京都国立博物館「文化財修理の最先端」

京都国立博物館「金工 1F-5展示室」にて『文化財修理の最先端 金属工芸』が開催中です。
会期は2024年6月18日(火)~ 8月4日(日)

刀剣展示作品リスト

 刀  銘 長曾禰興里入道乕徹 (研磨 本阿彌日洲/人間国宝)
太刀  銘 有綱        (研磨 藤代松雄/人間国宝)   
太刀  銘 備州長舩則光    (研磨 小野光敬/人間国宝)
      享徳二年八月日  
 刀 無銘(名物島津正宗)   (研磨 本阿彌光洲/人間国宝)
太刀  銘 助久        (研磨 藤代興里)
短刀  銘 日州住信濃守国廣作 (研磨 玉置城二)
      天正十九年二月吉日  
薙刀  銘 大和尻懸住則長作  (継茎 宮本包則/帝室技芸員)
      切付銘宮本能登守包則継之

名人研師の仕事と共に私の研磨も展示して頂き、恐悦至極に存じます。
展示品中個人的には日洲先生の乕徹の研磨が至高の極みと感じます。

短刀 銘 日州住信濃守国廣作 (令和4年度 京都国立博物館修理事業に於いて研磨)
     天正十九年二月吉日




6月入札鑑定

1号 刀
踏ん張り付き、腰反り、先も反る。刃線張らず若干細め。鎬高い。
よく詰み良い鉄。備前の映り。種々の互の目、少し腰開く。砂流し目立つ。帽子一枚で返り深く焼き下げ。
表裏の腰に梵字と蓮台。
出来の事は記憶に無いが、この表裏の変わった位置と組み合わせの彫りには覚えがある。が、何だったか思い出せず。。
末備前だと思うがそれほど末までは下らず中期だと思う。
祐光と入札。

2号 刀
反り浅。地強い。錵出来の互の目、尖り交じり。焼き出し無し。裏に打ち寄せ合う互の目2箇所。全体に小詰む。帽子丸で返り太く長めで倒れ気味。
いつもより少し荒いがこのタイプは親国かと思う。
親国貞と入札。

3号 脇差
造り込み尋常。良い地鉄で平地から鎬地まで同質。差し表の平地に地斑風あり。中直刃。横手下より焼き幅広くなり帽子深く先下がる。
匂い口のラインが硬く止まらないが地斑風なので肥前だと思う。代別は分からない。全体の雰囲気は3代の気がするも確率で選ぶ。
近江大掾忠広と入札。

4号 脇差
幅広で反る、大鋒(10㎝超か)。棟先も反り、力強い姿。
一見無地風の地鉄だが地錵が付き良質。頭の出入りは少なめの互の目丁子。所々荒錵。丸留めの棒樋。
苦手なのが来ました。。多分固山なんでしょねぇ・・・。
帽子の先が昔研磨した長信の匂い口に似ている気がする。
高橋長信と入札。

5号 脇差
平身。応永備前姿。幅狭め。フクラ枯れるも後天的。応永杢。淡く棒映り風。互の目で総じて焼き低め、小詰む。棒樋。
長船師光と入札。





1号  刀 銘 備前国住長船宗光
        明応六年八月吉日
2号  刀 銘 和泉守国貞(真改若打ち)
3号 脇差 銘 肥前国陸奥守忠吉
4号 脇差 銘 固山宗次作之 天保十年八月日
        於武州千住太々弐刃土壇拂 切手山田五三郎
5号 脇差 銘 康光

全部同然というのも珍しい。
後で確認すると1号が出ていたのは2022年の鑑定でした。その時も同じく祐光に入れていたという・・・。
同じ間違いを繰り返すよくあるパターンです。
入札鑑定記 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)



山浦系の

先日の真雄の小刀に続き兼乕短刀。親子です。

短刀 銘 升龍軒兼乕
     枩代臣
升龍軒銘は非常に珍しく現存品はほぼ確認されていない貴重銘だそうです。
関西に居るからか私の環境がそうなのか、山浦系の作品に出会うことは滅多にないのですが、色々御縁を頂き最近だと清麿×2,行宗、升龍軒銘以外の兼乕×2等の研磨や押形採拓をさせて頂きました。また準備が出来ましたらUPさせて頂きたいと思います。
京都支部鑑定に山浦系が出た事はほぼありませんのでやはり関西には少ないのかもしれません。

刃文にパステルは一切使わないと決めてしばらくたちます。どの押形が最後だったか・・・。
完全に墨だけで描き切るほうが断然時間が掛かりますが、やはり墨だけの方が好きです。
(写真に撮ると刃文がかなり濃く写りましたが実際はもう少し薄い色に仕上げています)



小刀の押形採拓2

これで諦めたらダメでしょという事で2枚目を採拓。
久々にカーボンを使い再チャレンジしました。

石華墨
カーボン

色むらを抑えるのが難しいのと長期保管で変色する事もあり、長らくカーボン紙での採拓はしていませんでした。
右のカーボンの方が銘が断然よく見えます。(鎬を越えている箇所は銘の一部が鎬を越えているからです)