無題

無銘古一文字、在銘古一文字、無銘福岡一文字などを拝見。
古一文字の奥ゆかしさが好きで、拝見する度に備前刀の凄さを感じる。
この福岡一文字は二回目。一度目よりも遥かによい太刀だと感じた。古備前や古一文字の方が私は好みなので、前回拝見した時はこの太刀の良さに目が追いついて居なかったようだ。
鑑定会では何度か出ている刀は手に取らずとも当たりが分かってしまうので、パッと見てすぐに置いてしまう方も多いと思うがそれではもったいない。
良い刀は何度見てもよいものだし、本当に良い刀は何度も見るほどに良さが増す。

写し物の新作刀全身押形を描く。まだ途中。。直刃だが働き豊富で時間がかかる。

25年振りか、貼り艶を本気で試してみた。
私の周りでは貼り艶を良く言わない人が多かったため、本気試しはしないまま今に至り。。
研ぎの事を分かって来ると、そのネガティブ情報は間違っていると感じるわけだが、それでも若い頃のすりこみからは抜け出せにくく。
貼り艶を使わないなりに、貼り艶の良さは色々想像していた。
貼り艶の最大のメリットが”散らない逃げない”程度に考えてしまうと、こんなに凄い物を使わない失敗をしてしまう。

重美の新刀と重文の古い備前物を拝見。
以前から感じていたが、手持ちがズドンと来るほどの重量を残す古い備前物の映りは、普段目にする映りとは状態が違う事がある。
減っていない映りには、映りの輪郭にも匂い口状の白い筋があり、刃文と刃文(映り)が暗帯部を境に背を向け合っている様に見える。



古青江の押形を

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ちょっと久々に押形を描く。
古青江生茎在銘太刀。
反りが深い。映りが凄い。重ねが非常に厚い。



刃艶をつくる

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寒くなる前に刃艶を。
前回はいつ頃作ったかと思い、ブログで確認すると約1年前。
前回も同程度の量を作ったので大体一年でこれくらいの消費で、刃艶の消費量は多いタイプの研師だと思います。
見た目は悪いがこの石は確実に良いと確認済みの物ばかりで、私の中では最上クラスの一種。
使えるか使えないか分からない物に、切って磨って貼ってと手間を掛けるのは嫌なものですが、良いと分かっていると気持ちの苦労は大分軽減されます。

研師暦が長くなるほど、同じ刀を研いでも砥石の減りは少なくなります。
経験が浅い人に下地をさせたり内曇りを引かせてみると、あまりの砥石の減りに驚かされます。
内曇りなどはそれが分かりやすく、刀一振りに内曇りを効かせるだけで、自分が引く時の2倍どころか3倍か或いはもっと減っているのではないかと思うほどに減ってしまいます。
経験は大事です。
刃艶はそれとはちょっと別の話。

 



柾目に丁子

そういえば、先日の鑑定刀5号、完全な柾目に派手な丁子刃。
普通なら柾肌に刃文が引っ張られ、匂い口が柾目で切られ食い違いの働きが現れたり、砂流し状になるなどの現象が起こるところですが、その様な箇所は一切なく、刃中に柾状の匂いの筋が見て取れる箇所が僅かにあるだけでした。
研ぎの影響もありますがかなり強く現れる柾肌に、破綻の無い丁子刃。現代の目線での好みや良否は別にして、当時はかなり斬新なものだったと思います。