使い難い(好みの問題です)。
鉋を天然砥で研がれる方との交流が無くて分からないのですが、鉋の場合の天然砥の使用出来る範囲はどの程度なのでしょう。
研磨に要す時間が変わるだけで、ある程度の範囲を使用出来るのでしょうか。



八丈砥石

研ぎ場にて、八丈砥石各種

この何年か、新幹線に乗るたびに上平主税の事を書いた本を読んでいて、「新島に行ってみたいなぁ・・」と思っていたのですが、さらにずっと南の八丈島から砥石が採れるそうなんです。いつもお世話になっている方からYahoo!ニュースの記事を教えて頂きはじめて知りました。
Yahoo!ニュース八丈砥石
どのような組成なのかは分かりませんがやはり気になり、しばらく前ですが刀に当てさせて頂く事が出来ました。
率直な感想は、かなり硬い砥石です。
今使っている砥石硬度数値でいえば、初の「砥石硬度10/10」。京都産の天然砥石ではここまで硬い物を私は知りません。
似ていると感じたのはアルカンサス。(とはいえ私はアルカンサス砥石はコッパを一個持っているだけですが。。)

アルカンサス砥石コッパ

刃物研磨の究極仕上げには京都産天然砥では軟らか過ぎるという方も居られるようです。砥石の良否は好みによりますので色んな好みがあって当然です。刀剣の研磨でも、刀によるとはいえ、硬さは好み。(軟らかい方が使いやすいので初心者程軟らかい石を好む傾向はあります)
八丈砥石の様な高硬度砥石は様々な需要の中で大変貴重な存在です。