大和物
在銘大和物の古い太刀の全身押形を2口採拓。
以前は大和物の押形は比較的簡単だと感じていたのですが、今回は2口とも難しい。
うち1口の研磨が非常に良い。おそらく某派の研師の研磨。
昨年来この研ぎをやりたく、色々試して来ましたが出来ず。
極最近このタイプの研ぎをする方とお話しましたが、仰る事は普通の事。ちょっとお話を聞くだけで出来るなら修行は要りません。(もちろんどうやっているかを聞けるなんて思っていません)
何年も何十年もかけて完成された技術をポイッと教えてもらえる人は、その凄さを分かっていない事が多い。
今の100倍感謝した方がいい。
押形とは別の大和物の在銘太刀の研磨。
これは貴重な体験で、普段の大和風では全くなく。西風。
てか西なのかも。
3月支部鑑定
都合により入札出来ず。
1号 短刀 銘 信国
応永三年八月日
2号 刀 無銘 信国(南北朝後期)
3号 刀 銘 廣幸(平安城弘幸)
4号 脇差 銘 城州住政国
5号 脇差 銘 於大坂和泉守国貞作之
今回は南北朝後期の信国と応永信国の出題(応永の方は源左衛門尉と式部丞以外の信国です)。初代信国以降応永迄の南北後期信国は複数居ます。初代は基本直刃か湾れを焼きますが、応永信国のあの特徴的な互の目は既に南北後期から現れ始めています。
今回出題の南北後期信国も既にニコイチの互の目が始まっては居ますが、未だ明瞭ではないという作風でした。応永信国は応永然とした作風。2口並ぶ事により両者の違いや共通点を比較する事が出来ました。
廣幸は弘幸の後期銘です。堀川物らしくザングリとした肌で、刃文は国広に近く大変出来の良い作品でした。
城州政国は国広の弟国政の弟子といわれ非常に珍しい作品。入札鑑定の出題刀としては難易度が高いですね。
4月支部鑑定
1号
3尺超。少し細身で反り浅い。よく詰む綺麗な地金。互の目と湾れ。寛文新刀の姿をそのままグンと延ばした感じ。
これ、以前並んだ事が。(後で調べたら2017年に鑑賞刀として出ていました)
”覚えていてよかったぁ、知らなかったらめちゃくちゃ苦しんだはず”・・・と思ったのですが、改めて考えると安定に似た刃文なのかも。
紀州安重と入札
2号
刀、長寸、反り浅、大鋒、互の目。
新々刀の所謂勤皇刀スタイル(大鋒は少ないとは思います)。
互の目の雰囲気から、江戸系とは思えず。
新々刀勤皇刀によくある刃文だが、私には絞り込む能力がなく。
当たっているとは思わないが、水戸に。
直江助政と入札。
3号
脇差、鵜首造。湾れ互の目、返り長く焼き下げ、全身荒錵。
水田の錵だが地鉄が良く詰んで無地風。以前研磨した呰部水田がどれも詰んでいて研ぐのに苦労した経験があり、水田で詰んでいると呰部に行きたくなる。
水田為家と入札。
4号
小振りな脇差。本造。大互の目、向かい合う箇所あり。
助隆によくあるサイズでこのサイズの助隆を何度も研磨した経験があるが、錵の滑らかさが少なく多少バサケる気がし、他の人にしてみる。
長運斎綱俊と入札。
5号
短刀。焼き出し、簾刃風。詰んだ地中に板目や杢目が肌立ち目立つ箇所が広範囲に。
丹波守吉道と入札。
当
当同然
当同然
当同然
同然
1号 刀 銘 紀州住安重
2号 刀 銘 原田寿賀造 藤原永壽佩刀
慶応二年春二月於平安宮本包則鍛之
3号 脇差 銘 備中国水田住大与五国重作
4号 脇差 銘 尾崎長門守藤原助隆
享和二年八月日
5号 短刀 銘 山城国藤原吉貞
2号は宮本包則でした。今回は勤皇刀スタイルを作る刀工に入札すれば当同然にして下さったそうです。
今まで見た包則の刃とはかなり違い、銘も初めて見る草書銘で貴重!
4号は尾崎助隆。同じ刀工の作品でも地刃の出来は個体差が出るのは当然なので、入札鑑定では地刃の出来と造り込みのどちらを優先するかとなった場合、造り込みを優先する方が良いのかも知れない。今回の助隆や、藤島、親国などの様に造り込みでピンと来た場合、作風が多少違っていても負けたらダメという事で。
5号、丹波じゃなくて驚いた。丹後守兼道や大和守吉道などの簾刃は度々見るが、そもそも吉貞って初見。


