古備前在銘太刀の研磨

生ぶ茎在銘の古備前太刀。古備前刀工中の稀少銘。
全体に研ぎ疲れはありますが、当初の雰囲気を残す小乱れ刃の範囲も広い。
しかし以前研磨した研師があまりに酷く・・・。
とりあえず、内曇り、地艶、拭い、刃取り等一連の仕上げを経ているので、研師を自称する人間の仕事だはと思うのですが。
詳細は省きますがとにかく全てが酷く、この一度の研磨で驚く程に研ぎ減らしており、切っ先も菖蒲造りの様な形にし横手を書くという無残さ。
錆びたまま放置するより余程罪深い。



百錬精鐵 刀匠 月山貞利展

(以下全日本刀匠会HPより転載)

【会期】2024年7月10日~7月15日
【会場】京都髙島屋S.C(百貨店)6階美術画廊
【ギャラリートーク】7月13日(土)15時~

 月山鍛冶は鎌倉時代初期の鬼王丸を祖とし、奥州月山の麓で鎌倉、室町期に栄えました。月山鍛冶の最大の特徴は、刀身全体に波のように流れる「綾杉肌」で、月山鍛冶の鍛えた刀身に顕著に現れることから月山肌とも呼ばれます。その尊い技術は、幕末天保期に月山貞吉が大阪へ移住し大阪月山の基を開き、月山貞一(帝室技芸員)、月山貞勝、月山貞一(重要無形文化財保持者)の各時代に様々な苦難を乗り越えながらも、月山貞利によって現代に受け継がれています。
 伝統の槌音を響かせ燃え盛る炎と向き合い鍛え上げる一振り一振りは、刀匠自身の魂が込められた百錬の結晶でもあります。
 本展では月山家に伝わる綾杉鍛えの作品や刀身彫刻、日本刀各伝の作品を一堂に展示し、後継の月山貞伸の作品も同時に展示致します。
 期間中は月山貞利と貞伸が在廊を予定しております。どうぞこの機会に刀匠月山貞利が鍛え上げた渾身の最近作をご高覧ください。



鞍馬関

鞍馬関の刀の全身押形を採拓していて疲れてしまい、夕方お散歩に。
せっかくなので叡電に乗り鞍馬に行きました。

鞍馬寺。何年ぶりでしょか。

青い紅葉が綺麗です。叡山電車では秋の紅葉のライトアップが知られていますが、新緑のライトアップもしているそうです。
狛虎。鞍馬寺の狛犬は虎。

鞍馬街道。
町を流れる水がやけに綺麗だと思ったら、鞍馬川から水路で引いてるんですね。
賀茂川の水を引く上賀茂社家町や高野川の水を引く上高野の町並みが大好きで、こういう町のお散歩は落ち着きます。

「鞍馬関」とは言いますが、関から鞍馬に移住したのか、山城鍛冶が関に修行に行き再び鞍馬で作刀したのか等、詳細は不明のようです。
鞍馬関には彫物のある作品も多く、近年の重刀にも濃厚な彫物のある鞍馬関の指定がありました。
この鞍馬の地のどの辺りに鍛冶場があったのでしょう・・・。焼き入れの水は当時もこうして鞍馬川の水を引いていたのかも知れません。
因みに、鞍馬寺竹伐り会式(たけきりえしき)で使われる山刀をまとめて拝見した事がありますが、確か鞍馬関鍛冶の作品は無かったと思います。
刃長は1尺4寸程度。超大段平とでも言いましょうか、身幅は尋常ではありません。使用の度に道具としての研ぎが繰り返され、切り刃なのか平造りなのかよく分からない状態の物が殆どですが、茎からみて元は平造りと思われます。中にはフクラが強く付き、先が張ってマチェットに近い形状の物も。刀鍛冶の銘と分かるものでは山城守歳長、若州次廣、信濃守信吉らがありましたが、これらは刀鍛冶が製作した祭具としての貴重な作例です。



真雄・清麿・行宗/兼虎・信秀

刀 銘 信濃国真雄
信州赤岩村の名主、山浦治右衛門昌友の長男として生まれる。
正則、寿守、完利、寿昌、正雄、真雄、寿長などの銘を切り、弟に清麿がいる。

小刀 銘 信州住真雄

短刀 銘 清麿
真雄の弟。
正行、環、秀寿、清麿の銘を切る。

短刀 銘 信州住行宗(花押)
     嘉永六年二月日
真雄の長男。
行宗、兼平、兼乕、兼虎などの銘を切る。

色々拝見 | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)
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信州住行宗(兼虎初期銘) | 玉置美術刀剣研磨処|京都・左京区 (kyoto-katana.com)

短刀 銘 信州住行宗
     嘉永五年八月日
刃長七寸三分。行宗銘作品の出現はこの短刀で何口目でしょうか。数少ない初期行宗銘の一つです。

短刀 銘 兼乕

短刀 銘 兼虎

短刀 銘 升龍軒兼乕
     枩代臣 

刀 銘 平信秀
    文久三年二月日
清麿門。
京都で鏡師をしていた時代があり、伏見稲荷大社には信秀製作の鏡が残されています。