4月支部鑑定

1号
3尺超。少し細身で反り浅い。よく詰む綺麗な地金。互の目と湾れ。寛文新刀の姿をそのままグンと延ばした感じ。
これ、以前並んだ事が。(後で調べたら2017年に鑑賞刀として出ていました)
”覚えていてよかったぁ、知らなかったらめちゃくちゃ苦しんだはず”・・・と思ったのですが、改めて考えると安定に似た刃文なのかも。
紀州安重と入札

2号
刀、長寸、反り浅、大鋒、互の目。
新々刀の所謂勤皇刀スタイル(大鋒は少ないとは思います)。
互の目の雰囲気から、江戸系とは思えず。
新々刀勤皇刀によくある刃文だが、私には絞り込む能力がなく。
当たっているとは思わないが、水戸に。
直江助政と入札。

3号
脇差、鵜首造。湾れ互の目、返り長く焼き下げ、全身荒錵。
水田の錵だが地鉄が良く詰んで無地風。以前研磨した呰部水田がどれも詰んでいて研ぐのに苦労した経験があり、水田で詰んでいると呰部に行きたくなる。
水田為家と入札。

4号
小振りな脇差。本造。大互の目、向かい合う箇所あり。
助隆によくあるサイズでこのサイズの助隆を何度も研磨した経験があるが、錵の滑らかさが少なく多少バサケる気がし、他の人にしてみる。
長運斎綱俊と入札。

5号
短刀。焼き出し、簾刃風。詰んだ地中に板目や杢目が肌立ち目立つ箇所が広範囲に。
丹波守吉道と入札。


当同然
当同然
当同然
同然

1号 刀  銘 紀州住安重 
2号 刀  銘 原田寿賀造 藤原永壽佩刀
        慶応二年春二月於平安宮本包則鍛之
3号 脇差 銘 備中国水田住大与五国重作
4号 脇差 銘 尾崎長門守藤原助隆
        享和二年八月日
5号 短刀 銘 山城国藤原吉貞

2号は宮本包則でした。今回は勤皇刀スタイルを作る刀工に入札すれば当同然にして下さったそうです。
今まで見た包則の刃とはかなり違い、銘も初めて見る草書銘で貴重!
4号は尾崎助隆。同じ刀工の作品でも地刃の出来は個体差が出るのは当然なので、入札鑑定では地刃の出来と造り込みのどちらを優先するかとなった場合、造り込みを優先する方が良いのかも知れない。今回の助隆や、藤島、親国などの様に造り込みでピンと来た場合、作風が多少違っていても負けたらダメという事で。
5号、丹波じゃなくて驚いた。丹後守兼道や大和守吉道などの簾刃は度々見るが、そもそも吉貞って初見。




本能寺「名刀展」

明日4月19日より、本能寺 大賓殿宝物館にて「名刀展」が始まります。
以下出陳刀剣の一部です。

太刀  銘 光忠(重要美術品)
太刀  銘 包平(特別重要刀剣)
太刀  銘 国宗(特別重要刀剣)
 刀 無銘 貞宗(重要刀剣)
 刀  銘 備前国住清光作之 
      天文二十三年八月日(特別重要刀剣)

また、新たに多数の全身押形を展示して頂く事になりました。
お近くにお越しの際は是非「本能寺大賓殿宝物館」にお立ち寄りください。

全身押形の展示リストは以下の通りです。

・ 刀 名物 稲葉江(国宝)
  (金象嵌銘)天正十三十二月日江本阿弥磨上之(花押)
        所持稲葉勘右衛門尉
           柏原美術館蔵 
          (2023年、調査記録のため全身押形採拓)

・太刀  銘 備前国長船住人真光(上杉三十五腰)(重要文化財)
           京都国立博物館蔵
          (2024年、調査記録のため全身押形採拓)

・ 刀 額銘 国俊(二字国俊)(重要文化財)
           個人蔵     
          (2023年、調査記録のため全身押形採拓)

・太刀  銘 助包(重要文化財)
           個人蔵     
          (2020年、研磨修復に際し記録として全身押形採拓)

・ 刀  銘 肥前国住近江大掾藤原忠広
           京都国立博物館蔵
          (2023年度、京都国立博物館修理事業の際、記録として全身押形採拓)

・脇差 朱銘 貞宗
       本阿(花押)
           柏原美術館蔵

・短刀  銘 源清麿(おそらく造)
       弘化丁未年二月日 依鳥居正意好造之
          (2023年、調査記録のため全身押形採拓)

・短刀  銘 村正
・太刀  銘 景助(古備前)
・脇差  銘 相州住正広
       文明元年八月日
・短刀  銘 助弘(福岡一文字)




本能寺「名刀展」

明後日、4月19日より、本能寺 大賓殿宝物館にて「名刀展」が開催されます。

展示リストはチラシをご覧ください。



備前物の全身押形を採拓

備前南北朝期。
備前物の押形採拓を減らそうと思っていたのですが、やはり数が圧倒的に多くそして名品の率は他国を大きく上回るので、結局押形採拓率も上がってしまいます。